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2023年10月12日木曜日

革靴のプレメンテナンス

ひさしぶりに革靴を買いました。

今回もビジネスユースなので必要以上に気にせず、最初によく手入れをしておくと結果的に長持ちするのではないかという程度の気持ちで、インターネットで最近の情報を調べながら自分なりにプレメンテナンス(プレメンテ)してみました。

初回のお手入れについては、いろいろな方が研究(?)されていたりして、確かにコレはいいなと思うものがたくさんあります。

ほぼすべてのところで共通しているのが初回メンテナンスの理由です。「保管されている間乾燥したかもしれない革靴に油分を補給する」ということをどうやるかということに尽きる感じです。

その目的に沿って、ある人は何種類ものクリームを順序良く塗り、またある人は乳化性のシュークリーム一本で完結しています。

革に油分を補給するという意味でいうならば、デリケートクリーム塗っておけば事足りるのですが、ちょっと渋めに光るとかお手入れ頻度を少し減らしたいとか考えるとやっぱり乳化性クリームもあったほうがいいかなと思っています。

用意したもの

  • 大きめの馬毛のブラシ
  • 豚毛のブラシ
  • 適当な布切れ
  • Boot Black デリケートクリーム
  • Boot Black シュークリーム(黒)
  • コロンブスミンクオイル
  • ウェットティッシュ
  • シューツリーを買ったときにおまけでついていたグローブ
とりあえずこれを用意。

リッチデリケートクリームだとか、プレミアムクリームだとか靴のお手入れグッズもバブル状態のようで、どれを選んでいいのか迷います。そんな時だから、いったん初心にかえってシンプルイズザベストな感じのものを選びました。

適当な布切れは着古したインナー用のシャツから作りました。おまけグローブはまぁ、ネル生地の代わりみたいなものです。

お手入れ期間は2日間(と外での慣らし履き)。最初の日はデリケートクリームとソールのミンクオイル、2日目に乳化性クリームと室内での試し履きをしました。週末を使ってやりましたので、2日に分けていますが、日にちをあけることに特に意味はありません。


今回のターゲット

今回お手入れするのはショーンハイトのSH111-1D。既製品のキャップトウです。国内タンナーのキップが使われているといわれています。


ショーンハイトさんはグッドイヤーウェルト製法の本格靴をどうしたらこの価格で提供できると思うほどにインパクトのある価格で販売しているビジネスパーソンの頼もしいパートナー。

ここ何年かにわたり革靴の値段が高騰しまくっていますが、レザーソールの既製品は消費税8%の時代から変わらず税抜き2万円、税込みで22,000円です。プレーントウのSH111-4に至ってはセールとなって当時より値段下がってたりします。Made in Jpaanで従来からのこの価格のどこに値上げしない企業努力の余地があるのかと驚きとしか言いようがありません。

リーガルの01DRCDがこの11月から税込46,200円だということを考えると、交換の手間考えても通販したり、都内の人なら本社とかサロンとか行ってショーンハイトを試し履きして買ってもいいんじゃないかと思うレベルです。

それなりにお手入れすればかなりヘビーローテーションでも5年は余裕、ソールの張替えも驚きの1万円以下。おそらくラバーソールを買えばアッパー側がダメになるほうが先かと。既製品は高級路線ではないかもしれませんが、同一価格帯の中では素材も含め、フェルスタッペンばり断トツのクオリティです。

何らかの理由で採算度外視でやっているのでなければ、この金額で展開できる技術・ノウハウは世界レベルで展開できちゃう実力なのでは、と思わずにはいられません。

おっと、今回はプレメンテの話ですのでショーンハイトの話題はこのへんで。



では早速始めてみます。

1日目

全体をブラッシングしてウェットティッシュで拭う

まずは全体を軽くブラッシング、次いでアルコール含有のウェットティッシュでぬぐいます。除菌とか油分の汚れ落としというよりは、ほとんどおまじないとか儀式みたいなものです。

