2026年4月1日水曜日
社会人の道具としての靴
2026年3月9日月曜日
ビジネスシーンでの REGAL 2235NA
仕事用の2235NA、ブラックです。
最近は仕事中にスーツを着ることが少なくなり、足元も黒のキャップトウではなく黒系のスニーカーがメインとなってしばらく経ちました。
スニーカーってやっぱり楽で、階段の上り下りなんかを繰り返しても足や膝が痛くなるなんてことがありません。タウンユースなので泥だらけになるようなこともなく、大きく目立つような傷がつくようなこともありません。大半の革靴のように履き始めの修行もいりません。
ただ、なんでしょうか社会人生活二十数年をずっと革靴だったこともあるのか、足元が軽すぎて落ち着かない感じが続いていました。試しに足元だけプレーントウにしてみたりローファーを履いてみたところ、落ち着くというか締まるというか、なんとなくしっくりきます。
どちらかというとスニーカーそのものが悪いのではなくて、慣れていなかったり格好良く履けない本人に問題があるのですが、やっぱり革靴のほうが履きなれしているということもあり、近頃は少しずつ革靴比率が上がっています。
総合的な機能性という点ではスニーカーに軍配が上がると思います。最近の超高機能ではないクラシックなスニーカーでさえもクッション性、通気性、メンテナンスの容易さ、価格などで革靴を上回るところは多いです。科学技術の進歩から生み出されたものが機能面で優位なことは当然なのかもしれません。
でも、やっぱり革靴なんです。
指先の踏ん張る感じとか、大地にへばりついている感じとか、屈曲した時の戻ろうとする力とか、かかと周りのどっしりした感じとか、革靴のほうが自分に合っているということに改めて気づきました。「三つ子の魂百まで」ではないですが、社会人になってずっと平日は革靴、下手すりゃ休日もほぼ革靴で過ごしてきたのである意味そうなんだな、というところでしょうか。
マイケル・ジャクソンのムーンウォーク、あれローファーで初披露ですからね。日本人でもあのサディスティック・ミカ・バンド時代の高橋幸宏さん、ドラム叩く時革靴ですから。ここまでしないビジネスシーンでは履き慣れちゃえば問題が出てくることなんてまずないことに気づきました。
ということもあり、これを書いている2026年春は黒系革靴が個人的トレンドです。
いまの定番スタイルになりつつあるブラックジーンズやチノに合わせることを中心に考えると、ドレスよりな靴よりは少しボリュームがあるほうがバランスが良い気がします。ルーツ的には米国発ですので、足元もやや重めのプレーントウやソールががっしりしたフルブローグがいい感じです。
ネットを見ているとドレスよりの靴を合わせている人なんかもいるようですが、なかなか難易度が高そうです。少なくともオシャレ認定されているようなちょいワルオヤジ(死語?)くらいのセンスと迫力がないと「靴だけが浮いているオジサン」になってしまいそう。
カジュアル革靴の一つの代表とも言えるローファーは、それこそこちらはドレスよりの品の良いデザインを選ばないとどうしてもカジュアルっぽさが強く出てしまい、ビジネスシーンでは(私には)難しい。
私はパンツの丈が短かすぎるのはちょっと... というタイプなので、足首が隠れる丈のストレートパンツに黒のローファーだと野暮ったさが出てしまいます。デニムのレングスで言うと30インチだとノークッションになってつんつるてんになりがちな気がして、32インチを少しクッションさせて履くのがちょうどいいと思うタイプです。しかし格好いいオジサンは決まってスキニーなタイプを短めにして足首見せてローファー決めています。マイケル・ジャクソンも少し短めの丈に白い靴下見せながらムーンウォークを決めてるくらいで、ローファーはやっぱりしっかり見せて履くのが気分。
となると私にとってはやっぱり重厚な靴のほうがうまくいきそう。
そこでリーガルの2235NAなわけです。アメリカンタイプのフルブローグ(ウイングチップ)
ウイングチップという言葉は難しいです。もともとは靴のつま先のW形状の意匠を指し示す言葉であったようですが、このウイングチップデザインの中で穴開けたり革の端をギザギザにしたりとあれこれしたものが出てきて、これを加工の名前をとってフルブローグと呼んだようです。いわばウイングチップの一形態がフルブローグというのがイングランド人の考え方っぽい。
ところが海を渡った米国では、このフルブローグのデザインに少しばかりのひねりを加えて、アメリカンタイプなフルブローグを生み出し、これをウイングチップと呼んだようなのです。同じ単語でも指し示す内容が時と場合によって結構違ってくる一つの例みたいです。
定番2235NAは重厚な作りを感じさせつつ、やや上品な雰囲気も感じられドレスダウン系ビジネスシーンにもおさまりが良いです。アメリカにもルーツを持つリーガルですから、ジーンズやボックスタイプのジャケパンスタイルとも相性がいい。
同じリーガルの中では10ELDDがトリッカーズバートン系だとすれば、こちらの2235NAはフローシャイムのKenmoorといったところでしょうか。同じウイングチップデザインでも方向性が結構違います。
このスコッチグレインレザー(型押しのシボ革)も足元の重厚感に一役買っています。足元が安っぽいと全体が軽めに見えてしまいがちですが、2235NAをボトムに持ってくることで、センスがない私でもそれなりにキレイめを狙う作戦です。
2235NAや2589Nのようなゴツめのウイングチップはボックスシルエットのアメリカンスタイルスーツであれば似合うのかもしれません。クラシックなスーツスタイルには合わせようとするとやや主張が強すぎて靴だけが浮いてしまいます。ドレススタイル寄りにはドレススタイル寄りな靴が似合います。
一方で、ジャケパンなどのカジュアル要素が多くなってくると途端に収まりが良くなる気がします。シボ革なのでもともと小さな傷は目立たないものの、やはりきちんとお手入れされて品を保つような履き方が似合います。これがビジネスシーンでも活躍するひとつの理由です。
ビジネス上でのウイングチップってどうなの、について私は「限定つきあり」と思っています。
大前提として冠婚葬祭や重要な会議、セレモニーなどのフォーマルが要求されるような場所ではドレス寄りのデザインだとしてもやめておいたほうが無難です。いまや結婚式もくだけたスタイルでいいよという雰囲気だそうですが、だからといってあえて親戚一同集まる両家のお祝いの場に、お気楽カジュアルで登場するのもどうかと思います。招待をされている身であるからこそ自分の好み優先の選択ではなく、相手や集団を立てる選択が大切です。
気持ちがこもっていれば構わないとしても、牧師さんまでグランジスタイルなデニムで新郎新婦の誓約を司ったり、(ハワイの)正装とはいえアロハシャツにチノパン、ソフトモヒカンで決めた住職さんの法要では場が白けてしまいます。知識がなくて外してしまうのは仕方ないところもありますが、わかっていてあえて外しに行ってしまうと、内輪のネタなら許されても、たくさんの人が集まる場であれば単なるおバカさんです。そもそも自分の役割に矜持を持っている人はそんなことはしません。
就職活動や顧客先への初めての訪問など、初対面での印象は後まで残りますので、そういう場がおおいなら、キャップトウかプレーントウを選んでおけば間違いありません。あなたにとっての1/365日は、相手にとっては1/1日かもしれません。せっかく靴に対してほかの人よりも多い情報量を持っているのだから、最適な戦略を選びたいですね。
一方、オフィスカジュアルでポロシャツやチノパンが推奨されるようなシーンにおいては、このウイングチップはとても使いやすいです。何といっても革靴ですので、スニーカーと比べると格段に大人感があります。
ジャケパンとの相性も良く、なんだかんだで全天候型です。よほどフォーマルを要求されるようなお店でなければ、靴が問題になることがありません。いわゆるスマートカジュアルで靴が問題になることはないでしょう。
ビジネス感を出さずに、かつ品よくまとめたいときにはブローグ系の靴がハマります。ここでは逆にホールカットやキャップトウだとよほど上手にまとめるかセンスを評価されている人でないと、カジュアル靴にまで手が回らないおっさんが出来上がります。
釣り込みなのかパターンの微調整なのか、最近購入した2235NAはくるぶし周りが以前よりも気持ち低くなっているように思えます。多少はあたってしまうものの、刺さるような感じは減っています。2504NAの時もそうでしたが、歳とともにこちらの足が少し分厚くなったのか、それともリーガルが微妙に変えてきたのかはわからないものの、個人的にはプラスの方向になっています。また、なぜか踵の収まりもよくなっている気もします。新品だからあまり沈み込みしていないのか、かかとも少し窄まっているだけなのか測ったわけではないので直感でしかありませんが、以前よりも履き始めのフィット感がよくなっています。
この靴は親指側がストレート気味なので比較的親指が自由に使える靴です。リーガルはときどき内側(いわゆる親指側)をカーブさせてくることがあります。同じウイングチップ系の10ELDDとは明らかに親指側が違います。伝統的なラストはこのあたりの作りが私にとってはありがたい。
おまけに羽根の開きも以前に買ったものよりも明らかに開いています。ハーフとは言わないまでも数ミリ単位で全体的にコンパクトとなり、少し締まった印象です。
2235NAのアッパーはステアベースだとは思うものの、2504NAなどのガラスレザーと比べると履き始めからやわらめです。しわも目立ちにくく、シボ革(スコッチグレインレザー)のメリットが感じられます。
ただ、ただでさえギンピングがあってクリーム塗りにくいことに加えてレザー表面も立体的となるとクリームを布で塗るのはなかなか難儀です。塗り切れていないところが多発したり、逆に穴にたまってしまうなんてことも起きがちです。ペネトレイトブラシや使い捨て歯ブラシみたいなもので塗る方が楽かもしれません。
私は布で塗る派なので、できる限り丁寧に塗ってからわりとすぐに豚毛のブラシで馴らします。表面で不均一になっているクリームが延びて、育ったブラシに残っているクリームと合わせて穴やギザギザにクリームがはいればいいなと思っています。
いまとなっては貴重なレザーソールモデル。厚手のソールは相変わらず硬いです。履きはじめはなかなか返りが悪いので、部屋やベランダなどでできる限りソールに曲げ癖をつけてから履くのがおすすめです。つま先はかなり削れますが、そこまで気にして履くのもどうかと思うので一度履き始めたらとりあえず気にしないが正解です。
2235NAは定番とはいえ、街の靴屋さんではほとんど見かけませんね。
リーガル公式通販の価格で税込40,700円(2026年3月現在)と、いつの間にか4万円を超えています。
素材やこれを作るための工賃、機材等の維持費用や流通販売コストを考えると40,700円(税抜なら37,000円)って破格な気がします。通販サイトなどでもう少し安く販売されていることもあります。リーガルの卸値はもっと安いと思うと驚異的ですが、一般的な感覚からするとめちゃくちゃ高い靴、という位置付けです。ほとんどプレミア価格といえるUSA製のNew Balanceの1300が税込44,000円ですからもはやスニーカーの最高レベルに近い価格で、価格だけで比べたら革靴に勝ち目はありません。
2024年の総務省の家計調査によると、1世帯あたりの男子靴の支出額は3,327円。これでも前年比増加しているとのこと。ちなみに1世帯全体では14,488円だそうです。1980年代後半と比べると日本靴の生産は大きく落ち込んでいます。
この波にリーガルコーポレーションものまれてしまい、高級靴の主力工場ともいえる関連会社のチヨダシューズを解散、希望退職者を募集と発表しています(2026年2月9日付「構造改革(希望退職者の募集および連結子会社の操業停止)に関するお知らせ」)。
2021年には米沢製靴を解散しており、その際にチヨダシューズに移った人もいると思います。華々しいリブランドの陰でこうした厳しい決断もまた行われていたりもします。
自分の周りを見ていても、もはやグッドイヤーウェルテッドの革靴を履いている人は少数です。若手に限ってはまず見かけません。公的機関などもスニーカー容認が進んでいますので、この流れは逆らいようがないのかもしれません。
このような環境の中で、1足数万円の靴を作り続けるリーガルの企業努力って本当にすごいと思います。リーガルの主力工場のひとつ岩手製靴さんでは1日600足という数字が2年ほど前に出ていました。ざっと年間15万足とするとちょうど1足1万円くらいが平均的なリーガルから見た原価でしょうか。
少子化でそもそも社会人として革靴を新規購入する若年層自体が減少し、メインの団塊ジュニアは就職氷河期を経験して比較的財布の紐は堅いことに加え、役職定年を迎える時期に差し掛かっていますから、日本国内においてドレス系のビジネスシューズはかつての賑わいは戻らないでしょう。
