2013年6月16日日曜日

革靴のお手入れ

革靴のお手入れについて自己流の方法を書いてみようと思う。

革靴のお手入れ方法はいろいろな流儀があるようで、ステインリムーバーはを毎回使う人がいる一方で絶対使わない人がいたり、ニュートラルを中心に使う人もいれば黒い靴には必ずブラックを入れるという人もいる。ポリッシュする人もいればそんなの要らないという人もいたりで、いったいどれが正解なのかわからない。

科学的に検証すれば正解はあるのかもしれないが、そもそも革靴のメンテナンスなんて趣味みたいなものだし、情緒的な部分もあるので、ひとつに縛られないから面白い。

・・・

よく革靴のお手入れの話で、「クリームの重ね塗りは厚化粧と同じ」という件があるが、本当にそうなのだろうか、と思う。

ワックスについては確かにヒビも割れるのだろうけど、乳化性のクリームを塗り続けることが「厚化粧」と同じとは到底思えない。(塗る量もぜんぜん違う)

化粧をしている女性は、化粧が終わったあと豚毛のブラシで顔をブラッシングしているのかと思うし、毎日馬毛のブラシで汚れを払っているわけでもないだろうし、雨風に一日中晒されることも無いだろうし条件が違いすぎる。そもそも新陳代謝のある人間の肌にする化粧と、なめされた革に塗りこむクリームを同列に扱うのはどうかと思う。

革靴の置かれている環境を素人的に考えると、まずクリームを塗りこんだあとは乾燥する一方だろうし、クリームの一部は乾燥して固化してブラッシングで取り除かれていくだろうし、雨に降られれば油分も抜けてしまうだろう。革が呼吸(というか人間の汗を排出)する過程でもいくらか油分は抜けるだろうから、乳化性クリームオンリーでメンテナンスしている僕にとってはステインリムーバーはやサドルソープの必要性はあまり感じない。

というわけで、わりとしっかりやるときは次のようにメンテナンスしている。


1. まず豚毛のブラシでていねいにブラッシング

お手入れの本や他の人のブログをみてみると、馬毛を使う人が多いのだけれど、手持ちに豚毛しか無いのでそのまま使っている。
まぁ、表面についているホコリやちょっとした汚れが落ちれば十分なので。
靴底やコバのあたりもそれ専用に用意したブラシで汚れを落としておく。特に雨に降られたあとなどはコバの周りに結構ゴミが溜まっているのでていねいに。

2.キッチンペーパーで軽くクリームを取る

キッチンペーパーかティッシュで表面のクリームをある程度落とす。

3. ぬるま湯で固く絞った綿布で全体を拭う

水より余計な油分を落としそうなので。
あまり熱いと革に悪そうなので(根拠なし)、人肌くらいに給湯器の温度設定をしてそれで固く絞った布を使う。布は使い古しのTシャツがいちばんいい。これで全体をあまり力を入れずに軽く拭う。表面についた汚れをある程度落とすのが目的。

4. デリケートクリームを塗る

5回に1回くらいはM.モゥブレイのデリケートクリームをごくごく軽めに塗る。このクリームは伸ばすというより表面を覆うような感じで塗っていく。デリケートクリームは革に吸い込まれるような感じで吸収されるので、気をつけないと塗りすぎてしまう。

5. 気持ち乾かす

デリケートクリームはかなり水っぽいので、気持ち乾燥させる。
風通しの良い場所に置いて30分くらい放っておく。

6. 乳化性クリーム

僕は主にサフィールノワールを使っているので、正確には油性クリームなのだが、これは水が入った乳化性クリームと同じ使い方ができると言われている。このクリーム塗る前にデリケートクリームを入れていることもあり、水分あるなしは気にしない。
サフィールノワールには有機溶剤が含まれているので、ある程度の汚れは取れるのだろうと勝手に思い込んでいる。
塗る際はほぼ綿布で塗りこむ。ペネトレイトブラシよりこっちのほうが塗っている感じがするので。ただコバ周りなどはどうしても布が入らないし、無理に入れるとクリームがダマになって残りそうなので、思いっきり少量をブラシにつけて入れている。

7. コバクレヨン

ブートブラックのコバクレヨンでコバの色を補充。ほとんど変わった気がしない。
気が向いたときはHerringで靴を買った時におまけでついていたワックスを使うのだけれど、あまり変わる感じもしないので、ほとんど気分でメンテナンス。
ただ、コバ周りはメンテナンスをするのとしないのとでは靴の全体的な印象が変わると思う。

7. ブラッシング

コバを塗っている間にアッパー部分はある程度馴染むだろうから、ここでいったんブラッシング。あまり気合を入れずにサッサと磨く。どちらかと言うとクリームがシワの間で固まらないようにするためにやっているという感じ。