今回購入した靴は、ていねいに仕上げをされているのかきれいな状態で届きました。なのでさっとやって終わりです。


お湯を固く絞ったタオルでていねいに拭う

ここからお手入れ本番。40度ちょっとのお湯を使い、固く絞ったタオルで靴全体をしっかりと拭います。これは靴の表面を少しばかりふやかせ毛穴を開くことでクリームが入りやすいようにするという意図です。

ふだんのお手入れの時はお湯ではなくいわゆる「おしりふき」で代用することが多いです。今回は初回のプレメンテナンスなので少していねいにしています。


デリケートクリームをたっぷり塗る

まずは油分や水分補給のデリケートクリームを塗ります。後ほど仕上げに乳化性の靴クリームを塗るので、ここでは乾いた革に油分がしっかり入ればいいという感じです。

今回はブートブラックのデリケートクリームを使っています。ブートブラックの良いところは主成分が「ろう、油脂」とされていて有機溶剤が入っていません。(入っていたとしても表示の義務以下です)

ブートブラックのデリケートクリームは塗っているときにややべとつくものの、乾くとそれほどでもなく感じられるので靴の内部にも使っています。カビとかどうなんだろうと思うこともありますが、いまのところデリケートクリームを塗って内部がかびたことはありません。

塗る量はそれこそたっぷりといった感じで、靴がデリクリ中毒になるほどべたべたに塗ります。これでよいのかまったく根拠はありませんが、靴を洗う時などは靴がびしょびしょになって、それでも乾けばもとに戻ると思えば、少し多めに塗っても問題ないのではないかと思っています。

デリケートクリームは2回に分けて塗り、1回目は表面に少しばかりデリケートクリームが残るかなという程度の量で様子を見ながら塗り、数時間おいて表面がもとに戻っているように見えたところで2回目にべたべた塗ります。今回は黒の靴なのであまり意識しませんでしたが、薄い色の靴であれば1回目は慎重にして様子を見て2回目の量を決めるのがいいかもしれません。

時間が無い場合は、2回目のデリケートクリームを翌日にして、都合3日でやってもよいと思います。日数が大切なのではなく、そもそもの油分を補給するという目的にかなっていればよいので、急いでいるなら寝かせの時間を短くして、忙しいなら少しずつ進めてもよいのではないかと。気にすれば多少の仕上がりの違いはあるにせよ、履く前にそこそこ油分さえ補給できればいいので。

ブートブラックやM.モウブレイのデリケートクリームやは過去にもたくさん塗りまくったことがあります。雨に濡れた後や水洗いの時などは、もはや水なのかデリケートクリームなのかわからないくらい塗りましたが、塗りすぎて靴がダメになった気はしていないので気にせずたくさん塗ります。目安としては片足で小さじすりきり一杯くらいの量を使いました。


ソールにミンクオイルを塗る

ソールは伝統的なミンクオイル。スムーズレザーではあまり使い道が無いということもあり最近では話題にも上がらないようですが、一昔前までは硬めの革を柔らかくする系では大活躍のオイルでした。今でもリーズナブルかつ意外と手に入りやすいメリットがあります。

最近はソールケアの商品もたくさん出ていて、それぞれがソールの特性に合った製品であることは間違いないのですが、今回はシンプルにいこうとしているので従来型のミンクオイル作戦で行きます。

ミンクオイルは浸透性が強いことからスムーズレザーの表面に使ってしまうとどうしようもなくベタベタして、質感が変わってしまうと言われています(確かめたことはないです)

ただその浸透性の良さは、ソールのような固くて稠密な仕上げがされている革には却って都合が良かったりもします。

新品のソールはつるつるですのでごくごく少量を伸ばします。表面が少し油っぽくなったなーという程度で、塗り込むというよりは表面にごくごく薄い膜ができたところで十分としています。