外部からは実情を知る由もありませんが、将来に向けて構造改革をしたり工場を整理したりするのも、企業経営上避けて通れない決断に思えます。これだけの品質の靴がいつまでも販売され続けるという保証はありません。職人さんの減少もあるでしょうから将来的には海外生産のOEM、なんてことになってもおかしくありません。
とはいえ、革靴を履く人口が減っていく中でも当面は日本人が靴そのものを履かなくなるなんてことはないと思うので、いずれにしても靴を作る会社は必要です。20年くらい先の2050年でも日本人は1億人ほどはいますし、世界では2100年くらいまでは人口が増えると予想されています。
日本国内の市場がシュリンクしていても、まだまだ国内1兆円産業であるので業界の再編や構造改革次第では活路はあるのかもしれません。グローバルに目を向ければ靴そのものは成長産業にもなりえます。
ダブルエーとの業務提携は一つの活路になりそうですね。ジェイドグループやエービーシー・マートのように高い営業利益率を生み出す企業もあるので、靴業界自体が儲からないのではなく、企画力とか販売力の差であるともいえます。リーガルもグッドイヤーウェルテッドの靴だけを作っているわけでもないですし、ケンフォードあたりのサブブランドを見ても、決して高価格帯ばかりのこだわりがあるわけでもなさそうです。
違いがあるとすれば卸モデルであることと頻繁なモデルチェンジと廃盤セールでしょうか。エービーシー・マートはナショナルブランドを販売しつつも、一部を協力工場で作って利益率を確保しているそうです。ナショナルブランドといえどもいつ行ってもオールスターやらCM996、U/ML574、ホーキンスとティンバーランドが売っている印象です。たまーに売れなさそうな色のセールをしている気もしますが、メインの棚ではいつも同じものを売っている感じです。
かたやリーガルはかろうじて2235NAや01DRCDは残っていますが、名作の誉れ高いW105、オーダー木型を使ったW121/131/141などのシリーズ、シェットランドフォックスの初期モデル(エジンバラ、アーバイン)はどこへ行ってしまったのか。
エジンバラはマンチェスターに名前を変えて出直しを図っている感があります。当時は踵緩め甲高めで作ったものを少しばかり修正してきていると思われるものの、この出したり引っ込めたり感がブランドを確立できない一つの要因と思えてなりません。気に入ったモデルが出ても廃盤されるリスクが常に付きまとう。
シェットランドフォックスは立ち位置が微妙ですね。ブランド登場当時は価格差でポジションできたものの、これだけ靴が高くなってくると、もはやこのゾーンを維持する意味がなくなりそう。6万円台だと01DRCDとの差別化が難しいですし、かといって10万円近くなるともはや既製靴としてどれだけの市場があるのでしょうか。サラリーマンはおいそれこれだけの金額出せませんって。一昔前はいい靴が3万円台、高い靴が5万円から6万円くらいだったので、「奮発して01DRCD」「いつかはケンジントン」が成り立ちましたが、もはやそれなりにちゃんとした革靴を最初に3足そろえるなんてのは無理な時代になってしまいました。
リーガルコーポレーションという企業は本格靴を作るメーカーという見方をしがちですが、運営実態としてはファッションブランドだったりもしますので、流行を作ったり流行に乗ったりすることもまた企業の存在価値の一つともいえそうです。工場を解散し企業経営をスリム化しつつ、ほかと組みながら店舗を改装する、という戦略はいまのリーガルが生まれ変わろうとしているようにも見えます。
本格靴を量産可能な設備と技術を持つメーカーでありながら、ファッションブランドとしての小ロット作成&セールをしていかなければならない経営って本当に大変だと感じます。
「本格靴メーカー」として多くを私たちが求めてしまっても、それを支えるだけの顧客基盤が将来的に日本国内では期待できない。であれば体力があるうちに次の10年、20年に向けた企業の構造改革をしていくのは経営の覚悟です。多くの技術を有し、良心的な価格で日本の本格靴市場を支えてきたリーガルという企業で働いてきたみなさんがこれからも誇りをもって働くことができるよう、今回の決断が企業の発展につながることを願ってやみません。
リーガルはもちろんのこと、他の多くのメーカーや工房が生み出すグッドイヤーウェルテッド製法でしっかり作られた国産靴は、英国製や米国製にも引けを取らない素晴らしいものです。個人でできることなんてたかが知れているとはわかっているものの、これからもニッポンの靴作りが1日でも続くようにニッポンの靴を履いて(できれば買って)応援していきます。
日本の世界に誇る名作2235NA。
見れば見るほど、履けば履くほど、お手入れをすればするほど日本の靴づくり歴史や技術、考え方が詰まっていることに気づきます。
革靴に興味がある人であれば、一度は試し履きしてほしい靴。
一足はワードローブに加えてほしい靴。
2025年11月1日土曜日
REGAL 10ELDD
リーガルのフラッグシップ、10ELDD。
往年の名作といわれるW10BDJの復刻版。
復刻に際してリーガルシューズ専売モデルのWから始まる型番から、一般流通もする数字型番に変更されました。リーガルが公式に「復刻」と言っているように、ライニングが山陽抗菌仕様の濃いブルーから一般的な生成色に、ソールの刻印がREGAL SHOES ORIGINALから栃木レザーを前面になどいくつかはあるものの、全体に大きな影響を与えるところはW10BDJと変わっていません(たぶん)。
アッパーは姫路のタンナー山陽のグレージングキップ、ソールは栃木レザーのタンニン鞣しベンズを採用した360度グッドイヤーウェルテッドなカントリー仕様のフルブローグ(ウイングチップ)です。
日本でもこれだけの靴を作ることができるのですから、足の形があいにくい米国仕様や英国仕様のフルブローグを無理して履かなくてもいいのではないかと。私は一度クロケット&ジョーンズで痛い目をみているので国産靴派です。
10ELDDはリーガルの名作中の名作です。革靴市場がどんどんシュリンクしていく中で、その中でもニッチなレザーソールウイングチップに2235NAと並べて提供し続けるのは難しいのかもしれませんが、ぜひ今回の復刻が長く続くことを期待します。
リーガルも公開会社ですから好きなことばかりやってはいられません。ステークホルダーに納得してもらえる企業価値を維持し続けなければならず、国内の靴市場だけでそれを支え続けるのって本当に大変だと思ってしまいます。日本人に比較的合いやすい靴であれば、アジアの一定のマーケットでは米国製や英国製の靴よりもフィットする靴として受け入れられると素人目には思えてなりません。
海外にはそもそも市場の有無、それ相応の現地の商習慣や為替の変動リスクを考慮した貿易・流通、また「REGAL」という商標の問題もありそう簡単にはいかないのだろうなと思いつつ、製造は一部アジアでも行っていることを考えると勝ち筋が全くないわけでもない気がします。このあたりは当然にリーガルコーポレーションの経営陣や企画部門も考えているはずなので、外からはわからない課題があるのだろうとは理解できるものの、これだけの靴を作る技術はこれからこうした靴に対する需要が高まる国への提供を通じて、ぜひニッポンに残ってもらいたいと勝手に思ってしまいます。
今年(2025年)の大幅なリブランドがあったのは、これまでのブランド戦略では十分なブランド価値を保てなかったのかもしれません。「リーガル」と検索しようとすると「リーガル 恥ずかしい」のようなサジェストさえ出てきます。
最近リーガルコーポレーション公式Youtubeの存在を知りました。自分のこれまでのイメージと全く異なる、若い人がおしゃれにチョイスする靴、単なる靴の形をしたものを量産するのではなく機能性とデザインを両立させた靴、それを若い人の力でカタチにする素晴らしく格好いい会社に見えます。最近1年間に作られた公式Youtubeを見てもまだ「恥ずかしい」と思うのならばそれはセンスの違いなので仕方ありませんが、私は浅はかなにわか知識で、勝手なイメージでリーガル見ていた自分がそれこそ恥ずかしくなるくらいの衝撃を受けました。
コンサルや広告代理店に多額の費用をかけて広告出す1/10の予算でもこちらに振り分けたら、ブランドイメージを劇的に変える起爆剤になるのではないか、そんな可能性を感じます。おじさんおばさんが会議室で個人的な経験しかよりどころのない議論をぶつけ合っているのではなくて、靴が好きな若い人たちが自分たちが楽しめる靴についてときには感情で、ときには理論的に取り上げられています。少し堅めな私から見るとコンテンツの中にはメーカーの発信する情報としては一貫性がないものもある気がしますが、お葬式場の砂利の話やパンプスを履けない人に向けた説明など、ときどききらりと光るコンテンツがあります。傾向としては男性の解説はマーケットインというよりは自分の経験やこうした方が良いのではないかという想い中心のプロダクトアウト型、女性の解説としてはユーザー視点のロジカルなものが多くいちユーザーとしての視点のものが多い気がします。メーカー公式Youtubeでも「とぅー」と発音する人が結構いましたので、リーガル的にはここあまりこだわりなさそうです。
いずれにしてもリーガルの今回のリブランドに合わせて、靴のセレクトショップとSPAが共存する靴を中心とした専門型アパレルなんて位置づけも十分狙えるポテンシャルを感じました。続編が楽しみです。これだけのコンテンツが公式サイトからすぐに辿り着けないのが不思議です。
だいぶ話がそれましたが10ELDDに戻します。
リーガルのウイングチップには不動の2235NAがあるので、W10BDJが出た時には「いい靴だけど早めになくなりそう」と思っていたらやっぱり販売終了とお馴染みのパターンではありました。終盤にはセールなんてのもあったみたいで、もうこういう靴は一発企画なんだなと思っていたところ、およそ10年の時を経てまさかの再登場です。しかもリーガルでは専用ページも作る力の入れよう。
2235NAのスコッチグレインレザー(シボ革)は好みもあるので、スムーズレザータイプのウイングチップというところにこの靴のポジションがあります。ウイングチップは過去にも登場しては消え、また登場しては消えるなんてことを繰り返しているデザインではあるので今回も「いつまでもあると思うな」でしょうか。これを書いている2025年10月現在ではまだ在庫は潤沢なようです。この靴は「買い」です。
デザインは2235NAとは異なり、ヒールカウンターが独立しているフルブローグタイプ。全体的なデザインは英国靴寄り。トリッカーズやチャーチ、ジョンロブあたりを意識して極めて普遍的なデザインで作っていったらこうなった、という印象。トウスプリングはあまりとっておらず、いわゆる変な現代的解釈がないクラシックな靴です。
カントリーテイストを強めにする外ハトメやノッチドウェルト、ダブルソールの360度グッドイヤーウエルト製法が採用されており、スーツスタイルに合わせるには少し野暮ったく、カジュアル専用なデザインではないでしょうか。カントリーテイストな靴を狙っていてトリッカーズのバートン買うことを検討している人はぜひ一度どこかでバートンに足入れをした後、リーガルの店頭でこの靴にトライしてみてほしいです。
ラストが伝統的なものと比べるとつま先側を少し内側に振っているものの、少しトウが狭いのかボールジョイントと親指の先が当たります。小指側もトウに向けてシャープなラインとなっていることもありタイトな気もします。ただここは面で当たっているようでタコになるようなことはありません。ふまずも絞ったややメリハリの利いたラストであり、見た目から受ける印象とは異なり、フィッティングはシビアかもしれません。
履き口が少しキュッとしているので履き始めはタンが足首に少し刺さってきます。インソールのヒール部分はややカップ状になっていたり、踏まずの絞りが効いていることもあって、足が前滑りしている感じは受けません。W10BDJの時も思いましたが、タンが靴の外側に向けて少しオフセットされているものだと考えられます。ここはあまり硬くないパーツなので少し履きならせば気にならなくなります。
私は足が薄めなので二の甲(ウエスト)から三の甲(インステップ)が少し大きめに感じます。羽根の形状もあり、二の甲にはやや空間を感じ、歩くときに無理な力が靴にかかるのを感じます。一番足首側の羽根の開きが5mmほどなのでW10BDJと同様に履きこむにつれて締め付けるのが難しくなりそうなのが唯一の難点でしょうか。
くるぶしのあたりは少し下がっていて食い込むようなことはありません。ここのラインは2235NAなどのリーガル定番のパターンから大きく改善(?)されています。足が薄めな人でも問題ないでしょう。
フィッティングは私にとってはリーガルの中では緩め系で若干緩く感じます。ちなみに私、ビジネスシーンではスーツしか着ない人時代が長かったので、ビジネスではドレスの黒靴、カジュアルは茶系の靴と完全に用途が分かれていて、かつざっくり履くような2235NAやらW10BDJやらは厚手の靴下前提でフィッティングを考えていました。今回の黒色はオフィスカジュアルで履いていることもあり、靴下はそこまで厚くなく、それがより一層の緩さの感覚につながっているようです。