8. ソール

ソールのメンテナンスは雨に降られたあと以外は本当に気まぐれでしか塗っていない。
意味があるのかよくわからないが、なぜかソールクリームを塗ると革底の欠点がカバーされるような気がするのが不思議だ。

9. 全体をひたすら磨き上げる。

ブラッシングさえしておけば余計なクリームはとれていると思うので、しばらくほったらかしにしておく。なので、磨くのは数時間後~翌日なんてことが多い。まずはひたすらブラッシング。片足2、3分ほどブラッシングするのでかなり長めにやっていると思う。
それが終わったら余計なクリームを落とすということと、光らせるという目的でひたすら磨く。
といっても両足で1、2分だけど...(マジメに測ると1分って意外と長い)


いまのところこれがメンテナンス。だいたい10分から15分といったところだろうか。
靴のローテーションの中でやっているので、それほど時間をとられるわけでもないし、むしろもっと磨きたいくらいなので、個人的には負担とは思っていない。
まぁ、これも趣味のひとつなんですが。

2013年6月15日土曜日

Shetland Fox 501F EDINBURGH

今回は僕の持っている靴について書いてみようと思う。

記念すべき1回目なので、フラッグシップを取り上げるのが良いかなとも思いつつ、ネットにあまり情報のない靴にしてみようと。

シェットランドフォックスの伊勢丹別注エジンバラ(Edinburgh)。

公式にはエジンバラは廃盤になってしまったけれど、新宿のイセタンメンズでイルチア社ラディカをアッパーに使った別注品がいま(2013年5月現在)でも販売されている。

イセタンメンズで販売されているエジンバラは、内羽根ストレートチップ(キャップトウ)の501F、外羽根セミブローグ502F、モンクストラップ503Fの3つ、それぞれブラックとブラウンがある。この別注モデルがイルチアのためか、イセタンメンズではフラッグシップのケンジントンの取り扱いは無い。
過去に伊勢丹の店員さんに聞いた話では、伊勢丹別注といえども新宿にあるイセタンメンズでしか手に入らないらしい。立川の伊勢丹ではやっぱり売っていなかった。

僕が所有しているのは501Fのブラック。
過去に存在した定番品はアノネイ社カラグレインカーフの3041SFで、これはこれでありなのだけれど、スムーズレザーが欲しかったということと、イルチアのなんとも言えない感じが良かったので伊勢丹別注品を購入。

スクエアトウのいたってオーソドックスなストレートチップ。今時のロングノーズに見慣れると、少し寸胴な感じさえする程度で、見た目コンパクトな印象。

2ちゃんねるのシェットランドフォックススレでは
●エジンバラ・・・甲低め・つま先長く細め・踵普通(木型後半分はナイツブリッジと同じ) \44,100(30??SF/伊フラスキーニ社スマッシュ) *2010年6月ディスコン
とあるのだけれど、つま先はそれほど細くないし、あまり長くない。チャーチのコンサルやクロケットアンドジョーンズのオードリーより短く、いまどきラストで言えば標準というかむしろ短めいったところ。
あまり写真が良くないけれど、左からBTOラストのW131、エジンバラ、グラスゴー。いちおうかかと側を揃えて撮影。サイズはすべて6。
標準的なノーズと思われるW131より若干短いくらいで、グラスゴーよりははっきりと短くトウ先のシェイプもあまり尖っていない。(広めのソフトスクエア)
こうして並べてみるとBTOモデルに似ている気もする。

甲については確かに低めだが、最近のグラスゴーやインバネスと比べると二の甲あたりはやや高め。

エジンバラはAllAboutで飯野さんが絶賛しているシェイプなのだが、ロングノーズが流行るご時世でディスコンになってしまったようだ。とはいえいまでも復活を望む声があるらしい。いまはイセタンメンズでのみ売っている伊勢丹別注モデルと、日比谷にあるシェットランドフォックスで買える30周年記念モデルのみとなっている。

ちなみにこの30周年モデル、デザインはむちゃくちゃ好みなパンチドキャップトウ。これでアノネイのボカルーもしくはベガノだったら即買いだっただけに、カラグレインなのは残念。未だに買おうか迷うモデルではあるけれど。