どうせ滑るならそもそもミンクオイルを買わなくてもニュートラル(無色)の乳化性クリームでもよいのではないかという気もします。ミニマル志向であれば、乳化性クリームは黒でなくてニュートラルにしてもうこれ1本でいけちゃいます。ミンクオイルよりは浸透力は低いのではないかと推察しますが、まぁそもそも外で履いてもいない状態で浸透も何もあったもんではないので。とりあえず何か塗っておこうという程度です。

ここまでやったらいったん初日は終了。時間があれば次もそのまま進めてしまって終わらせるもありなんですが、デリケートクリームの油分が浸透し、水分が蒸発して落ち着く時間もいるのではないかということで、一晩おきます。一日パターンであれば休日の午前中にここまでやって、夜に次の作業でもいいかもしれません。


2日目

コバに乳化性クリームを塗る

見落としがちですが、コバ、特にウェルトの部分にクリームを塗りこみます。

アッパーより先に塗っておくと、アッパー側に少しばかりクリームがついても気にすることありませんし、一緒にブラッシングできるので楽です。

使い捨ての歯ブラシなどが無くても、布の切れ端を使ってもある程度はできます。布に少し多めにクリームをとり、ぐいぐい押し込むような感じで塗っていきます。多少のムラが出たり、隙間にクリームが詰まりますが、どうせ最後に豚毛ブラシでブラッシングするのであまり気にせず進めます。

今回は用意していませんが、ふだんのお手入れではコバのメンテナンスに使い捨ての歯ブラシを使うことが多いです。出張が多い人はアメニティで出てくる歯ブラシを使ったら、きれいに洗って持ち帰りストックしておくのもありかと。ちなみに、新品でも業務用の歯ブラシだと1本20円以下で買えるので何もペネトレイトブラシを買う必要ないんじゃないかと思ったりしています。


アッパー側に乳化性クリームを塗る

最後に表面に乳化性クリームを塗ります。

初回なのでふだんのお手入れよりは少し多めに塗ります。僕はウエスで塗る人なので、軽く取っては表面に塗りこみ、しみこんでいくような感じであれば追加するみたいなイメージで塗っていきます。

ブローグ系の靴であればウエスだけだとどうしても塗りにくいので、ここでは歯ブラシを使うことが多いです。

ブートブラック(シルバーラインではないほう)の乳化性クリームはやや粘度が低く、するすると表面からクリームが吸収される感じです。いったん表面に留まってからじわじわ浸透していくようなクレム1925のような油性クリームとは塗っている感覚が違います。

少し表面がべたついてきたような気がするようなしないようなという程度で塗ります。靴の片方で小指の爪にクリーム山盛りといった程度の量でしょうか。

ひととおり塗ったらすぐに豚毛のブラシで全体をシャッシャと手際よく、少し力を入れてブラッシング。先ほど塗ったコバの部分もていねいにブラッシングします。

終わったら10分ほど寝かせて、布切れで余ったクリームをぬぐいます。あまり色がつかないようであれば初回より少しクリームの量を減らしながらもう一度繰り返し、布切れにクリームが過剰に残るような感じがしてきたら終了です。

塗り終えた直後は気持ち全体がべたべたした感じになりますが、その一方で革が少しだけ柔らかくなっていることがわかります。

目的は油分を革の内部に浸透させることなので、表面に残ったクリームは不要です。ここでは布切れで光沢を出すというよりは、余計なクリームをとるというイメージでふき取っていきます。

もし光らせるとか表面を整える方向であれば Boot Black アーティストパレットやクレム1925などの油性クリームを最後に使い整えれば良いかと。


履きならし

靴は割と長時間履いて歩くものですので、一日中履く前にまずは軽く履き慣らします。室内でややきつめに紐を結んで少しずつ曲げていきます。

まずは足を入れ、紐を結び足の形と靴の形の違いに意識します。ボールガースが少し抑えられているなとか、一の甲が緩いなとか、少し踏み込んだり力をかけたりして足を通して靴の形をイメージします。