インソール、アウトソールともに栃木レザー。ソールにもデカデカと栃木レザーの刻印があります。
栃木レザーのダブルソールはミンクオイルを塗ったうえでベランダと玄関で少しずつ曲げました。家族がいると新品の靴とはいえ靴を履いたまま室内を歩き回るわけにもいかないので狭い玄関とベランダで挌闘です。
ある程度靴が曲がるようになったころを見計らって、室内業務中心の日に履き始めました。室内はカーペットやタイルが中心なのでアスファルトの道路を歩き回るよりつま先のヘリが抑えられそうなのと、足が痛くなっても脱げばいいという気楽な環境です。室内でそこそこ歩くと、自然に自分の足の形に合わせて屈曲しますので、1日が終わるころには最後のプレメンテナンスがしあがる感じです。
実際には初日から足が痛くなるようなことはなく、それなりに屈曲の癖をつけてから履いていますのでつま先の減りも気になるほどではありませんでした。
靴は履いてなんぼですので、よく言われるような無理やりキャッチャーすわりをしたり手で折り曲げるなんて苦行をしなくても、痛くなっても何とかなる環境で歩くのがベストです。外回り中心の仕事であれば通勤時だけでも、もしくは土日のショッピングセンターあたりである程度履きこめば十分です。足に合わせながら曲がりの癖をつけるのが自分にとっては気持ちがいいです。
私は新品時にソールにミンクオイルを入れるため、履き始めはかなり滑ります。徹底した本気ソールメンテナンスの後も似たような感じなので慣れっこではありますが、革靴を履きなれていない人はこうした滑る状態で動き続けるのも危険ですので、逆にソールが少し剥けるように硬い路面を歩くもありなのかもしれません。革靴が滑るのは結構最初のうちだけで、ソールが少しすれてくると私はそれほど滑るような印象はもっていません。
いろいろな人がレザーソールについて語っている内容を見るに、レザーソールは滑るとか、雨の日はもっと滑るなんてことが書かれていますので、スニーカーなどのゴム底に慣れている人にとっては結構違う感じなのかもしれません。いずれにしても、履きはじめのうち人が革靴に慣れるまでと、革靴が履いている人に馴染むまでは注意が必要なのかもしれませんね。
室内履きを最初のうちにたっぷりしたことあってつま先のヘリは最小限です。靴の構造的にはどうしても歩くと新品状態からはつま先が削れるはずです。その削も多少は意識してパーツが組み合わさっているのが革靴だと思っています。私はつま先スチールはめちゃくちゃ格好悪いと思う人なので、多少に減りはレザーソールならではと思っています。初回のうちはつま先の削部分にしっかりとミンクオイルを入れて、かつ革を締めるようにしてヘリを減らします。スチールの取り付けも、信頼できる職人さんや工房でない限り、帰って靴を傷つけてしまうようなので、あえて履き始めからつま先をいじることはないと思っています。
アッパー側はBoot Blackのデリケートクリームを気持ち多めに塗ってから、これまたBoot Blackのクリームを薄めに塗りました。製造から1年ほど経過したモデルということもあるのか、初回はデリケートクリームがよく入ります。その後ブラックの乳化性クリームをまんべんなく塗りました。Boot Blackのクリームは程よく艶が出るのでカジュアルには重宝します。アッパーだけでなく、ウエルトの部分もブラシでよく塗りこみました。
これまで黒のカントリーテイストなウイングチップはどのようなシーンで履くものなのかイマイチわかっていませんでした。ビジネス寄りな堅めのスーツスタイルの足元には少しヘビーすぎるきらいがありますし、かといってブルージーンズや明るめのチノに合わせるには今度は靴だけがお仕事モードのような雰囲気になってしまう気がします。
このデザインであればどちらかというと茶系の方が合わせる服が多そうに思えます。
黒についてはこればかりは私のセンスのなさではあるとしても、暗めのジャケパンやフランネルのグレーくらいしかスイートスポットないんじゃないかとさえ思っていて、このデザインだったら茶系だよね、とずっと思っていました。
毎日スーツ族であった私も、最近はビジネスカジュアルでブラックデニムなんて日が増えました。当初は足元にスニーカーを合わてこれはこれで歩きやすさや気軽さなどいいところはたくさんあるものの、やはり足元が軽快すぎてなんとなく物足りなさを感じていました。単に革靴が好きだというところも大きいかもしれません。
そんなわけで、少し足元を大人に戻してみたらどうかなと思えてきました。ここで黒のウイングチップの登場です。
パンツが黒系なのでいちばん下の靴に黒をもってきてもまったく違和感がありません。むしろ中途半端にカジュアルな明るい色のほうが大ハズレです。ドレス寄りの靴だと、今度は靴がないから仕事用を休日に無理やり履いているおっさんになってしまい、これまた逆効果。
外羽根スタイルの重厚な黒のウイングチップだと、それなりに大人感のあるカジュアルスタイルに落ち着く感じです。ダブルソールのコバ張り出したがっちりな見た目も、大人の重厚感に一役買っています。
不思議なことに、わざわざ一般流通可能か型番で再登場しているにもかかわらずリーガルの公式サイトくらいでしか買えません。近くに店舗があれば店舗でお試し対象なので2235NAと同サイズと上下ハーフサイズくらいを取り寄せれば自分にあったサイズが見つかります。私はW10BDJを履いているため同サイズ狙い撃ちでしたが、個体差があるのであまりサイズ表記に拘らずに直感的にその日履いている靴と比べてどうかでいい気がします。
これを書いている2025年11月現在で税込52,800円(税抜48,000円)。
スニーカーも含めた紳士靴全般のなかではとても高い靴ではありますが、これだけこだわった靴をある程度手作業も入れて作ったらこのくらいしないとニッポンの所得も増えないわな、という印象です。
流通や小売りがあるので私たちは実物へのアクセスが容易になり、素材や色をこの目で確かめたりフィッティングについて相談に乗ってもらえます。一度に複数の商品を比べながら選択できるなど必ずしも流通マージンが悪いわけではありません。海外のブランドなどでは正規代理店には一定品質の合格品の中でも特に高い品質のものを回しているなんて話もあります。
せっかく全国のパートナーと開拓しているREGAL SHOESがあるのに、やっぱり価格が高い靴も一般流通(特に通販)を狙いに行くあたりが大きなメーカーの苦しいところでしょうか。各地のフランチャイジーが十分な利益をあげるモデルって作れないもんでしょうかね。靴全般が売れなくなる中、真っ先に高級靴を扱っていた法人が苦境に立たされているようです。フランチャイジーは独立して経営しているので各自の経営努力に委ねるほかありませんが、リブランドをしてまで守ろうとしているリーガルというブランドこれまで一緒に支えてきたパートナーを単なる販売のエンドポイントとしてではなく文字どおりのパートナーとして共生できるしくみができるといいですね。
「リーガルを扱いっていたから苦境を乗り越えられた」と全国各地のREGAL SHOESオーナーが思えるようなリブランドの成功を願ってやみません。
10ELDDはとても素晴らしい靴です。見た目も、作りも、履き心地も。
これが私の手元にあるということは、企画をする人がいて、靴を作る人がいて、それを工場から運ぶ人がいて、販売をする人がいて。
そうした仕組みを作って維持している会社があって、インフラを支える企業があって、そこに人を送り出す学校があって。そうした多くの繋がりの中からこの靴ができたことが一つの奇跡です。この靴に関わる人の誰か一人が違う人生を歩んでいたら、この靴が私の手元にきていたかどうかわかりません。
多くの人の関わりがあって、10ELDDという靴がここにある。
2025年7月23日水曜日
REGAL 2177N
ローファーの定番、リーガル2177N
典型的なビーフロール型のコインローファー。
いわゆるローファーのよくあるデザインのひとつ。
ローファー、特にコインローファーは日本では中高生が履く靴という印象を持っている人も多いけれど、かのマイケル・ジャクソンはG.H.Bassのローファー履いてステージで激しいダンスをしていたという話が良く取り上げられるように、アメリカの一つのシンボルであるともいえる。
リーガルの企業サイトによれば2177は1971(昭和46)年に発売開始されたそうな。2025年現在で54年。そう思うと歴史が長いのか短いのか微妙。私とあんまり変わらないくらい。
デザインは発売当初から変わっていないとのこと。製造場所が変わったり調達関連で超マイナーアップデートくらいはあるとしても、実態として古き良き時代から現代まで一貫して生き残っているモデル。それだけでもすごい。当時からグッドイヤーウェルテッドで作られていることが読み解ける。
ローファーを含む紐なし靴はスリッポン(Slip-On)と呼ばれる。寝るとき以外は靴を脱がない欧米文化の中では、日本人の感覚でいうならそれこそスリッパ(Slipper)のような位置づけとして登場したようなことが言われている。日本人の感覚ではわかりづらいけれど、欧米人が靴下を見せるのは日本人が下着を見せるみたいな感覚だそうなんで、家の中に入ったからといっても靴はやっぱり必要で、でも少しリラックスした靴が良いよね、といったニーズがある。
それが次第に(マーケティングもあるだろうけど)室外靴としての地位を確立して、これまたアメリカの一つの象徴みたいな位置づけまで上り詰めた。ローファーを履いて大人になった東海岸の学生たちは、今度はそれをビジネスシーンに持ち込もうとする。それがタッセルローファーの始まりとかなんとか。
で、アメリカのブランドと提携して始まったリーガル(当時は日本製靴株式会社)は当然ながらアメリカでの定番がラインナップの主力となるわけで、VANのローファーを経てこの2177Nが登場する、そんな流れかな。
ローファーはマッケイ製法のような返りの良い軽めな製法が採用されることが多いなか、2177Nはリーガル得意のグッドイヤーウェルテッド製法。
紐がない靴をグッドイヤーウェルテッドという堅めになる製法で作っているので、当初は返りが悪く、足になじむまでに時間がかかる。
リーガルの商品紹介でも「履き始めは堅め」と書いてあるように、まっとうなサイズ合わせをした場合は、履きなれるまでに相当な覚悟が必要な靴。いわゆる昔ながらの靴であり、現代に多い当初からの履きやすさを求める靴とは全く設計思想が異なる。
よく言えばなじめばとても丈夫で長持ちする靴でもあり、悪く言えばそれ以前に脱落者を大きく生み出す靴ともいえる。グッドイヤーはリペア面では優位とはいえ、いやこれ丈夫だしリペアまでいきませんって。
アッパー素材は2504NAと同じようなガラス仕上げの革。肉厚なレザーを使い、ライニングがない作り。リーガルはこの手のガラスレザーの定番が多い。発売当初から同じデザインの靴ではあるけれど、タンナーが手に入れることのできる原皮の質は変わっているといわれているし、仕上げの段階で使うことができる薬品も変わってきていると思われる。その中で同じような品質を変わらず提供し続けるって結構大変なことなのではないだろうか。
ガラスレザーは表面に樹脂コーティングをしているので、雨にも比較的強く、日常のお手入れにもそれほど気を使わなくてもきれいな状態を維持できる。そこそこ履きこんで、クリームでお手入れするとなかなかの光沢も出る便利な素材。一般的にはメンテナンスに気を使わないようなことが強調されるけれど、鞣して仕上げる過程においては職人の手触りによる仕上がり感の確認が重要という話を聞くに、やはり革としての「何か」がある。
きれいに保ちやすいこととお手入れをしないでもよいことは別。もしお手入れをしなくてもよいという話をする人がいたら、そこには素材そのものに対しての感謝も、自然界のばらつきを相手に一定の高い品質を保つために精魂込めているタンナーの職人さんにも、それらをもとに履きやすさと丈夫さの両立をする靴の形を作り出した靴職人の方にもまるで敬意がない。靴をお手入れするかどうかを決めるのは素材ではなくて、あくまでの態度の問題ではないかと思う。
ソールはリーガル定番ラインで使われているフラットなゴム底。リーガルの解説による滑りにくくクッション性も意識して作られたとある。実際にこのソールはフラットな見た目にも関わらずレザーソールに比べるとはるかに滑りにくい。
ソールの返りはレザーに負けるものの、サイズがあっていればかかとがしっかりついてくるので十分なしなやかさはある。
サドルサイドのビーフロールやかかとのキッカーバックなど、アメリカンスタイルを意識したデザイン。いわゆる拝みモカ縫いもシンプルな印象。これもあってキレイ目ファッションよりも少しカジュアル強めのスタイリングに合うと思う(と、センスのないといわれる私が言ってみる)
キッカーバックはもともとは靴を脱ぐときに他方の足で引っ掛けて手を使わないで脱ぐことができるためのものといわれている。ただ、そもそも紐のないローファーって脱ぐのそんなに大変かな。手でつかんで引っ張るだけで脱げるから、紐を扱わないでいいので手間が少ない。(それすら面倒というLoaferな靴?)