リーガルはブランド作りがヘタだ。満を持して復活したシェットランドフォックスの定番品をものの数年で廃盤にしたり新しい商品を出したり。商品によってはチャーチのカスタムグレードや、クロケットアンドジョーンズのメインラインあたりと十分勝負できる(場合によっては勝てる)ポテンシャルを持っていながら、安心して定番を買い続けられないというのはどうしたものか。2、3年はいて足に馴染んだ頃、もう一つ追加で欲しいと思ったら廃盤になっていて買えない。チャレンジングなことはリーガルブランドでやってもらって、10年以上大切にしたい靴であるシェットランドフォックスは10年先を見据えた商品開発と展開をして欲しいと思う。

閑話休題。

このエジンバラ、結構お気に入り。
土踏まずのサポート感はしっかりしているし、グラスゴーに比べて大きめといわれるかかとは、確かに食いつきが弱いのだけれど、BTOモデルを始めとしたリーガルブランドの靴よりは小ぶりで、またシェットランドフォックスお得意のヒールカップは収まりが良くて直立した時にものすごく気持ちがいい。
指周りはかなりゆったり。全体的に大きめなのか、甲が高いので薄めの足だと少し緩いかな。

イルチアのラディカカーフは新品時点ではクリームを入れると少しテカリが強くて、ムラも多めでややもすると白っぽいカビが生えているのかと思うような見た目だなと思っていたけれど、しばらく履きこんで手入れをしていくとなんとも言えない立体的な艶が出てくる。この艶やかな感じは全面的ににぶく光るボカルーとは対照的だが、これはこれでありだなと。

この売りのひとつであるムラをある程度維持するため、お手入れの基本はニュートラルでやっているが、ブラックの場合はムラが白黒なので、少しムラ感を抑えるために、4、5回に1回はブラックを使っている。

ふだんはブラッシングのみ、だいたい月に1度くらい(この間2、3回履く)クリームを入れている。ステインリムーバーは使わずに、ていねいにブラッシングをした後、固く絞った綿布で軽く拭って、サフィールノワールを布で塗りこみ、またていねいにブラッシングといういつもの流れ。ニュートラルのクリームを使うと布が結構黒くなる。前回塗ったブラックが落ちているわけで、このため時々ブラックを入れて全体的な補正をしている(つもり)。

ちなみに、リーガルの公式通販サイトではクリームはブラックを使わずニュートラルを使えと書いてあるのだけれど、伊勢丹の店員さんはブラックで手入れをしたほうが良いとのことだった。たまにブラックでメンテナンスしているとわかるのだけれど、黒を入れた直後はあまりムラ感がなくなる(特に電球の明かりのような所では)。ムラ感を強く残したいのであればブラックを使わなければいいのだろうけれど、個人的にはよく見るとムラあるかもねーというくらいが好きなので。

気合入れてメンテナンスをするとかなり光り、その光り方も奥行きがある。
左がエジンバラ、右がグラスゴー。

メンテナンスはサフィールノワールのみでワックスは使っていない。
グラスゴー(チプリア)が特定の場所では強く光り、バラバラに拡散しているのに対して、エジンバラ(ラディカ)は光が柔らかに広がっている。しかも光り方に奥行きが感じられる。
ちなみに、チプリアはトウなど芯が入って固めなところがかなりわかりやすく光る。ロングノーズなデザインでもあり、目立つ靴にはしやすいとおもわれる。

ちなみに、リーガルの01DR(アノネイ社ベガノ)とも比較。

うーん、アノネイのカーフの光り方はやっぱり好みだわ。更に奥行きのある光り方をしている。肌理(きめ)の細かさが伝わるだろうか。こちらはまだ手入れの回数も数回なので、もう少し経つと光り方は変わるかもしれない。ただ、光かたの方向性はやっぱり違っていて、冠婚葬祭で言うところの「葬」にはアノネイのほうが良いかも。

写真でもうっすらとわかるのだけれど、このラディカ、光を当てるとややブラウンなのかバーガンディなのかといったような色を見せる。真っ黒ではなくて茶色をものすごく濃くしたような、茶色から作った黒みたいな。光のあて方によっては明らかに黒ではない色を見せる。
買ったばかりの頃、室内の明るいところで「あれ?これダークブラウンだったっけ?」と思ったくらい。

クラシカルなデザインも好みだし、革もラディカを使っていて気合の入った靴。このデザインだったら組み合わせるのはむしろアノネイのボカルーかどこかのボックスカーフのほうが良くね?とも思う。
インバネスくらいかかとをコンパクトにして、気持ちちょっとだけ甲を薄めにして再登場したら(もはやここまで来るとエジンバラではないけど)、いくつか揃えたいな。このデザインでVフロントか内羽根パンチドキャップトウ(セミブローグじゃなくて)が出たら即購入とずっと思っているのだけれど。