次は屈曲です。最初は踵を数センチ上げるような感覚でつま先立ちをします。かかとをあげたり下げたり、あまり大きな動きではなく軽めに動かします。本格的に曲げたらどの辺が折れるのかを確認する意味合いもあります。

何度か繰り返してシワが表面に入り、靴の折り目のようなものができてきたら少し歩いてみます。最初は靴が硬くてかかとが付いてこない(靴が折れない)ですが、最初はあまり無理をせず少しずつつま先に力を入れるようにして靴を曲げていきます。

手でおるような強者もいるようですが、体重に任せてふつうに歩くほうが折れ曲がる位置や折れ曲がり方が足と合うので良い気がしています。

ある程度曲がるようになったら、つま先に力を入れるような感じで少し強めにしわを入れていきます。新しい靴はここでミシミシ音が出たりします。ソール側が少しずつ伸びるようにゆっくりと行います。

最後はキャッチャー座りのような感じで、靴が90度屈曲、と言いたいところですがまだ靴が固いので、無駄な負荷をかけないよう45度~60度くらいは折れるように屈みます。実際に履こうとすると靴ひもを結ぶときにはもう片方の足は90度以上折れるようになるので、ここでしっかりと曲げておくとよいです。

事前にしっかりと曲げておくと、歩く際のつま先にかかる負担を少し減らせるので、新品時にありがちなつま先が猛烈に減っていくことを少し軽減できます。

90度以上曲がるようになったら仕上げとしてソールにミンクオイルを薄塗りします。靴底が伸ばされて、曲がった部分は革が少し開く(傷ついて広がる)ので、そこから浸透させ、潤いを与えることが目的です。量は少な目で、その代わりていねいに擦り込むように塗ります。その後は半日くらい放置しておきます。


外履き前のお手入れ

いよいよ外出デビューです。

家の中ではなかなか歩くということができませんので、靴を曲げるところまでやったら外で歩きます。できればアスファルトよりはOAフロアのようなところのほうが良いですが、気にしだすときりが無いのでふつうに外出します。

外履きしていよいよ本格的に1日履く前に、最後のお手入れをします。

アッパー側は馬毛のブラシでていねいにブラッシングしたら、ウェルトの部分にクリームを再度入れます。しわの部分にごくごく薄く乳化性クリームを塗り、ネル生地のようなもので徹底的にからぶきです。しわの部分はほかの部分に比べて水分を吸収しやすいため、少しクリームを追加したうえで、全体的に光沢を出して終了です。


本格運用

いよいよ外出デビューです。

一日連続して履くと足が痛くなることが予想されるので、できれば靴を脱ぐことができるような日に投入します(オフィスワーク中心とか、歩く移動が少ない時とか)

結果として歩くことになったり、天気予報が外れて土砂降りになったりするかもしれませんが、もうここまで来たら大きく気にせず履くことにします。

ちなみに、仮にずぶぬれになってしまっても、ちょうど油分がたっぷり入っている状況ですので、軽く水洗いしてデリケートクリームからやり直しの油分補給すればもとに戻ります。

むしろ連騰してクリームが抜けかけた(靴が疲れているような)時に濡れるほうが靴に対するダメージが多いです。

最初の数時間はアスファルトを歩く時だけかかとからの着地を意識して、それ以外は全く気にせず歩きます。初日は5,000歩くらい歩きました。



満員電車で踏まれてしまったり、思わぬ雨に降られてしまったり、思わず段差でガリっと傷つけてしまったりとか、靴を履いて歩いている以上こうしたトラブル(?)は避けようがありません。

そんなことを心配しながら履かなければならない靴だとすると、もはやその人を幸せにするアイテムではなく、不安の種でしかありません。靴を踏まれれば踏んだ人を、天気予報が外れれば予報士を悪人に仕立て上げ、おまけに「きょうの自分は運が悪い」という暗示をかけてしまいます。