むしろこのキッカーバックがあることで、それこそアメリカンスタイルなデニム(ジーンズ)を合わせるとキッカーバックに裾のステッチが引っかかって歩きにくい。
全体的にはノーズも短く、サイズが小さい人であれば丸みが強調されて実サイズよりコンパクトな印象になる。
定番ラインとしては珍しく製造国はタイ。シンプルな作りでもあるし、価格はそれなりに抑えて定番を維持したいしでの選択かな。おそらくは関税も比較的安いゾーンにあると思われる。
みなさんおなじみ矢野経済研究所さんのレポートによると、紳士靴市場は2025年度予測で1,361億円。コロナ前の2018年度は1,833億円あったので、コロナ禍から戻しつつあるとは言え4分の3。日本では革靴の売上が減りつつある中で、本格靴を作ることができる靴職人さんも減少しているということは予想できる。最近では円安だから日本の丁寧な靴職人さんが作った靴を海外で販売するなんていうこともできそうだけど、日本発だとこれまた関税がかかったりでうまくもいかなそう。
リーガルの歴史が長めな靴は、丈夫であるがゆえになじむのに相当な時間を要する。
購入して半年くらいわりと集中して履いて、延べ50日分くらいは履いてやっと終日履けるようになった。私の体重が軽いこともあるのか、本来多少沈み込むはずのインソールにほとんどフットプリントがつかず、沈んでいる気配がない。ローファーだからあまり靴の内寸が変わらないようになっているのだろうか。相変わらずかかとの外側が痛い気がして、少しサイズがタイトな感じは続いている。
リーガルの公式サイトでは「疲れにくい」と書いてあるけれど、それ以前に「痛い」を通り越すのが大変。次第に革が柔らかくなってきて、そうなると終日履くことに問題はなくなるものの、「履き心地」にフォーカスするような靴でもないと思うので、リーガルの中の人がいうほどの期待感を持つのも危険だなぁという気がしている。
発売当時は当初は固くてもそのうちなじんで、その分丈夫みたいな靴がいい靴の一つの指標だったのかもしれないけれど、その常識がなくなった現代では誤解を招きやすい靴。
ローファーに限らず本格的な革靴はある程度の靴の変形を想定して選ぶ必要もあって、最初はややきつめを選ぶのがセオリーといわれている。だからきちんとしたフィッティングができるお店で相談しながら選ぶ靴になる。サイズを無視して、フィッティングの印象だけで買うほうがいい。
紐がないローファーはその中でもかなりフィッティングがシビア。私は最寄りのリーガルシューズで試し履きして購入。2504NAと同サイズを中心に前後ハーフずつを出してもらい、ふだんやや緩いと思っている2504NAと同じサイズを最初に履いたところ「足がはいらん!なにこれタイト!」という印象だったのでその下のサイズは止めてハーフ上と比較して比べてみた。
ハーフサイズアップだとふだんの履き心地に近い気はするものの、甲の外側にゆとりがありすぎる感じがした。履きなれるにつれ以前のパカパカになりそうな予感がしたため、結構きつめに感じた2504NA同サイズをチョイス。まさか同じサイズ表記でも履いた感じがここまで違うとは、という印象で店を後にした。
紐がなくてアジャストできないがゆえに、ちょっとしたきつい緩いがダイレクトに一日中伝わってくる。
これまで自分で履いた限りだと、最初からいい感じで継続していい感じが継続するローファー(ケンジントン)もあれば、この2177Nのように文字どおり最初は血だらけになるくらい痛いけれど、1年くらいたってやっと履けるようになった靴もある。ただそれでも「履きやすい」という感覚はまだないので、となるとなじむまでにどれだけ履き続ける靴なんだ、という印象。
一足を履きつぶすみたいな履き方であればもう少し早くなじみ、丈夫であるがゆえにそのいい感じの状態が続くといったところだろうか。
ローファーを選ぶ際には「きつめを」というのはある意味あっていると思う。間違いなく多少は緩くなり、それを紐で修正できないので。ただ、この「きつめ」という言葉が独り歩きして間違った解釈でとらわれていることが多い気がする。
(いきすぎて「きつめ」ではなく「小さめ」と書かれることもある)
「きつめ=サイズダウン」ではない。
紐に頼らず靴の構造だけで足を支えるローファーと紐を使って調整が可能なオクスフォードシューズでは靴を作るためのラストの設計思想がそもそも異なっている。
同じリーガルの定番モデルであるローファー2177Nと、プレーントウの2504NAとでは同じサイズでも明らかに履き心地が異なる。2177Nは2504NAと比べてかなり甲を抑え、かかともややタイト目な作りになっている。2504NAだと、仮に紐を結ばないと全長も少し余裕がある感じがする。一方の2177Nはそのゆとりを感じるサイズと同じサイズ表記のものを選んでも、靴ベラなしには絶対に履けないくらい全長全幅ともにタイト。
これまで2504NAを2足、2177Nも2足買って履いているので、この同一サイズだけど履いた感じが全く違うというのは個体差ではなくモデル差だと思っている。2504NAだと少し緩めに感じるから、ローファーということもありハーフサイズ落そうなんて感じでネットで買ってしまうととんでもないことになりそう。
よく「ローファーはハーフサイズ落せ」という意見を目にするけれど、これは「きつめにする」という意味を誤解している。ローファーは専用のラストで作られているので、たいていはオクスフォードシューズと比べると同サイズでも「きつめ」に感じるはずである。
むしろ、同サイズできついからといってサイズアップするな、ローファーなら紐靴と同サイズならきつめになるのだからそれを正解と思いなさい、というアドバイスではないだろうか。
こればかりは実際に履いてみないとわからない。2177Nは2504NAと同サイズだと明らかにタイトに感じる。むしろ同じ感じのサイズ感はローファー側をハーフ上げたくらいかと。シェットランドフォックスのケンジントンのように同一ラストで紐靴とスリッポンを作っている場合については同じサイズだと二の甲からつま先まではそれほど変わらない印象なので、やはり2177Nは専用のラストが使われているか、甲の部分を抑えるために相当きつめにサドル部分を設計している。
ローファーをハーフ落として選択するということは普段の靴のサイズがよほど大きいか、緩めのフィッティングに慣れてしまっているのではないかと。内周のためだけにハーフサイズ落してしまうと全長が変わるので、小指やかかとになんらかのダメージが出る気がする。このあたりは個人の足の形にもよるだろうから、やっぱりローファーはフィッティングしてなんぼであるといえる。
この靴を履いてみると、2177Nを起点にラストを考えた場合2504NAや2235NAがゴツ目の足を想定して大きめに作られているという話は本当にそうなのか、という気さえしてくる。私は足は結構薄目なほうだけれど、それでも購入当初はサドルの部分がかなりタイトで、甲側にマメができそうなくらい痛めつけられた。かかとについては今も外側のあたりが気になっている。
ゴツ目の足だとむしろ入らないか、入ったとしても甲の血管切れてしまうんではないかと思うほど、かなりタイトな作りに感じる。フィッティングのためにサイズを落として履くような靴ではなく、むしろ上げて履く人が出てきてもおかしくない。リーガルが日本人はすぐ緩めの靴を履きたがることを見越して、同一サイズでかなりタイトに仕上げているのではないかと思うくらい。
リーガルの靴は大量生産を前提としているので、ある程度平均的かつ許容度が高めなラスト設計をしているはず。その前提でこれだけフィット感が違うのだから、やっぱりローファーはきちんと履いてみるということが大切。
お手入れはあまり気にせずブートブラックを使っている。ふだんの簡単なメンテナンスにはニュートラルを使い、5回に1回くらいブラックを使う感じ。毎回ブラックでないのはそこまで色を載せてもガラスレザーには色がつかないし、逆に合わせるパンツの裾に色が移りやすいという理由。でもニュートラルだけだとしわの部分やモカの折れ目などが目立つので気休めに。
お手入れはやや回数多めに。この手のローファーは汚れが目立ったりすると急に学生の指定靴っぽさが強くなるので、ピカピカにメンテナンスされているほうがいい。
2177Nは日本のローファーの一つの定番。
高校生が履くには少し値段が高いという気もするけど、一度は履いたことがあるなんて人は結構いるのではないだろうか。
ちなみに私は高校時代はスニーカーオンリーだったので、革靴に目覚めるのは大学生になってからだった。最初に買った靴は2236NAだった。
若気の至りで20代前半のころにJJ17という当時の若者がどうしてこうなったのかというローファーを買ったのだけれど、明らかにサイズミスをして結局履き続けることができずに手放したことがある。当時はスニーカーサイズに比べて大幅に小さなサイズになることが信じられなくて、お店の人の意見もあまり聞かずに購入してしまい、毎日パカパカ履いていた。
この印象を引きずっていたのでローファーは自分に合わない靴という決めつけと、ローファーはビジネスシーンには合わないという教科書による余計な知識があって、毎日スーツスタイルで働く自分としては目を向けることがなくなっていた。
40近くなり(いまさらではあるけど)やっと靴の適正サイズ感が持てるようになってきたころ、やっとローファーに手を出した。当時、シェットランドフォックスのケンジントンの履きやすさに感心していたころ、同ラストのローファーをみて、何となくローファー履いてみたいという気持ちが沸き起こってきた。試着したところこれがまた足にピッタリであることに気をよくして、同じラストで2足も買ってしまう。この体験が自分のローファーイメージを変えることになり、1週回って2177Nにも手を出すことになる。
ローファーは大人が自分の選択で履く靴で、結構履き初めは大変なこともあって、実店舗でじっくりフィッティングしながら買う靴。靴のサイズ感について購入者側もわかっていたほうがいいし、紐がないがゆえに靴全体で足を締め付ける履き方になる。歩き方も微妙に紐靴と違ってくる。若い人は無理して履かなくてもいいデザインの靴だと思う。
このデザインの靴を指定している学校の先生方に聞きたい。なぜこのデザインが必要なのか。紐がないことによって紐が巻き込まれてけがをする事故を減らせるというメリットくらいはありそうなものの、ローファーを指定するメリットが思い浮かばない。
ローファーをまっとうな靴屋さんで買ったことがある人ならば気づいているはず。きちんとしたフィッティングをして選んだとしても、それなりの伝統的な作り方で作られている革靴は履き始めの日から終日歩き回れるほど足にやさしくない。履き始めはかなり修行が必要なので、終日履けるようになるまでかなりの期間を要するということを。
もちろんこれはローファーだけのことではなくて、作りがしっかりしている革靴はたいてい最初は痛いものだし、逆に作りによって柔らかくもできるので全部が全部最初にカチコチなものばかりでもない。ただ、この紐のない構造はどうしても体に負荷がかかる。アジャストするパーツがないので、緩んだら最後、足が緩んだ靴を抑えるために必要以上の負荷を歩くたびにかけ続けてしまう。
外反母趾、ハンマートウ、靴ずれによる障害、腰痛...
靴はそういうものだとして気づかず体を痛め続けてしまう。
学校の先生方(というより理事とか経営の人たち)には声を大にして言いたい。外部が知ることがない明確な理由がないのであれば、ローファー指定を本気で考え直して欲しいと。
将来あるこどもたちが、このローファーで痛いのは嫌だから大きめを買う、ということがどれだけ健康を損ねているのか。
体のことに詳しい体育の先生とか、歴史から学ぶことが身についている社会の先生とか、合理的なデータを集めて分析することを教えている数学の先生とか、そもそも怪我を目の当たりにしている保健の先生とか。みなさんローファーの弊害に気づかないのだろうか。
将来外反母趾やハンマートウで苦しむをことになる児童・生徒をひとりでも減らすことができるのは現場の先生や学校運営に決裁権を持つみなさんにかかっている。
ここまで書くと、ローファーが体に悪い靴みたいになってしまっているけれど、適切なサイズを選んで、きちんとなじませる時間をとって、お手入れしながら履く分には問題ない靴なのだから、その選択する自由と時間の自由ができたときからでも遅くはなくて、若いうちにはもう少し足に対して優しい靴を履いてもらいたいと心から思う。
若い人が化粧をしないでもいい(しないほうがいい)理由と同じで、若いころの体へのダメージはのちのちの人生に大きな影響を与える。どうしてもローファーなら、本格ローファーは半年かけて休日に十分なじませて、最初の一足はスニーカータイプの構造のものにしましょうよ。ただ、ここまでするなら初めから足にやさしい靴履けばいいんじゃないかと...