2013年6月9日日曜日

雨の日用の靴

僕は雨の日でもレザーソールを履く。

理由は単にレザーソールの靴しか持っていないから。
革靴を履いて仕事をする生活を15年以上やっていれば、デザインとか履き心地とかいろいろな理由で下駄箱に保管されたままになっていきそうな靴がある。
そうした靴を雨の日用に回している。

いまの雨の日シューズのメインはREGALのW134CBとW131CB。
REGALの中ではBTOの木型を使ったやや細身(D Width)のモデルで、アッパーは国産キップ。
購入当初はタイト志向が強かったこともありキツキツを買ってみたが、W134はいつになってもキツキツなままだし(特に左の薬指の先が当たるのがいまいち。サイズが少し小さすぎたかな)、W131は前半分は良い感じなのだがかかと周りがユルユルなことと、アッパーの皺の入り方が大味で今ひとつ気に入らなかったということもあり、登板機会が減りつつあった。

ところがこの国産キップは厚めで丈夫なうえでシミになりにくく(というか目立たず)、悪天候の日は頼もしい味方になっている。まだソールを張り替えていないが、おそらく丈夫な革なのでオールソール交換も何度かできるだろう。

確かにレザーソールは雨水は染みこむし、滑りやすいし、そのままにしておくとカビの原因にもなるし、おまけに雨でふやけてソールの減りが増えるとかいろいろ欠点がある。お客様の先で靴を脱いだとき、靴下が濡れていて嫌な顔をされることがあるかもしれない。
僕自身は訪問先で靴を脱ぐということはまずないので、多少雨が染みこんでも問題ない。
どちらにしてもアッパーはケアをしなければならないし、むしろレザーソールのほうが内部が乾きやすいということもあって、天候にかかわらずレザーソールを履いている。

雨の中レザーソールの靴を履いて、建物の中で硬い床のところに立っていると、床がうっすらと曇る。足が呼吸をしていることの現れだ。雨水を吸うけれど、排出もしている。むしろ雨の日こそレザーソールの通気性が発揮される場面だとも思っている。
ソールの減りは多少早くなるのかもしれないが、よく言われる「何十倍も早く減る」という実感はない。減ったら減ったで張り替えればいいわけで、既存の靴も活用できるし、今更ラバーソールを新調する金額で2回は張替えできるので、コスト的にも大きいとも思わない。

冒頭で「レザーソールしか持っていないから」と書いたが、本音は「雨の日でもレザーソールを履きたい」というところ。

予め雨が降ることがわかっていれば雨の日用のこの2足の優先順位があがるけれど、ここ一発のプレゼンをする日にお気に入りの靴を履いて行ったら、天気予報が外れて雨になったり、夏の暑い日にありがちな夕方の雷を伴う一時的な土砂降りの中外出しなければならなくなることもある。

だから、雨とソールは無関係、雨が降ることがわかっているなら敢えてアニリンカーフを履くことも無いな、という程度。

レザーソールでもラバーソールでもアッパーは濡れるわけで、どちらにしてもメンテナンスは必要。減るといっても雨の中駆けずり回ったりしなければそれほど神経質になることも無さそうだし。(ここまで書いて、自分はあまり外回りが多くない仕事だからこういう結論になるのだと思った。とかく一日外出しているような人であれば、ラバーソールを買うというのは理にかなっているかも)

雨に降られたらいつもよりていねいに手入れをすれば良いし、逆にていねいに手入れをする良い機会だと思っている。 相当土砂降りにやられると、逆に靴の古いクリームが落ちてるんじゃないかと思って、わざわざリムーバー使う手間が省けた気がする。

革は濡れてもきちんと元に戻るからこそ、サドルソープで洗うことができるのだし。

雨に濡れた時の対処は次の3つを念頭にしている。

  1. 汚い雨水を吸っているはずなので、その汚れを取る
  2. 形を整えきちんと乾燥させる
  3. 靴に必要な栄養分の補給をする

まぁ、ふつうに当たり前のことを当たり前にするだけなのだけれど。

雨に濡れた日
家に帰ってきたらまずはじめにやるのが、汚れ落とし。
汚れ落としはまだ濡れた状態の靴をふつうに(固くではなくて)絞った布で軽く拭う。表面に砂や泥が付いていることがあるのでこすったりはせず、異物を取り除くのが目的。
(あまりにも泥や砂が付いているときは、どうせ濡れているのだからシャワーで軽く流してしまう)

次に、乾いた布かキッチンペーパーで表面を軽く叩くようにして表面の余計な水分を取り除く。

ここまでやったら、フェイスタオルか使い古しのTシャツをキッチンペーパーで包んだものを靴の中に入れる。よく新聞紙を入れるとあるけれど、日経電子版にしてから紙の新聞が手元に無くなったのでこの方法に変えた。キッチンペーパーはティッシュより割安だし、結構水を吸うのでおすすめ。