でもそれって確率の話ですよね。工夫や努力で減らすことはできてもゼロにするのは難しい。

だからこそ、自分でコントロールできるお手入れでリカバリすればよいと思っています。雨に降られるのが嫌だから履かないではなく、雨に降られることは避けようが無いので心のダメージを減らすためにも正しいお手入れを知るというスタンスです。

もし雨に降られたならこの手順でお手入れすれば元どおり、もしくはこれをやると実はより一層革が丈夫になるなんて方法を知っていれば天気なんてどうでもよくなります。(面倒という別の感情はありますが)

「レザーソールは雨の日履くな」と言っている靴屋さんは晴れの日と思って出かけても雨に降られることがあるという事実を直視していないだけです。天気予報でも雨は降らないとなっていて、確かに空を見ても晴れていたので出かけて振られた経験ないでしょうか。

私たちは将来を確実に予測なんてできないので、晴れかと思って雨に降られることはあるあるです。地域によっては晴れの日は必ずと言っていいほど夕立が来るなんてところもあります。

降られてしまったのは事実なのだから「履かなければよかった」ではなく「履いていた時に雨が降った」という単なる事実からどうするかが考えるところ。

「昨日の天気が晴れだったら...」と嘆いても「俺の見た目が竹野内豊だったら...」と言っているおっさんと何も変わらず、もうすでにそうでないのだからいまの状況から考えうるベストにフォーカスしたほうが健康的です。

ネットでは靴のお手入れのプロの方々から、それこそ靴磨きが趣味の個人の方までそれぞれの立場と重視することに沿ったお手入れ方法がたくさん紹介されています。そのどれもが靴を大切にしようとするところから始まっているのですから、ダイバーシティの時代、こうした多様性の中で情報の受け手がどうするか考えるのもまた面白いのかもしれませんね。


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デリケートクリームは万能です。ひとつあってもいいかも。

2021年4月1日木曜日

靴クリームの比較 - Boot Black と Boot Black Silver Line その後 -

もうずっと前になってしまうのだけれど、W134でずっとやっていた Boot Black(ブートブラック)と Boot Black Silver Line(シルバーライン)の比較。

大きな違いはないような気がする。


この靴自体はそれほど登板機会がないので、クリームをしっかり入れて磨くのは年に数回程度、なので、始めてからいままで合計しても十数回程度しかクリームでお手入れしていない状態。

当初、シルバーラインのほうが青みが強いブラックだとわかったものの、別に靴が青くなるわけでもなくいまに至る。(当然)

結論としては素人には見た目レベルではよくわからないというところだった。

シルバーラインの左足。
ブートブラック(黒蓋)の右足。

区別つきません。


細かく見るとシルバーラインのほうが気持ち光が鋭く、ブートブラックのほうが表面のテクスチャー感を残す仕上がりな気はする。これはクリーム自体の成分的なものよりも、もともとの硬さによるところが大きいと思う。硬い分ワックス効果が大きくなるみたいな。ていねいにブラッシングとからぶきしてしまうとその差は誤差という程度になる。

ブートブラックの黒蓋は固形のワックス掛けまでやるような向きもターゲットなので、柔らかめのクリームはどちらかというとじっとりと浸透させる方向で、まずは浸透するようなじっとりとした仕上がりにして、ぱっきーんな光り方はワックスに任せるという意図かな。

逆にシルバーラインはこれ一本のオールインワンを狙って、クリームだけでもなかなか光っている感覚が得られるような作りのため、少し硬めに作り上げているのではないかと思われる。

素材自体はブートブラックのほうが高価なものを使っているようだけれど、実用上はシルバーラインでも全く問題がないので、単に仕上がりの好みで選んでもよいという程度かもしれない。