2177Nはあまりにも定番的なデザインであるがゆえに恥ずかしさを感じてしまう人もたくさんいると思う。それだけ日本ではローファーは一定のポジションを確立しているわけだ。革靴の価格がどんどん高くなって、ローファーも気軽に履く靴ではなくなってきている。
ローファーはいろいろな意味で間違った場所で間違って履かれてしまっている靴。
50を過ぎたおっさんが格好良く履くのは難しいってことはわかっていても、なぜかときどき履いてみたくなる不思議な魅力がある靴。
2024年6月6日木曜日
Regal 01DRCD 2nd pair
日本を代表する靴のひとつ、リーガルの01DRCD。
スーツスタイルを必要とする人で、日本国内でビジネスシューズを買うことがあればこの01DRCDを一度は試し履きする価値はあると思う。
実際に購入されてその良さを書かれているブログからリンク目的の提灯サイトまで、それこそ数多くのウェブページで01DRCDの良さが紹介されている。
僕にとってこの靴はスペックによるうんちくベースの「オススメ商品」ではなく、10年間履いてほかの靴とも比べてみて、やっぱり「買ってよかった」靴。リペアが税込みで約27,000円(2024年1月現在)となってしまったため、いまは2023年10月に買い足した2足目を履いている。
リーガルは「高い靴」と「安い靴」という両方の見方がされていて、多くの人の意見としては「高い靴」「ちょっといい靴」であり、靴好きといわれる人たちからは「安い靴」「デザインが変な靴」という評価がされがち。
毎年たくさんのモデルを発表しては廃盤にするリーガルが、10年以上にわたり世界でも通用するこだわりで作り続けている数少ない靴、01DRCD。
もともとは一発屋的な企画商品だったような気がしないでもないものの、標準的なキャップトウ(ストレートチップ)で比較的手に入れやすい価格帯であったことから日本製のキャップトウを探していた層にハマってしまい、リーガルの期待以上にヒットしたのではないかなと思ってしまう。価格改定を繰り返しながら今日まで何とか継続販売されている。
同一ラストのプレーントウである04MRCFは廃盤になっていたりするので、01DRCDが残っていることはなかなかの奇跡ではないだろうか。他社でもレザーソールのシンプルなプレーントウはあまり売られていないので市場がないのかな。いまのところ01/02/03DRCDは継続されているのは、それだけ多くの人に購入されている=支持されているともいえる。
最近のリーガルはマスターリーガルのような宣伝効果を狙っているとは思うものの何の宣伝になるのかわからない商品企画だとか、高級ラインのはずのシェットランドフォックスでモデルの出し入れに必死感が漂っていたりと迷走を感じつつあるのだけれど、まともにグッドイヤーウェルテッドのモデルを作ると、もうその価格では他社太刀打ちできないんじゃないかという程に作り上げる実力があったりする。
無理して足の形に合わないノーザンプトンの靴履くより、もう少しフィット感が良くて十分に作りこまれた靴が国内で手に入るニッポンは素晴らしい。
マスターリーガルなんてもう定番化して10年も続いたら、それこそ日本のハイレベルな革靴の代表になってしまうのではないかと思うほどの末恐ろしいポテンシャルを感じるけれど、さっそく限定モデルとかやり始めているので、おそらくは採算的にもあんまりな宣伝用モデルかなという空気を強く感じてしまい手が出せない。
過去にもW121のような国内のみならず世界のスタンダードになっていたかもしれない靴を作ることができるのに、なぜか廉価的な印象が強くなってしまうのはラインナップに「新しさ」を入れないと販売を稼げないほど企業規模が大きくなってしまったが故なのか。
全国のREGAL SHOESを維持するのって大変なんでしょうね。
いつの間にかリーガルを代表するような定番キャップトウに育ってしまったともいえる01DRCDはREGAL SHOES専売商品じゃないからどうしても価格の安いところに流れてしまう。なのでそのちょっと上の価格でほかにない魅力を詰め込んでみたマスターリーガルを出したかと思えば、W10BDJのようにそれこそ靴屋さんの本領発揮商品作ってもそれほど数が出なくて今度は型番変えてほかでも販売できるようにしたりとか、REGAL SHOESにいって靴を買うというわくわく感がなくなってしまってきているのは少しばかり残念。日本人はブランドが好きなので、きちんとした信頼感のあるブランドであればお値段定価でも買いますので。エルメスやヴィトンを並行輸入で買う人もいるけれど、ロゴではなく信頼を求める人たちに支持された店舗は一等地にどーんと構えている。
振り返れば01DRCDも定番としてロングセラーになるキャップトウを作ろうというよりは、少し攻めた企画商品だったのかもしれない。
当時のリーガルでのスタンダードキャップトウともいえるW121はパターンオーダーのサンプル的な位置づけもあって微妙なスクエアトウ。当時はややスクエア感がブリティッシュみたいな空気があったものの、定番ラウンドトウで作られていたらいまの01DRCDの立ち位置だったのかもしれない。古いラストなのでかかとが緩いけれど、2504NAだってそうなわけで、ラストを超越してしまう人気が出てもおかしくなかった。キャップトウを定番だ、という人たちに向けてリーガルの中の人が他社にもあるようなもっと普通っぽい(でもちょっとばかり艶っぽい)キャップトウを作りたい。でもそのままだと落ちちゃいそうだからちょっと捻らせて社内を通そう、といった感じで出てきた気がしてならない。
このまた捻りの方向が多くの革靴好きに刺さる方向だったのだと思う。
まずはラスト。リーガルの実力見せつけちゃいましょ、ともいわんばかりのふまずのシェイプ。当然それを見るためにソール側をひっくり返すとこれまた「いちばんの素材で作った日本のグッドイヤーウェルトだよ」との型押し。厨感たくさんの文字に目が行くようだけど、実際にはくびれたウエストに気付くような仕掛け。話題性も含めてコバは矢筈仕上げ。リーガルの定番モデルとは似ても似つかないグラマラスなシェイプ。
3万円以上の靴だからレザーソールはマスト、やっぱりビジネスシーンで履かれる靴を想定して、減りを軽減し、かつ歩きやすくするためのゴムヒール。発売当時あたりはリペアの世界でもビジネス用途はゴムヒールが人気という話も聞いたことがあるので、ふだん使いを意識していることが伝わってくる。
素材はわかりやすくインポートレザー。それも国内ではわりと名前が通ったアノネイ製。しかも敢えてブラックまでもアニリン仕上げのベガノカーフ。茶系のベガノはわりと使われていたけれど、黒を使ったところはあまりなかった。比較的テカテカした靴が多いREGAL SHOESの店頭で、上品な印象の01DRCDはなかなか衝撃的だった。ガラスレザーが多い店舗だから逆にこの上品さが目立つというコントラスト。この点も「定番モデル」と言われるシリーズとは逆向き。
見た目的にはちょいとロングノーズでキャップ大きめではあるけれど、まとまりの良いオーソドックスな形。変に海外やらビスポークやらを意識してつま先をいじることなく、切り替えしにも変な意匠を入れずにどちらかというと正統派。デコラティブにすることが好きなリーガル社内では、ある意味これも逆を突いた捻りだったのかも。
ラストも欧米に比べると日本人平均に寄せているということもあり、履きやすいと感じる人が多い(と思う)。定番モデルでよく話題に出るくるぶしのあたりはかなり下げていて、もうことごとくこれまで定番の逆張り戦略靴を出してみたらどうなるかということを試したかったのではないかと思うほど。
履き始めからややソフトな印象になるようにかかとはクッション性を強めに、小指やタンといった当たりやすい部分は軟らかめ。革靴は痛いという印象を抑える調整も入っている。少し華奢なつくりな気がするのはコストの関係かそれとも繊細さを出すためのものなのか。
つまるところ、形は正統派寄り、話題になる素材は派手め、革靴に慣れていない人の不満を抑える作りをポイントとした、まさにメーカーにおける革靴好きの企画らしい。個人的にはもう少しこてこてなベーシックシューズが好きだけれど、それだとW121と比べての訴求が無い。コスト面からするとあまり儲からないようにも思えて、当時のリーガルでこれが良く通ったなという印象。定番化を目的としていなかったがゆえに通った企画に思えてしまう。
発売当初はアノネイ社のベガノカーフを使っていると前面に出していた。セミアニリン仕上げのボカルーよりもアニリン仕上げのベガノのほうが一般的には柔らかく革の素材感を感じられるといわれている。ベガノと言われていた当時の01DRCDはきめ細やかさや柔らかさがボカルーと言われている靴よりも勝っていた。
最近ではタンナー名を公開しないようになったので、リーガルが変えようと思えばいつでも変えられるのだろうけれど、ベガノの黒が廃盤にならない限りはわざわざボカルーやそのほかの革に変更する理由もないと思うので現時点でもベガノを使っていると思われる。
当時はシェットランドフォックスがボカルー、01DRCDがベガノとわざわざ分けて販売していたので、調達価格が違ったりするのかもしれないし、単にリーガルの中の人がベガノ黒というちょっとほかにない立ち位置をやってみたかっただけなのかもしれない。
この辺りの違いは言われてみないと素人目にはなんとなくそんな感じ、といった具合で、黒色の場合はお手入れを続けて何年か経ってしまうと当初の仕上げがどうかということは気にならないはず。むしろどのクリームを使ってきたのかで印象変わってくる。
理屈上はアニリン仕上げのベガノを使った01DRCDのほうが、セミアニリン仕上げのボカルーで作られた靴よりも透明感のある仕上がりだが水に弱い、ということになるのだろうけれど、水洗いをしたりお手入れ繰り返したりしている限りでは途中からあまり気にならなくなる。リーガルは国産キップも素晴らしい品質なので、仮に素材が変更になっていてもあまり気にしなくてもよいとすら思う。
そのくらい01DRCDは安心して履き続けることができる靴。
一部のコレクターを除き、靴は履いて歩くことに意味があるのでフィット感はとても重要。靴の見た目が気に入っても、どうしても履けない靴というのもある。
01DRCDは多くの人にとってスペック的にはベストバイではあるとしても、万人にフィットする靴ではない。スーツにY体やB体があるくらいだから、一律に「日本人の体形」というものはないのと同様、足だって民族的な傾向はあるだろうけど一律に足型としたサイズを決めるのは難しい。「ミリ単位」で木型削ってるんですから。多様性の時代に旧来の固定観念的なイメージの「日本人」という概念で語るのもいかがなものかなと。とにかくいったんそうした先入観は無しにして店頭で試し履きして合う合わないを感じるところからがこの靴のスタートになる。
靴の形の元となるラスト(木型:これに革を貼り付けて靴を作る)がどれだけ自分の足の形に近いか、というところがフィット感の一つの大きな要素というのは誰でもわかること。木型はふだん目にすることができないから、店頭で実際に靴を履いてみて、それが自分の足とどう合うか、具体的には余っている部分、当たる部分、きつい部分をみてみて初めて分かる。
木型はあくまでも靴を作るための型であるので、そこと足が一致していなくても、抑えるべきポイントのところがあっていれば案外問題なく、場合によっては快適だったりすることもある。ボールジョイントや甲の抑えと土踏まずのラインが許容範囲であれば、あとは既成靴である以上どこかの妥協が必要になる。
ボールジョイントは過度にきつすぎなければいずれは馴染む。01DRCDはむしろここは少し大きめに作られているので、実測EEを大きく超えない限りきついという感じはそれほど受けないのではないかと思う。
三の甲(インステップガース)と呼ばれる甲の一番高いところが抑え込めれば、足は前にずれることがなく、よほど全長が長くない限りは程よい履き心地になる。2504なんてここ一点集中で履く靴にも思えてくるほど。三の甲から二の甲、一の甲の順に合うほどより履きやすい靴になる。靴ひもが無いローファーだと二の甲が結構重要になる。履いたことないけどパンプスは一の甲しか抑えるところが無いように見えるので、これはなかなか履くのが大変そう。
革靴は製品としては完成品でも、個々人にとっては半完成品。ある程度履きこんでなじんでからが本領発揮。野球のグラブのように、買った直後となじんだ後ではツールとしての使いやすさがまるで違う。革靴もその「なじんだ後」を意識して買うことができればよいのだけれど、なかなかわからないものなので、少なくとも最初のうちは専門家の力を借りて選ぶのがいい。
革靴を買いなれていない場合はシューフィッターといった専門家の力を借りるのが得策。シューフィッターになるにはたくさんの足を見ながらフィッティングの経験を積む必要がありることから、足の形と靴の形から「合う」「合わない」のアドバイスが参考になる。完ぺきではないとしても自己流では気づかないアドバイスが得られることが多い。リーガルの店頭の場合は店舗によってフィッティングサービスの差異が大きい気がするものの、サイズを選ぶ視点とか、見た目的にどうなのかとかの話は聞けるので、サイジングに不安がある場合は店頭で確認するのがお勧め。
僕は旧タイプのケンジントン(内羽根)とインバネス(外羽根)を一つの指標としていて、これとの比較でどこが緩いか、きついかを考えることが多い。01DRCDはケンジントンと同サイズだと全長はいい感じであるものの心なしか窮屈感が強く、ハーフサイズ上げると今度は少し緩い。長い時間を履くことを考えるとどちらかと言えばハーフ上げたものがいいと感じている。靴のサイズ表記は無視して買うのが鉄則。僕は2504NAと01DRCDでハーフサイズ違っていていい感じではあるけれど、全長は2504NAと01DRCDで同じようなので、足の形によっては同一サイズのほうが良い人もいるだろうし、足長に合わせてサイズを決めたほうが良い人もいれば足周に合わせたほうが良い人もいるだろう。リーガルだから大きいとか小さいとかは一意に決まらない。サイズ標記の数字だけで決めるのは難しいということは、リーガル店頭で外羽根プレーントウの2504NAとひもなしローファー2177Nの同サイズをトライしてみればそれが良くわかる。
僕にとっては2504で気持ち緩いサイズが、2177Nだと血が出るくらい小さく感じる。
今回買ったものは心なしか以前に買った01DRCDより少し大きく作られているような感じがする。
2504NAを基準にハーフ上げだと僕にとってはちょっと一の甲(ボールガース)が緩い感じがしないでもないけれど、足首周りがきちっと締まるので歩行時にはかえって指が自由に動かせていることもあり、長時間歩いても足に障害が起きにくい感覚。最近は小指が痛い系を避ける傾向にあるのと、靴の数もそこそこあるためローテーション感覚が長いので、結果として迷ったときは緩めのチョイスをすることが多い。
購入時してペン入れなどをせずについたしわは微妙な感じになった。もう少し横一線だったら格好良いのだけれど、足入れした時点で靴に最もストレスがかからない曲がり方がこれなんだろうなと。購入当初にガイドしてきれいにしわをいれるのと、最初に入ったものから繰り返し歩くことで何度も修正が自然に入ったものとどちらが長い目で見たときに靴にストレスないんでしょうね。自然なしわ入れだとどうしても親指の付け根あたりにストレスかかりそう。繰り返し履いているうちに本来曲がるべきところに落ち着いてくるので、このしわ入れがいちばんかと思っている。
リーガルは比較的広い層をターゲットにするので靴全体はすごく攻めているかというとそうでもない。ボールジョイントや踵についても2235NAが有名なゆえにこれと比較して「小さい」「甲が低い」と思いがちだけれど三陽山長やRENDOといったセントラル系や、同じリーガルでもシェットランドフォックスのアバディーンほどは攻めていない。
インバネスもシェットランドフォックスでは中庸の攻め具合に思えるけど、01DRCDよりははるかにタイトな靴。
リーガルブランドは攻めているように見えてどこか万人受けの要素を残している。
まず全体的に緩めなところを作る。これはサイズどうこう、ウィズどうこうではなくて、明らかに緩めの余地を入れている。
シェットランドフォックスのアバディーンのような「ほんとにコレ2Eか?」くらい攻めている靴もあるので、技術の問題というより販売チャネル特性を踏まえたマーケティング的(クレーム対応的?)なところで設計しているように思えるところがある。
細い足が増えているはずなのに、W131のようなシングルEベースの靴はいつの間にか消えているのだからリーガルとしては細めの足幅に向けて靴を作っても売れなかった(もしくは売ることによるマイナス経験)という体験かデータがあるはず。よりは広く足幅に対応できるような中庸デザインのほうが利益が出やすいみたいな。
01DRCDは甲もそれほどタイトではないし、ボールガースもそれほど攻めていない。踏まずは絞っているけれど、内側を刺激的になるように盛り上げたりはしない。土踏まずから後ろ、かかともちょっと緩やか。カップを少し整形しておさまりをよくすることで収まりが良くなるような感じに仕上げている。
ややロングノーズであることと、矢筈コバも相まって少しソールが薄い感じのため、つま先は減りやすい。ローテーションにもよるけれど、週1登板くらいでは2~3年ごとにつま先メンテナンスが必要。
ソールはコルクの盛り方なのか中央が膨らんでいるので減り始めは真ん中が大きく削れる感じになる。購入当初はすぐに穴があくのではないかと心配になったけど、ソールそのものはコンディショナーなどを塗っているとヘリが少なく案外持つ。多少雨の日に履いたところで足をするような歩き方でなければ年単位で持つはず。
このソールはなぜここまで穴があかなかったのかは少し不思議だと思っている。同じような履きかたをしたショーンハイトはもう少し短かったし、雪の日などはあまり履かず、多少丁寧に扱ったと思われるシェットランドフォックスのブリストルは5年ももたず穴があいた。
踵もゴムヒールでこれまた減りにくいので、トップリフト交換みたいなものは考えなくてもよさそう。僕は10年間平均的には週に1回弱はいているけれど踵は持ちこたえている。これは驚異的。
2足目の01DRCDは購入当初からBootBlackを使っていて、ソールは雨に降られたタイミングでブートブラックのコンディショナーを塗っている。
馬鹿の一つ覚えと言われてもやっぱり01DRCDはいい靴。
世の中にもっといい靴があるかもしれないということは頭でわかる。靴ジャーナリストでもない限り何足も評論できないなかで、自分で買って履き続けた数少ない靴の中ではこれが良かったという話でしかない。
それでも、出張で土砂降りにあったり、雪の北海道の出張に履いていってしまったり、夏の暑い日もカラカラの冬の日も、そんなさまざまな日々をあまり気にせず履いていても何年もいい状態を保ってくれた靴。
日本全国で比較的手に入りやすくて、冠婚葬祭でもビジネスシーンの一線でも使える。お手入れをすればそこそこ長持ちで価格もレザーソールの中では手に入れやすいほう。
Xやインスタ見ても、きちんとお手入れしている人の01DRCDは5年くらいたっても新品かと思うようなきれいさが維持できているし、むしろ艶感が増して魅力的な靴になっている。僕の経験でもそれほどお手入れを神経質にしなくても週1回くらいのローテーション頻度なら10年くらいは履くことができる。
重箱の隅をつつけばいくらでもでてくるのだろうけれど、価格や品質、アフターサービスといった総合力でこの靴の右に出る靴はすぐには思いつかない。
海外ブランドには既製品での定番のキャップトウがある、チェルシーやシティ、オードリー、コンサル、etc.