ちなみにフェイスタオルはコンビニで売っているものを靴専用にしている。雑巾でも良いと思うが、表面のザラザラ具合が少なめな方が靴を拭ったりいろいろ使い道があるので。購入当初は水をあまり吸わないため、下着を洗うときなどに一緒に何度か洗濯をしてから使っている。

最初は30分くらいで、それ以降は気が向いたらちょこちょこ入れ替え、寝る前にもう一度入れ替えるという感じ。翌朝雨が止んでいれば中のキッチンペーパーを取り出してベランダの日の当たらない場所に置いて外出。この時シューキーパーを入れたほうが型くずれしないと思うのだけれど、カビが生えるケースがあったので、ある程度インソールが乾くまでは入れないことにしている。

2日目
帰宅する頃にはアッパーは完全に乾いていて、内部に一部水分が残っているという状態になっていることが多い。このくらいになるとシューキーパーを入れても大丈夫そう。濡れた時のメンテナンスはアッパーもそうだけれど、カビにやられやすい内部にも気を配ることが大切だと思う。

そこでいったんシューキーパーを入れてプレメンテを行う。
革が硬くなっていることもあり、キーパーはネジ式のものをややゆるめに入れてスタートする。

最初にステインリムーバーを使うという話をよく見るが、自分は水で濡らして少し絞ったティッシュを靴にペタペタ貼っていく。これは自分で勝手に「汚れ抜き」と呼んでいる。

こんな感じ。

10分から15分ほど経つと、ティッシュの一部が茶色くなる(右足の爪先部分)。日々の汚れとか余分なクリームがティッシュに吸われていく感じ。ティッシュは真水で濡らしているので浸透圧の関係で塩分も吸われている(はず)

ここでいったんティッシュを取り除いてみると、表面がうっすら汗を書いたような状態になっているので、乾いた布で軽く拭う。これを2回から3回繰り返す。
そうするとアッパーの汚れはたいてい取れる。

30分から1時間ほど乾燥させてからデリケートクリームを塗りこむ。またその30分後くらいに、極めて薄くニュートラルのクリームを塗る。2日目はここまで。
初日と同じように、寝る直前にシューキーパーを抜いて屋外に置いておくのだけれど、靴の内部にカビ防止のモールドクリーナーをワンプッシュおく。

3日目
本格的な回復メンテ。
昨日までに雨で汚れた靴の汚れ抜きが終わり、失われた栄養分と油分を軽く補給した。ここまででアッパーはそこそこ回復しているはず。

もしアッパーが塩を吹いている場合は、もう一度2日目と同じ事をする。
問題ないようであればちょうどインソールも乾いてくる頃(と、アッパーの状態も戻りつつある頃)なので、きょうからシューキーパーをきっちり入れてメンテナンスする。
最初に固く絞った布で表面を軽く拭う。これは儀式みたいなもので、ふだんのメンテナンスはともかく、既にキレイな靴にはあまり意味が無いかもしれない。

次に乳化性クリームを塗る。前日にデリケートクリームを塗っているのである程度栄養分が戻っていると思うので、次は油分がそれなりに含まれたふつうの乳化性クリームを使う。雨に降られた靴の時はM.モゥブレイのニュートラルクリームを使っているが、ブートブラックあたりの乳化性でも同じだろう。

30分ほど置いてから、ていねいにブラシをかける。たいていはその待っている間にソール専用のクリームを薄く塗る。僕はシェットランドフォックスのLeather Sole Conditioner(コロンブス製)を使っている。

あとは適当に2、3日部屋の片隅においておくと元通り。
以前に、カビ防止のためにベランダの日の当たるところにおいておいたことがあって、そのまま外出して次の日帰ってきたら表面がざらついてしまったことがあった。その後は日に当てるというのは怖くてできなくなった。なので乾燥はすべて日の当たらないところでやっている。風通し良ければカビが生えること無いので。

気がついた頃に、気休めの補色としてサフィールノワール(ブラック)をうすーく伸ばして、ブラッシングして磨いて終了。

結構メンテナンスに時間がかかっているようにも見えるけれど、作業そのものはそれぞれ数分程度。初日は表面の汚れ落としと内部の水抜き、2日目はアッパーのケア。3日目はふだんのメンテナンスと言う感じ。

これでいまのところカビやひび割れもなく3年くらいやっている(でもこれらの靴がびしょ濡れになったことはそれぞれまだ10回くらいしか無いけど。朝から土砂降りじゃない限り普通に他の靴を履くので)

やっぱりお気に入りの靴は「雨に降られたくない」と思う気持ちは残るのだけれど、せっかく気に入った靴なのだから、ここ一発履きたいときに天気のせいで妥協をしたくないという気持ちのほうが強くなった。いまのところ雨に降られたことが直接の理由でダメになったという感覚は無いし、たまに降られるとかなり本気でメンテナンスするので、まぁ良しと思うようにしているのが大きいかも。


--------

ブートブラックとシルバーラインの比較

前回 boot black のクリームを塗り分けた靴だけれど、その後2回ほどメンテナンスをしたところ、なんとなく違いができてきたので追記 。

ブートブラック(黒い蓋)とシルバーライン(銀色の蓋)は初回に塗ったときでもしっとり感が違う気がしていたが、しばらく使い分けていると明らかに光り方が違ってきた。

この間、履いたらていねいに両足ブラッシング(このブラッシング用のブラシだけは黒色共通のものなので、多少サフィールなどが上乗せされてしまっているかも)して、翌日キレイな布で磨く。基本的には雨の日用の靴なのだけれど、あれから大雨に降られたことが無いので、クリームは3回履いたら1回塗るくらいのタイミング。(通常のお手入れよりやや頻度高め)
ステインリムーバーなど他のお手入れグッズは一切使わず、きつく絞った布で拭ったあとにクリームを単純に塗り重ねているだけ。(ちなみに一度に塗る量は片足米粒数粒程度)

左側がシルバーライン、右側がブートブラック(黒い蓋の方)
写真で見てもなんとなくわかるようにブートブラックのほうがやや青い色の光をしている。

シルバーラインは表面的に強い光を返すので、光がはっきりとした白色になる。一方ブートブラックはやや奥深い光なので革に(というか多分クリームの色に)含まれる青色を帯びた反射をする。

単体で見ていると全く気にならないが、こうして比較してみるとシルバーラインは少しラップをかけたような感じになっている。やっぱりブートブラックのほうが光り方は好みだ。

シルバーラインはやはり表面で反射をさせるような革向きに思える。「一般向け」とされている所以はガラスの靴にも使いやすいクリーム、ってところだろうか。まぁ、ワックス無しでここ一発で少し光った感じがほしい時なんかも役に立ちそう。 ポリッシュするような向きではなく、手入れにはあまり時間を掛けたくなくてクリーム一つでなんでも済ませてしまうような人たちにはいいかもしれない。

逆に、それなりのカーフを時間をかけて手入れをしていくような場合はブートブラックのほうが軍配が上がる。しっとりつややかな感じのほうが個人的にも好み。

もうしばらく続けてみようかな。

--------

2013年5月17日金曜日

BootBlack

革靴のクリームと言ったらサフィールやM.モゥブレイあたりが有名ドコロで、靴のお手入れが半ば趣味みたいな人ならば誰もが持っているだろうけれど、わが日本でもこれらに負けない(と思う)靴クリームがある。日本の靴ケア商品の最大手であるコロンブスが販売しているBoot Blackだ。


コロンブスというと、どうもチューブ入りの靴クリームや、アンメルツヨコヨコの容器みたいなものに入っている水っぽいケアグッズなど、どちらかと言うと本格的な革靴のメンテナンスというよりは、単に靴を光らせるだけのものという印象が強くて、これまでは縁がなかった。レザリアンシリーズなど普通の靴クリームもあったのだけれど、はっきり言ってコルドヌリ・アングレーズやモゥブレイと比べて、あえて買うほどのものでもなかった。


ベビーブーマーが就職する前後から、いわゆる高級靴ブームが一部の間に出てきて、革靴の素材に注目が集まるにつれ、そのメンテナンスも脚光を浴びるようになった。そこで満を持しての登場である。


ちなみにこれまた日本のメーカーであるリーガルブランドのケアグッズの多くもコロンブスが提供しているが、高級ラインのクリームはサフィールだったし、リーガルトーキョーではコルドヌリ・アングレーズが売られていた。ちなみに現在リーガルトーキョーに置かれているクリームはサフィールノワールとシェットランドフォックスのクリームで、後者はコロンブス製である。やっと日本のメーカーで靴とクリームを揃えることができるようになった。

(ま、日本の革靴市場が成熟していなったというのもあるけれど、職人気質のあるメーカーだったらニュートラルとブラックだけでも良いので高級靴にも使えるクリームを前々から用意しておいて欲しかったな。)


ふだんのメンテナンスにはモゥブレイのデリケートクリーム、それにコルドヌリ・アングレーズのビーズワックス、かなり稀にモゥブレイのステインリムーバーでやっているのだけれど、せっかく日本のメーカーが本格的なメンテナンスグッズを出したのだから買ってみようということで購入した。