リーガルならこの01DRCDだろうか。W121もよかったけれど定番にはならなかった。01DRCDのラストを使ったモデルも出てきたものの長続きしない。「もう一足」を買わせるための戦略なのか次々にモデルが出て次々になくなってしまうので、逆に10年続いた01DRCDの安心感が際立ってきている。ここまで続いてきたので「01DRCD」という型番で製品が語られるようになってきた。
もしリーガルに01DRCDが無かったとしたら、正統派のレザーソールで定番と呼べる靴はあったのだろうか。どこかで出てきたのだろうか。フレッシャーズから年配までスーツを着る社会人が安心して買うことができる靴。履き続けることができる靴。
01DRCD、素晴らしい靴。
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2023年11月19日日曜日
Regal 2504NA 再び
ニッポンのレジェンド靴 2504NA。
いまの時代、レトロ感のあるモデルとして評価されているけれど、フィッティング重視のトレンドからは少し離れた位置にある靴
これまでも、そしてこれからも唯一無二の立ち位置で「定番」として受け継がれていくであろう靴。
「REGAL/リーガル」の商標はもともとは米国企業のものだったことからもわかるように、この2504NAもアメリカ靴を意識したことを感じるようなデザイン。J.PRESSのジャケパンスタイルやBrooks Brothersのスーツあたりに合いそう。
今年、2504NAを買い足しました。
2023年11月に値上げがあり28,600円、10%税込みでは30,800円とついに3万円を超える靴に。たった10年ころ前には個人輸入でチャーチのコンサルが日本円換算で5万円台で買えていたと思うと隔世の感がある。
革靴の中ではエントリー的な価格ともいえるけれど、ふだん使いにそこそこいいスニーカーが1万円~2万円程度で手に入るとなると、やっぱり革靴は少し高いねという印象を持つ人多そう。
以前と比べフィッティングやパターンに微妙なマイナー修正があったのか、履き初めにあった外側のくるぶしにあたる感じが全くなく、タンの足首へのあたりも柔らかい。土踏まずからかかとのサポートが若干入ったような気さえする。かかともほんの少し丸みを帯びたような。
2504NAって履き始めはくるぶしや足首あたりにエッジが食い込んでくるような靴という印象があって、履きおろし日を選ぶと思ってしまっていたのに、今回はとても拍子抜け。購入して軽く慣らし履きしたらあとは丸一日履いてみても全く痛いところがない。不思議。
見た目の印象とは違い甲の革はあまり固くはないという点は変わらず。タンや羽根のあたりのカチコチな硬さもやや軽減されている。履き始めのギシギシいうようなところが全体的に少ない。
ラストそのものは従来と同じはずだから、この足首周りの印象からすると僕の足が少しふっくらと変わったというよりは、外側のくるぶし周りのパターンにおいてラインが微妙に下がっている可能性が高い。全体的なパターン自体の修正が入っているのか、それとも単にこの個体を作るときの差異なのか。どちらにしても僕にとっては良い方向だからアタリと言える。
結構薄めの足である僕でさえこれなのだから、もし本当にパターン修正がされているのであれば2504NAでの最初の難関であるくるぶしや足首へのアタックを受ける人が減ることになる。やや立体的なつくりになったようで、「定番」として続けるにはいい方向への変化ではないだろうか。
今回の2504NAは当年製造っぽいのでまだ日がたっていないこともあるのかな。ガラス仕上げの甲革はその樹脂仕上げによりちょっとビニールっぽさが感じられるものの、しわの入り方は穏やか。このぴかぴか具合がオンオフ兼用のポイントだったりもする。
リーガルの定番はこの2504NAといい、2589N、2235NAといい外羽根スタイルが多い。あとはスリッポン系も。
あくまで経験則上、自分の周りにいる先輩方を見るに、その先輩方のさらに先輩方をターゲットとした販売開始当初の日本人の足の形は現代の平均よりももう少しごついと思われることに加え、当時の日本文化的に靴の脱ぎ履きにおいてひもを緩めない人たちがたくさんいたであろうから、踵をあまり攻めずにしておいて、フィッティングは紐の締め具合で設計しているのではないだろうか。
単なる緩い靴になってしまうと長時間の歩行で疲れが多くなる。足首から前方は歩くことを前提にある程度のフィット感を担保しなければならない。
「日本人の足」といっても千差万別で一つの形に集約させるのは難しい中で、外羽根モデルは羽根の開きを少し多めに取っておけばゴツイ足から薄っぺらい華奢な足までアジャストできる範囲が広くなる。
足首に近いところでしっかり抑えることができれば、かかとが多少大きくても脱げることは無い。逆に指先側にも余裕が出るので指に与えるダメージもほとんどない。
極上の履き心地を目指すのではなく、広く浅く、草履履きの日本人にとって無理のない履き心地を狙うとこうなるのではないかという気がする。大量生産をする場合のお手本のようなラストとデザイン。
少しごつい靴ではあるが、スーツスタイルも以前はずっとゆったりしていたので、この靴くらいのバランスで良かったと思われる。
2235NAのほうが少し足首周りの締め付け度合いは少ない気がするのは、ひょっとして履く靴下の厚みまで考慮されてミリ単位の修正が入っていたりして。
そんなわけで、ちいさめ薄めは僕の足に対しては紐を緩めている時点ではやや大振り感が出るけれど、しっかり紐を締めると緩さを感じない歩きやすい靴に変化する。
計算上EからEEの範囲(EE寄り)の僕は01DRCDと比較してハーフサイズダウン、ショーンハイトSH111ラストと同サイズを選択している。01DRCDは少し緩めな感じなので、01DRCDをタイト目に履いているのであれば同サイズ、SH111は外羽根タイプのSH111-4と同サイズだと気持ち大きめのような感じだが問題ないというサイズ感。外羽根比較ではシェットランドフォックスのインバネスよりハーフ落としてもまだ2504NAのほうが大きめに感じる。
全体的にボールジョイントでの窮屈さは全く感じない。指先に行くほどゆとりがあり、いちばん足首側のひもはしっかりと締めることができて履いて歩く分には緩さを感じない。
こうした巾着のような靴の作りだから、足幅が細めの人だとさすがにこの靴は厳しいのかもしれない。足首のホールドが不十分だと、指先にむけた左右のゆとりがあだとなって歩く際に指に力が入りづらくなる。タンの足首への影響も大きくなる。大きい靴の欠点が出てしまい、歩くストレスが増えてしまう。
タイトフィッティングで行くならもうハーフサイズ下げても履けそうとは思いつつ、全長詰めて買ったばかりの靴で小指にタコマメを作るのはもう歳的にターンオーバー不可能な不可逆損傷になるのでここ数年はあまり攻めていないチョイスになっている。
ローファーの2177Nを履くと、2504NAと同サイズだと明らかに甲まわりがタイトかつボールジョイントの先が窮屈に感じる。特に小指部分。伸びる部分を計算しているのか、それともラストの違いなのか。2177Nだと全長は2504NAのハーフ上げのほうが快適、ただ今度はくるぶし周りにゆとりがありすぎて踵ではなくサイドのぶかぶか感が出てしまう。僕自身の足に厚みがないところが目立つ感じ。なので、同じリーガルの定番というカテゴリーであっても単に数字上のサイズ比較ではなくラストとの相性も含めてフィッティングをして靴は買うべきという思いは変わらない。
ちなみに、僕の中で最高に小指と踵がやられたのがRENDO R7702サイズ6で、全体的にきつすぎて購入当初に頭痛したりで挫折しそうになったのがW134の24。RENDOは何とか当時は頑張って履くものという意識が強かったため乗り越え、W134はしばらくお蔵入りしていたものを、経済的に苦しい時期に単に履く靴がなくなってあきらめて履いたことで、両方とも最後には靴が変化してとても履きやすい靴に変貌した。どちらもある意味事情があったので履き続けられたものの、その過程において足にも相当な負担をかけたので、若くないいまとなっては指に負担の少ない靴を選びたくなる。
あくまでもターンオーバー能力の劣化(?)によって、以前よりも緩さに対しての許容度が上がり、きつさに対してのそれが減った。
2504NAは多くの声がいうその靴の立ち位置が故に、ほかのスムーズレザーの靴に比べて扱いが雑になりがち。
雨に降られた後も、ほかのスムーズレザーの靴は軽く水ぶき(場合によっては洗ってしまう)して乾いたころにクリームを入れるなんてことをやるのだけれど、ガラス仕上げの2504NAはついつい表面の汚れを落としたらそのまま放置なんてことをやらかしてしまう。
ラバーソールも濡れたからといって手入れが必要なものでもなく、靴全体が水に強そうに見えるぶん、お手入れもおざなりになってしまっていた。
そうなるとどこが最初にダメージ食らうかというと、ウェルトがダメになる。ここは普通に革が使われている部分であり、ウェルトにはしっかりとクリームを入れておかないと表面は何ともないように見えてボロボロな靴が出来上がる。最後はウェルトが我慢しきれなくなり、ソールをつなぎ留められなくなる。
グッドイヤーウェルト製法のキモはこのウェルトにあるので、いくらアッパー素材やソールが雨に強そうとはいっても、靴全体で見てウィークポイントになるところをしっかりケアする必要があるというのもこの靴から学んだ。
よく「ガラスレザーは雨に強い」とか「お手入れが楽」とか言われることがあるけれど、それはこのガラスレザー単体の話で、靴としてみるとウェルトやインソール、靴紐とかほかのスムーズレザーと変わらないものがたくさんあるので、靴全体で見たときにお手入れの必要性という意味では変わらないと思う。2504NAについていえば、アッパーやソールのお手入れ頻度を下げても、ウェルトだけはクリームやミンクオイルを使い捨ての歯ブラシみたいなものでときどき塗り込んでおくといい。
ラバーソールだからってお手入れ頻度が少なくていいことないので、あくまでも製法全体で見た靴としてどうかという観点でお手入れ頻度や方法が決まるのであって、特定の場所の部材で決まるわけではない。
それと、2504NAに使われているガラス仕上げの革はお手入れし甲斐がないみたいなこと言われることが多い。そうかなぁ、BootBlackの黒色クリーム塗ると結構イメージ変わるよ、特に何年か履いて靴が少しくたびれてきたときには特に。
多くの2504NAがこうしたよく言われる情報のもと、案外雨の日向けみたいに扱われていたり、簡単お手入れな靴として扱われているケースが多そう。ただ、逆に言えば扱いやすいというアピールがされることでたくさんの人に履いてもらうからこそ「定番」であり続けることができている。
2504NAのターゲットはビジネスで(一部カジュアルでも)革靴を履く人全体を見ているよう。みんながみんなお手入れをしっかりできているわけでもないだろうし、そもそも興味がない人もたくさんいる。ローテーションをせずに同じ靴を履き続ける人もたくさんいて、むしろそちらのほうが多数派でもある。
2504NAは決して履きつぶすような靴ではないけれど、ここまで売られ続けるとニッポンのビジネスパーソン層における使われ方もある程度わかったうえで作られ、販売されているのだろう。修理もできるけれど、買い替えしながらずっとこれ一本という人がいたっていい、という雰囲気。
だからデザインを毎年変えたり、ラストを微調整し続けたりなんてのはこの靴のビジネスではなくて、むしろ同じじゃないと困るという人たちにいつまでも過剰に高い価格にならないように大量生産しつつ販売し続けるような靴である必要がある。同じ形をたくさん作ることができるということは、生産コストをわずかながらでも下げることができる。
それは材料の調達であったり、作り手の確保、設備やツールの投資であったり、一定量を裁くための販売チャネルであったり。リーガルシューズ専売モデルではないから、通販サイトで何割引きなんて売られ方もしている。
日本の商習慣的に結局のところ定価からの割引みたいな感じになってしまうので、リーガルシューズのようなリーガル管理下の店舗では一定の価格を維持しないとならないからこうした定番モデルが却って売りにくいなんてことにならないのかな。モラルが完全に欠如してしまうと、お店で試着、通販で購入なんてフリーライダーも出かねない。もっとも、その肝心な店舗でもバックヤードのサイズや在庫の関係もあり、すべてのモデルですべてのサイズを常時置いておくのは難しい。取り寄せに数日かかってまた店舗に行くくらいなら、通販サイトで家に送ってもらっても一緒、になってしまいかねない。
そこまで含めてリーガルが全社的に戦略をとっている可能性もあるのだろうけれど、さすがにそれはないかな、どうなんでしょうね。割り切って店頭をフィッティング相談室にできるのであれば、それはそれでとてもありがたく重要な場として機能しそう。全体的にはリーガルシューズの試し履きは本当に履いてみて確かめてちょっとしたアドバイスがあるくらいで、ボールジョイントのフィッティングだとか甲の締め具合、履き口のフィット感などはほとんどみてもらったことがない。最終的な判断はお客様というのがある意味徹底されてしまっていて、フィッティングについてよくわからない初心者は何度か履けばフィットするはずのサイズは「小さいものを勧められた」といい、夕方に店頭でフィットした靴が「やっぱりリーガルサイズは大きい」とかいうコメントにつながったりする。フィッティングに詳しい人がいるのに残念。