Boot Blackには「プロ向け」のBoot Blackシリーズ(黒い蓋のほう、以下ブートブラック)と、「中級者向け」のブートブラックシルバーライン(銀色の蓋、以下シルバーライン)がある。今回はどちらが良いのかわからないので両方買っちゃいました。
靴磨きに関して私はプロではないので、まぁシルバーラインで十分なのだろうが、なんとなくコロンブスだけにディフュージョンラインは「とにかく艶を出さないと」的な商品になってそうな予感がする。



外観

ブートブラックはシールで、シルバーラインは瓶に直接印字されている。印字のほうが良さげなのだが...
大きさとしてはM.モゥブレイのクリームの瓶を一回り大きくした感じ。



クリームの感じ

ブートブラックのほうがウエット。どちらも蓋ギリギリまで充填されている。買ってきた時瓶が傾いてもクリームが偏ることが無いので良いかも。でもその程度のメリット。



シルバーラインは乳化性クリームの割りには固めな印象。果たして伸びはどんな感じか。





香り

致命的に悪いと思う、どちらも。
いかにも灯油っぽい臭いがする。サフィールあたりはクリームそのものの香りも良くて、それが一種のアクセントになっているけれど、ブートブラックもシルバーラインもこの点はまるでダメ。ケアが楽しくなくなる。プロは香りなんてこだわらないのかもしれないが、シルバーラインのターゲットである人たちはこれで満足するのかな。
サフィールはなぜあんなに良い香りなのだろう。この差はなんなんだ?


で、この2つのラインにどれほどの違いがあるのか、実際に確かめてみた。


今回比較に使う靴は、これまた日本のリーガルが販売するプレーントウのW134。
リーガルブランドのBTOのラストを使ったモデルで、アッパー素材はキップ。生後6ヶ月から2年くらいの革で、カーフ程ではないがそこそこキメが細かい革と言われている。
アネノイのボカルーあたりと比べてみると締りのない感じがあるけれど、比較的シミになりにくいし、革も厚めなのでデイリーユースには十分ありだと思う。


比較をするにあたって、まずモゥブレイのステインリムーバーで古いクリームを落とす。この靴は最近はサフィールクレム1925のニュートラルで磨いているので、いつもよりていねいめにリムーバーをかけてみた。

ちなみに、ステインリムーバーはあまり使わないほうが良いという意見もあり、個人的にもそう思う。ふだんは固く絞った綿布で表面を拭ったり、汚れや塩吹きがひどい場合は濡れたティッシュを貼り付けて汚れをとっているので。(濡れティッシュによるメンテナンスを始めてから、ステインリムーバーやサドルソープの出番がほとんど無くなった。これについては後日書いてみたいと思う)

前処理として、ふだんはM.モウブレイのデリケートクリームを薄く塗るのだけれど、今回はBoot Blackの素の実力だめしということでいきなりクリームを塗ることにする。

※この方法は色が薄い革だとシミになりやすいかもしれない。


クリームは布に取り、出来る限りうすーく塗り伸ばした。
クリームの量が結果の差にならないように、出来る限り同じ量を入れるように注意した。よく言われる米粒単位で数えて4から5粒程度の量を塗りこんだ。デリケートクリームを塗っていないためふだんよりちょっと多め。

塗り終わって15分くらい放置して、それからひたすら乾拭き。
ブラシを使うと他のクリームが移ってしまい、違いがわからなくなりそうだったので、今回はていねいに乾拭きをした。

コルドヌリ・アングレーズのクリームはしばらくおいてから乾拭きをすると、なんとなく引っかかるような感じを受けるけれど、Boot Blackはどちらのラインもそういうことがない。ワックスに含まれる蜜蝋の違いだろうか。


結果


右足(向かって左)がブートブラック、左足がシルバーライン。

一度だけしか塗っていないのであまり差がわからない...
しばらく使い続けると差が出るのだろうか?

強いて違いをあげるならば、写真ではわかりにくいがブートブラックのほうが光に当てた時白くなる部分が明らかに広い。最初は同じ靴でも革の違いが出ているのかなと思ったのだけれど、あちこちの部分でみてみると、全てブートブラックのほうが光の帯の幅が広かった。一方シルバーラインは光がまとまるというか、幅は細くても反射の最大値は高い傾向がある。何度も磨いて同じような状況にしていると考えられるので、思うに、ブートブラックのほうが多少ウェットな仕上がりをしているのだと思う。プロが磨いたら大きな違いがわかるのだろうか。