大きい市場で、靴に対する知識がほとんどない人も相手にしなければならないリーガルでは、こうした本来大切なアドバイスがしたくてもできないというのはなんとなく予想が付く。なので、顧客側としてはあくまでも靴の販売と切り離したフィッティング重視の場がどうしても欲しくなってしまう。ラスト毎に色違いでもフルサイズさえそろえておけば、フィッティングはできる。なんなら倉庫併設の場所でもいいくらい。
最近は行っていないのでわからないけれど、以前のREGAL TOKYOはそのあたり、結構細かく見てくれた。メジャーで全長やボールジョイントの周囲を測って、そのうえでいくつか靴を履いて、でもやっぱり買わなくて帰るなんてこともあったけれど、そうした安心感があってシェットランドフォックスも含めたリーガル系の靴はすべてここで修理に出していた。修理についても「これはまだ出さなくてOK」とか、靴についてよくわからない常連でもない僕に修理のタイミングやらクリームの塗り方やら丁寧に説明してくれるなど、いわゆる靴好きがいうところの本格靴についてのリーガルの真の実力を垣間見ることができる店舗だった。定番靴がないのが残念。ここはオーダーとビスポーク以外はあまりやる気ないかな。
2504NAは定番と言われつつ、身近で履いている人を見つけにくい靴でもあったりする。職場や取引先などでも履いている人見たことないし、いっぱい売れているような気もするけれど、いったいどこで履かれているんだ?という気もする靴。
靴好きであれば一度は通るところのような靴だけど、その一度で通り過ぎちゃったままなのはなんとももったいない。
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2022年1月24日月曜日
REGAL 01DRCD - 10 years have passed
01DRCDもほぼ10年。
2013年に購入してから、晴れの日も雨の日も、時には雪の日にも、長期出張時のヘビーローテーションにも負けず頼りになるビジネスツールとしていつも傍にあった靴。
平均的には1週間に1度くらいの登板をしている。洗って乾かしている期間とか、新しい靴を買って登板頻度が減った時期を考慮して控えめに考えても300回以上は履いている。
ソールに穴が開いたら張り替えようと思っていても、かろうじてまだ開いていない。この間にはつま先の補修をしたくらいで、本格的なリペアのお世話になることもなく10年持ってしまった。かかとも異常なほどに減ることはなく、ほつれたりはがれたりしてくることもない。同じようなローテーションをしていたインバネスのほうが先にソールを張り替えたので、01DRCDのほうがなんだかんだで持ちこたえている。
細かく見ていくと、アッパー側はクリームの蓄積なのか光り方が少し人工的っぽくなっていたりクラック出ていたりで、コバも歪んでいる。内部に至ってはもうボロボロ感が出まくっている。
このくらい履きこんでしまうとソールの返りなのかフットプリントなのか、とにかく靴全体の形が足と一体化してくるのでかえってソールを交換したくなくなる。ほぼ無敵の履き心地である01DRCDをオールソールしてしまうことで一部がリセットされてしまうくらいなら、ソールが壊れて物理的に履くことができないという状況になって初めて修理でもよいかな。
サイトはSNSでもこの01DRCDの良さが語られていることも多い。
ある程度靴のお手入れはしてきたつもりだけれど、どちらかというと気が向いたときにやっている程度。
いろいろなサイトで見ると結構ていねいにお手入れされている靴が出てくることが多く、それに比べると自分は扱いが雑だなぁと毎回思う。
そんな扱いなので出張時にはほとんどお手入れせずに3か月くらいヘビーローテーションということもあったけれど、10年はきちんと持つ作りになっている。
すごくていねいに履く人であれば、本当に15年や20年持ったとしても不思議でもなんでもない。
300回って、毎日同じ靴履いても営業日ベースで1年半近くなる。半年に1度履きつぶすような靴選びを10年続けるよりは、10年履ける靴を5足かってローテーションのほうがいい気がする。
この靴はブログでもときどき書いていたのでそれぞれの頃の扱いと状態が残っている。
当初は比較的ていねいにお手入れしたり洗ったりをしていた。
中盤になると履き心地が完成されてきて、とても歩きやすい靴に。このころはブラシ掛けと本当にたまにクレム1925を塗るくらい。
最近もお手入れは同じ傾向だけれど、クラックも入ってきたので少しデリケートクリームなどを入れたりしてこれ以上壊れないように気を使っている。
いちばんのダメージが大きいソールについては、適度(3ヵ月に一度くらい)にソールコンディショナーを入れてソールが締まっているためか、かなり薄くなってきた感があり、そろそろかもしれない。
屈曲が厳しいところはひび割れが大きい。ソール全体では踏み固められるくらいが稠密さを保つことができるようで、とにかく雨に降られたら適度に乾かしソールコンディショナーを塗ったら気兼ねなくまた外を歩き回ればよいようだ。
つま先は何度かメンテナンスしてしまっているので少しダメージが多かったのか裂け始めてきてしまっているので、さすがにソールはそろそろ限界かな。
アッパー側はどちらかというと表面が少しヤレてきたという感じがする。
数年に一度くらいの頻度で靴を洗っていたためか、つま先が少し色落ちしてしまっている。
通常利用では黒のクレム1925を入れているので目立たないが、ちょっとお手入れをさぼっていたり、クリーナーで古いクリームを落とそうとすると目立つ。
僕は鏡面をしない人なので、つま先にクリーナーを使うといってもボコ染みだらけになって塩を吹いてきたときにぬぐう程度。
暑い日寒い日雪の中でも履いていたため、靴にとってはダメージ大きい環境だったからアッパー側も少しくたびれてきていてもおかしくない。
ソックシートと内部は結構ボロボロ。
やはり靴の内部は湿気が多いので内部の補油(加脂)も少しは意識したほうが良いかもしれない。(洗った後のメンテナンスが悪かっただけかもしれないけれど)
塩分抜きと汚れ取りを兼ねて、おしりふきのようなほぼ水しか入っていないウェットティッシュできれいにして、軽くデリケートクリームみたいなものを入れておいたほうが良いのだろうか。
なんとなく、靴の中にクリームを入れると菌のエサになりそうで、水洗いしたときの油分補給以外でのデリクリ投入は少し気が引けてしまう。
さすがにいろいろとボロが出てきていて、僕の技術だとこのあたりまでが見た目の雰囲気を維持する限界かな。
とはいえ、10年間もビジネスの道具として第一線で活躍してきた靴であり、(週1回くらいの登板なら)「まともな革靴は10年くらい持つよね~」という証拠品でもある。手持ちではほかにW131とかW134とかふだん履きしているものの中で年数だけで見ると先輩格の靴はあるけれど、こちらは01DRCDよりやや登板頻度が少ないのでもう少し状態が良い。月に2、3度の登板なら10年なんてまだまだで、20年くらいは持つだろう。
出た当時は「REGAL得意のとりあえずモデル」だと思っていたものの、いまだに終売されることなく販売されている。
途中プレーントウタイプがあったのに、そちらは気が付いたら終わっていた。ちょっとだけノーズ変えてタンナー変更した靴は、さてどれだけ続くか。01DRCDの完成度があまりにも高いので、逆に中途半端なキャップトウがかえって格好悪く見えてしまう。
昨年後半に The Master Regal というものが出てきていたけど、1店舗ワンサイズのみなんて言う靴好きホイホイなモデルで無駄にお客様を店舗に呼び寄せるなんてのはメーカーの都合。顧客志向とは思えないようなマーケティングの意図が良くわからない。いい靴が売れるわけではないが故にいい靴が宣伝でしか使われなくなってしまうのもなんだか残念。
01DRCDはそれこそマスターピースなのではないだろうか。ビジネスでも、冠婚葬祭でもこの靴一足あれば「きちんとした」場所でこんな頼もしい靴はない。供給量も豊富に見えて、それこそ欲しい時に手に入る。
リーガルが本気出してよい靴を作ってしまうと4万円でここまでできてしまう。これだと競合はよほどエッジの聞いた立ち位置にしないと価格では勝負にならない雰囲気。
スコッチグレインの価格もリーガルと同じで、それなりのスケールで販売が見込めれば、4万円で何年もはける靴を作ることができる。
後者は履いたことがないけれど、安易に価格を上げないで定番をしっかり売り続けるきわめて良心的な商売をしていると思う。
SDGsやらカーボンニュートラルなんやらで、「牛」自体もやり玉に挙げられる今日、ただでさえ生活スタイルの変化で利用者が減ってきた本格的な革靴は結構苦境かもしれない。
ただ、食材の副産物からできていて何百回も履くことができる革靴は、大量消費とは真逆のエコな道具なのではないかと思ってしまう。革が欲しいが故に牛が育てられるという話は聞いたことが無く、仮にあったとしても無視できるくらいの規模だろう。
天然皮革は長持ちするが故にサスティナブルだと主張する人たちもいる。これまでよりもカーボンフットプリントが小さい天然皮革の開発も進んでいる。
革靴に限らず、結局のところ一つのものを大切にするということは環境面でも経済面でもそれ以外の面でも良いことが多いのではないだろうか。仮に製品製造の環境負荷が10倍だとしても、利用期間が20倍いくならばメンテナンスコストを入れてもまだまだ分がある。
と、いろいろと革靴を取り巻く環境もありそうだけれど、そういう話は抜きにして大切に使うということ自体が気持ちいい。
10歳の01DRCDをお手入れしながらあらためてそう思う。
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2019年2月7日木曜日
REGAL 2235NA
日本在住で革靴に興味がある人は一度は目にしたことのある靴ではないだろうか。2504NA と並ぶニッポン革靴界のレジェンド。
正直、僕がまだ学生だった頃はこのデザインはあまり好みではなかった。20代前半まではどちらかというとシンプルなデザインが好みで、革靴でもカジュアル系であればウォークオーバーのビブラムソールみたいなモノとか、スエードのチャッカなどを好んで履いていた。
2235NA をはじめとしたウイングチップに施されるブローギングはジジ臭い、なぜデコラティブが受けるのかとさえ思っていた。スコッチグレインレザーもまたシンプルの対極にありとにかく押し出しが強くて苦手だった。
どうして同じモノに対する見方が180度変わってしまったのか自分でも不思議なくらい、いまはこうしたブローグ系の革靴「も」好きになっている。特に秋冬のカジュアルには茶系のブローグは本当に合う。
ここ数年、いわゆる高級靴ブームといわれる波があって、そのあおりなのかそうではないのかリーガルが軽く見られることがあるような気がしないでもないけれど、3万円台でこのレベルを安定供給できるのは国産の底力なのではないだろうか。
ビジネスシーンで定着しているデザインではないし、カジュアルに革靴を履く人が少ない日本で、これだけの長い間作られ続けてきたことが奇跡な靴。
僕はこの靴の魅力に気付くのに20年を要してしまったけれど、若い人が「フルブローグの教科書的呪縛」にとらわれずに自由にこの手の靴を楽しんでいる姿をみると、格式・礼節が求められる場合を除き、もう少し肩の力を抜いてもいいときあるんだよな、という気持ちになったりもする。
2235NAを購入して3カ月くらい。
この間ほぼ毎週末に履いている。
当初予想したほど痛いところも出ず、思ったより付き合いやすい靴。
つま先も多少削れてきて、足に合ってきたという感じか。
当初、室内履きでトータル2時間ほど履きならした後に外出投入。
初回のお手入れが終わって、ある程度クリームが馴染んだかなと思うくらいで早速外に出てみた。靴は外で履いてなんぼ。
初日は夜のコンビニ買い物程度(平日だったので)。次の日に履いて出かけたら結構な雨にいきなり遭遇するというなかなかのデビューだった。
くるぶしにあたる感じはやはり健在で、特に右足側に違和感を感じるところは 2504NA と一緒。かかと周りのパターンは似ているようだ。
同じフルブローグの W10BDJ と比べるとくるぶし周りのえぐりがないフラットなパターン。伝統的なリーガルの靴はこの部分のパターンで損をしているように思える。
一方で、履き口周りは意外とコンパクトで足首が包み込まれるせいなのか、同じサイズでの比較では W10BDJ に比べて甲の外側のフィット感が良い。
こうしてみると、W10BDJ はかなりかかとを絞っている一方で、履き口が少し広い。
タンは作りが違うのか、足首への洗礼はほとんどなくて、ここはちょっとばかり覚悟をしていたので一安心。2504NA のような足首に食い込んで血が出そうみたいなこともなくて、履き始めからそれなりに快適。
甲のフィット感の違いなのか、長時間履いた時の快適度は 2235NA のほうが W10BDJ より上。明らかに歩きやすい。僕の足との相性なのかもしれないけれど、この点は意外だった。
正面から見るとやや峰の外側が削られているようにも見えるので、そこがフィット感に影響しているかもしれない。
アッパー側は購入時点で思っていたほどの硬さはなくて、2504NA よりは馴染みやすい印象。屈曲部が柔らかめなので指に乗るような感覚もそれほどでもない。
履くにつれ、屈曲部が少し下に湾曲するようなしわの入り方になったので、やはりアッパー側は少し余裕が多いようだ。