つま先を拡大するとこんな感じ


ネットの書き込みをみるとブートブラックシリーズは艶がキツメに出るというものが多いけれど、まぁ、確かにそんな感じがする。
サフィールノワールはしっとり鈍く光ることに比べると、特にシルバーラインはピカピカした感じに仕上る。

今回はあまりキメの細かい革ではなかったので、この反射感がかえってビニールっぽさと言うか、なんとなく安物っぽい方向に出てしまっている。まだ1回目なのと、磨いた直後ということもあり、しばらく様子を見ると変わるのかもしれない。

私自身は靴磨きは全然プロでもないし、上手い方でも無いと思う。ただ、これまでずっとコルドヌリ・アングレーズを使ってきてその質感に慣れているので、どちらかと言うと瓶を開けた時の見た目としてはブートブラックのほうが違和感が無い。

ということで、価格差も数百円なので自分で使うならブートブラックとなる。どこでも売っているというわけではないが、ちょっと高級な靴を扱う百貨店の靴売り場でふつうに売っている。(私は出張先のそごうで買った)

なんといっても残念なのはあの灯油のような臭い。靴磨きがどうしても作業のような感じになってしまう。素材を突き詰めていってあの臭いになってしまうのであれば、変な香料を入れるよりもマシな部分もあるのだろうけれど、せめてシルバーラインは一般向けなのだからもう少し何とかならなかったのだろうか。

ひとつのクリームを塗り重ねることで靴を育てていくというポリシーがある人にはわざわざ乗り換えを薦めるほどのものでも無いというのが正直な感想だけれど、日本の環境に合わせて日本で作ったクリームと言うことらしいので、しばらく使い続けて様子をみてみようと思う。



--------

2013年5月11日土曜日

Shoe*

革靴って奥が深い。

靴のいちばんの目的は「足を守る」こと。

人間以外は靴を履かない。

それは産まれた時から素足で生活しているからで、もし人間も靴を履かないまま生活していたら多分裸足でも歩行にあまり支障がなかったのかもしれない。

でも私たちは小さい頃から靴を履いて育ったし、いま私たちが生活している環境で素足で歩くのは現実的ではない。ダイ・ハードのブルース・ウィリス扮するジョン・マクレーンは素足であったためにガラスの破片で怪我をしてピンチになる。靴を履くということはひとつの常識となっている。

いまは靴にもう一つの目的がある。「ファッション」だ。

「おしゃれは足元から」という言葉があるように、その人のファッションに関する傾向は靴を見ればわかる。伝統的なのか、モード寄りなのか、リラックス志向なのか、それとも無頓着なのか。雨の日でも気にせずレザーソールの人もいれば、天候によって細かく靴を分ける人もいる。

特にスーツスタイルの男性は靴ですべてが決まると言ってもいいと思う。同じスーツを着ていても靴が異なれば印象はガラッと変わるし、安いスーツであっても靴がまともであれば全体の高級感をグッと上げる。

身に着けているものの総面積からするとほんの小さな部分であるけれど、大きな影響力を持つ。それが革靴だと思う。

私が初めてまともな革靴を買ったのはもう20年近く前で、当時リーガルシューズで販売していたジョンストンアンドマーフィーのストレートチップとモンクストラップだった。社会人になって自分のお金で始めて購入した靴だ。社会人一年生からすればものすごい高級靴だったし、それはもう大切に履いていた。

当時は革靴のお手入れに関しての知識も経験もなかったので、雑誌やムックに書いてあることを参考に、いま思えばかなり過剰にメンテナンスをしていた。履くたびにブラシを掛けて、チューブ入りのクリームを使い、これまたチューブ入りのクリームを大量に塗り、一生懸命に磨いていた。

そうこうしているうちにだんだんと靴磨きの経験値も上がってきて、またインターネットでいろいろな靴磨きノウハウも知ることができて、革靴のお手入れもひと通り出来るようになった。革靴のお手入れというのは、面倒である一方で楽しくもあり、きれいに仕上がった時の感動もある。

靴がその人を表すといえるのは、こうしたお手入れを通じて靴が完成していくからなのだと思う。買ったばかりの靴よりも、ていねいにお手入れをされ続けてしばらくたった靴のほうがはるかに魅力的だ。

革靴は成長する。

それは放っておいて勝手に成長するのではなく、手間暇かけて大切に扱うことで、その期待に応えてくれる形で成長する。だから革靴というのは面白い。
お金さえあればいくらでも高級な靴を買うことはできる。でもその靴を成長させるには時間と愛情が必要だ。

だから革靴は奥が深い。

ここまで書いていた時間で、きょうの雨でずぶ濡れになった靴のファーストケアが終わる。さてこれからクリーナー片手にきょうのお手入れを始めるとしよう。