とはいえ、2504NA のように大きくしわが寄らないということもあり、見た目的にもきれいにまとまっている。
クリームは適量がわからないのでとりあえず薄塗りの繰り返しをしている。僕はコットンにクリームを掬って塗る派なので、こういう凹凸のあるスコッチグレインレザーかつブローグシューズは磨きにくい。ギンピングの部分は塗りにくい、というか塗るのが無理。適当にクリーム入れたあと、豚毛のブラシでなじませているので、その時に塗れているものと思いたい。使っているのはブートブラックのニュートラル。
ソールはさすがに硬い。購入当初に室内履きで軽くスクワットしてみたのと比較的タイト目に紐を縛っているのでかかとがついてこない感じはそれほどないものの、手で曲げるとか無理でしょうコレという感じ。なのに歩いているときにはその硬さをあまり感じない。やっぱりサイジングをきちんとして紐をきちんと縛ると歩きやすい。
伝統的なラストでありながら、意外やちょっとした包み込まれる感があって、購入直後は 2504NA よりは足と一体化している感があるなと気づいた。かかとに少しだけ柔らかさを感じるところは W10BDJ に近いかも。
惜しいのはやはり甲が少し高い点。
僕はきつめに結ぶので、力を入れると羽根がほぼ閉じてしまう。
新品の時点でこの状態なので、いずれ緩い靴になってしまうのは間違いなさそうだ。中敷きを入れるのも気分ではないし、その時にどうするか。
似たような靴との比較で言えば、2504NA よりは全体的に柔らかみがある感じ。
2235NA の良さに改めて気づく。
これだけの靴を、4万円を軽く切る価格で手に入れることができるのは長年販売され続けられているモデルならでは。
パターンや木型の償却も終わっているだろうし、よくよく見れば比較的原価を抑えた革やパーツを使っているという理由があるにしても、これだけの満足度が得られる靴はそうないのではないかとも思えてくる。
2504NA と同じように REGAL SHOES 専売モデルではないので、街の靴屋さんから通信販売まで広く売られているし、ディスカウントされていることもある。
フィッティングが命の靴でもあるので、初回は通販ではなくて靴屋さんで履いてみて選ぶことを強くお勧めしたい。きちんとしたサイズを選べば、決して「大きな靴」ではない。
2235NA や 2504NA は40年以上販売され続けてきた実績がある。20年後ももし残っているようであれば二世代どころか三世代で同じ靴を履くことができる。
売れる時期も売れない時期も一貫して守られてきた歴史的な重み。そんなウンチクが頭に入っているのでこの靴を履くときは何か凛とした気分になる。僕の中で想い出を積み重ねていく安心感のある靴、REGAL 2235NA。
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2018年10月14日日曜日
靴を買いました - REGAL 2235NA -
休日用の靴は僕の中でここ数年の傑作 W10BDJ を筆頭にいくつかあって、そもそも履く機会を考えると数の面では充実しちゃっているものの、やっぱりこの靴いいよなぁ、ということで。
国産靴の歴史には欠かせない靴。リーガルの代表作でもある。
いま40代くらいの人たちが若いころに買っていた雑誌やムックにはこの 2235NA が盛んに広告されていた。かかとにかかる重さが飛行機なんちゃらとか、「丸と角」みたいな広告。
2235NA はもともと百貨店の特注品をベースに1972年から現行型番で売られているそうな。2504NAとは違って、その当時からほぼ変わらない姿で今に至る。カジュアルなスタイルに合わせているところをあまり見かけないにも関わらず、どう考えてもカジュアル用途と思われるこのデザインが売られ続けてきたのも、日本では靴のデザインはあまり意識されていなくて黒靴であればなんでもOKということも一つの理由かも。2235NA のブラックをビジネスで履いている人を時々見ますので。
若いころはこういう重厚なウイングチップ(あえて「フルブローグ」ではなく「ウイングチップ」)はちょっと苦手で、どちらかというとプレーントウのホワイトバックスや2236NA のようなシンプルな形が好きだった。不思議と歳をとるとともに好きになってきたこのデザイン。
もともとリーガルは米国の Brown Shoe Company(現在は Caleres。リーガルが販売している Naturalizer ブランドを保有。ちなみにこの会社は今は Allen Edmonds の親会社) が買収した Regal Shoes のブランドをライセンスしたもので、その歴史をみても文字通りアメリカントラッドな靴。そののち Regal の商標権(米国他一部の地域を除く)をブラウン社から取得し、いまは「リーガルコーポレーション」の自社ブランド。
若いうちに手に入れておいて履き続けていたら格好良かっただろうな、と思わずにはいられない。
そろそろと思っていた頃に W10BDJ と衝撃的な出会いをしてしまい、いまさらながらのお付き合い開始となった。
2235NAはなんとなくサントリーウイスキーオールドと立ち位置が似ている気がする。
高度経済成長期に頑張っていたニッポンのお父さんのあこがれで、手に入れたらもうそれは大切に扱う自慢の一品。
いろいろな情報に容易にアクセスできるようになった平成の時代に入ると、相対的にその「ありがたさ」が下がってしまっているけれど、古くから靴に目利きがあった人のクローゼットにあることが多い。
W10BDJ と比べると、もう少し大切(?)に履くような靴。
フルブローグの出で立ちからすれば雨だろうがぬかるみだろうが気にしないのが粋とは思うものの、2235NA のデザインはもう少しきれい目に履く靴にみえる。
W10BDJ は傷がついても格好良いと思うし、むしろ多少の傷があるのだけれどきちんとお手入れされている感があるような履き方が格好良い。言い換えれば、傷ついたり雨に降られたりすることを気にする靴ではないけれど、メンテナンスはしっかりしている道具という位置づけ。
2235NA はその逆に、あまり傷が目立ただず、履きこまれているけれどお手入れ感が出すぎない(自然な感じをほんの少し超える)程度が似合う。この靴は何となく品があるというか優雅なたたずまいというのか、傷だらけになると無理して頑張っている感が出てしまうような。キレイ目ジャケパン系であれば W10BDJ より 2235NA のほうがサマになる気がする。グロメットの違いかもしれない。
さてこの 2235NA、最近の全体的なフィッティング重視のものとは違い、靴の前半部に締め付け感がないゆったりとしたラストに感じる。この靴を履いてから 01DRCD を履いてみると同じメーカーでもラストの考え方がずいぶん違うということに気づく。
前半部がゆったりといっても、箱に足を入れているような感じではなく、かかとは無理のない程度に触れて、甲側は紐で抑えるという感じ。
適切なサイズを選べばそれなりのフィット感があるものの、甲薄め、かかと小さめの最近のトレンドから見るとデカい靴、緩い靴という位置づけになってしまっている。僕は 01DRCD からハーフサイズダウン、2504NA と同じサイズにしている。三の甲は 2504NA よりやや高めなのか、新品時点できつめにひもを結ぶとかなり羽根が閉じてしまい(1cm以下)、沈み込んだら少し緩くなりそうだ。
スコッチグレイン(型押し)仕様の革は箱から出した時点では結構硬くて、これは難儀しそうという印象を受けたけれど、デリケートクリーム多めに塗って、そのあとクリームをいつもより少し多めに入れたら柔らかくなった。ボールジョイントあたりの屈曲部はかなり柔らかい。
外側のくるぶしがあたるという感じは 2504NA に似ている。ここはとてももったいないポイント。もっともっと人気が出てもよさそうな靴なのに、間違ったサイズを売られ、おまけにパターンが古めなため「痛い靴」「疲れる靴」といったネガティブな印象ばかりが広まってしまっている。
ライニングは伝統的に布と革の併用。レザーソールの本格革靴ということを考えると、結構頑張っている値段設定。
2504NA あたりと比べるとビジネスシーンでこれを履こうとする人は少ないだろうから販売数量も限られてくるだろうし、この靴を購入する層はそれなりに靴を大切にする人も多いだろうからバカ売れするような靴ではないけれど、この靴が廃番になることはなさそうなので修理を繰り返しながら長く履けそう。
作りはとてもていねいで、さすがにリーガルの代表作だと感じる。
ソールのステッチやコバステッチ、靴の内部縫製のすべてに日本の工業製品っぽい均質な仕上げがされている。
リーガルを代表する靴でありながら、大人の男性が購入する革靴としての優先度が低いデザインの靴だったりもする。
「欲しい」とは思うけれど、手に入れる必然性がないというか...
僕も、やっと購入したという感じ。W10BDJ と 2504BD があれば休日靴はすべての天気問題なしだし、そのほかローファーやらスニーカーやらもあるしで、後から追加して購入する理由があまりなくなってしまっていたので。
それなのにあきらめきれなくて買ってしまったのは、靴の完成度や使われている部材については W10BDJ のほうが一歩上をいっているのに、それに負けない存在感は僕が歴史を感じてしまうが故か。
初回のお手入れ。
この靴は型押しの厚手な革を使っているため、ブートブラックのデリケートクリームを気持ち多めに塗り込む。
塗ったら型押しのしわ部分やメダリオン部分にも入るように軽くブラッシング。その後30分くらい放っておいた。
ある程度浸透したかなと思うくらいで、再度デリケートクリームを入れる。歩くとしわが入りそうな部分は気持ち多めに塗り込んでいく。
この時点で表面が少しべたつくというかしっとりとしているというか、ややふっくらした感じになってきた。
そのあとは乳化性クリームを。型押しの部分があるためどうしてもいつもより多めに塗らないとまんべんなくいきわたらない(気がする)。余分なものは後で拭き取ればよいので、まずは全体に伸びるように少し多め(片足米粒10個にもいかないくらい)を塗る。
ついでにコバの部分にも塗り込んでおく。
型押し革の凹凸やブローギング、ギンピング(ギザギザ)があって塗りにくいので、クリームを少し塗っては軽くブラッシングの繰り返し。
ソールはいったんブートブラックのソールコンディショナーを塗ってみるものの、新品時はあまり浸透しないで意味がなさそう。こちらはある程度履いてからもう一度塗ることで初めて意味があるような。
クリームを塗り終えて10分ほどしたら軽く室内履きしてみる。
この最初のしわ入れの時が結構ドキドキしたりする。
僕は靴の構造と足との相性で自然にできるしわが良いと考えているクチなので、特にボールペンなどは使わないで自分の足を曲げることでしわを入れる。
まずは気持ち曲げる程度。
これでだいたいどこに力がかかるかが何となくわかる。
次第に曲げる角度を深めていっては戻してを繰り返し、最後に思い切り曲げる。
この時、クリームをある程度入れて革が柔らかくなっていればなっているほど自然なしわが入る。ボールガースに余裕がある靴だと大きくしわが寄ったりすることもあるが、気にしだしたらキリがないので、自然についたしわは受け入れることにする。2235NA は型押しの革ということもあり、しわがあまり目立たない。
今後もお手入れはブートブラックのデリケートクリームを中心にときどきニュートラル乳化性クリームで。
ネットで紹介されているいろいろな方の靴を見ると、やや濃いめのクリームでお手入れをして深みを増すようなお手入れをされていることが多いような気がする。もともとの赤が入った茶色を少し落ち着かせて、ダークな感じに寄せている。
それも格好良いけれど、購入時点でも何となく立体感のある仕上がりだし、そのまま様子を見てみようと思う。
僕はジーンズやチノパンの時に履くので、テカリはそれほど必要ではない。
ちょっとしっとりと落ち着いているくらいのほうが良い。
この靴だったらブートブラックよりM.モゥブレイのほうがあっている気がしないでもないけれど、リーガルブランドクリームの製造元であるコロンブスを使うことにする。
登場から45年以上販売されているモデルで、もう何足売れているのかわからないくらいなのに、特にこの茶系のものは案外履いている人に出会うことが少ない。地下鉄の駅でも、繁華街でも見かけることがほとんどない。
持っている人は多いとするのであれば、この靴を持っている人はほかにもたくさん靴を持っていて登板頻度が低いのかな。
いかにも定番すぎて、ちょっとわかる人ならだれもが 2235NA だってわかるところが気恥ずかしさを生んでしまうのかも。
形、色、素材のどれを見ても、あまり似たような靴は国産では見かけない。
いわゆるただゴツイ系のフルブローグは数多くあるけれど、アイビー寄りなデザインでありながら、日本人がていねいに作り上げた無骨と繊細が共存するデザインは独特な雰囲気を醸し出している。
僕が靴を買うのはもはや道楽に近い趣味みたいなもので、数が増えてくると一つひとつのローテーション間隔が必然的に長くなってしまう。一つ靴を買うと、ほかの靴の当番頻度が伸びてしまったりめったに履かなくなる靴が出てきてしまう。
靴って履いて、お手入れしてなんぼなのでそろそろ打ち止めにしようと思ってはいるものの、また買ってしまった。
2236NA 購入から25年経て購入した 2235NA。
リーガルの定番といわれる靴はいろいろな意味で「重い」。
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