細かいこと言えば靴のお手入れが趣味みたいな人はブートブラックのほうが楽しめるだろうし、どちらかというとお手入れにそれほど時間をかけない人にはシルバーラインのほうが向いている。このあたり、やっぱりもともとの製品コンセプトどおりで、靴のお手入れをこれから始めるような人にとってはシルバーラインのほうが無駄に塗りすぎることもなさそうだし、容易にいい感じの仕上がりが得られるはず。


同一メーカーが同じような目的のために作っている製品なので、基材についてはある程度共有しているところもあるだろうし、一定の品質基準なんてのもあるだろうから、短期的な見た目や使い勝手は変わってくるものの、長期的な保革効果にはそう差がないのかもしれない。

Boot Black に関して言えば、素人がちょっと靴お手入れしています程度の頻度や量ではほとんど効果に差がない。もしかするとワックスをしっかり塗って仕上げると、そのベースとしての感覚は大幅に異なるのかもしれないけれど、ふだんはクリームオンリーなんていう場合はどちらを使っても困ることがない。

もし僕がおすすめをするような立場であるとすれば、どんな靴クリームが良いかを聞いてくるような人にはシルバーラインを薦めるくらい。黒蓋買うような人はわざわざそんな質問してくることないので。

逆に、お手入れが趣味の人が試してみるなら黒蓋のほうがいい。仕上がりの足りない部分は自分で補える人にとっては、多少顔料多めのクリームは靴の表情をはっきりさせやすくほかのアイテムと相性が良い。


長期でやってきたクリーム比較は同一メーカーだとあまり面白い結果にならなかった。
この先も大きく変化するとも思えないし、これからはアーティストパレットでお手入れしよう。


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2020年4月3日金曜日

4年経過 Boot Black と M.MOWBRAY 比較

Boot Black と M.MOWBRAY の比較も4年が経過した。

当初はクリームを塗った直後のツヤ以外にはあまり違いがないと思っていたが、4年たって決定的な差が出てしまった。

光が強めにあたっているところでは気づきにくいのだけれど、
M.MOWBRAYでお手入れしていた右足にクラックが入っている。

この差がクリームによるものなのか、それとも僕のお手入れ技術によるものなのか、歩き方の癖によるものなのか、たまたま素材に問題があったのか。
いろいろ考えるところはあるけれど、意外と目立つところに決定的なクラックが入ってしまった。
太陽光の下で見てみると結構目立つ。

塗比べをしているショーンハイトは、晴れの日も雨の日もあまり気にせず履いていて、時にずぶぬれになることもあった。お世辞にも丁寧に扱っていたとは言い難い。

とはいえ、最低限のクリームやブラッシングをしていたので、他の靴ではあまり見られない場所に4年ほどでクラックが入ったのは意外だった。
気が付いたら傷ついていたので、ひょっとすると別の理由で傷が入ってしまっただけかもしれないが、この場所を強打したりかすったりするようなことは記憶にないし、この向きに傷が入りやすいこともしていないと思う。

クリームを塗った直後の表面の感じや、クリームを落とした時の顔料の落ち方とかを見ると、Boot Blackのほうが革に負担が大きいと思っていたのだが、どうやらそうでもないらしい。


伝統的な技術に基づくクリームと、日本の工業製品として研究開発に基づいて作られたクリームは、どうやら後者のほうが僕にとっては安心できそうだ。
たまたま僕の扱い方によるのかもしれないけれど、だとしても少なくとも僕の塗り方やその量、間隔とか、靴の扱い方においてはBoot Blackのほうが合っているのかもしれない。

4年にわたって比べてきたBoot BlackとM.BOWBRAYについてはいったんここで終了としたい。
クラックが入ってしまったのは残念だが、それもまた靴の表情でもあるので、この靴とは今後は自然なお手入れで付き合っていきたい。

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2019年3月5日火曜日

平成の逸品 その2「クリーム」 ~ Boot Black Shoe Cream ~

なんとなく思い付きでやっている「平成の逸品」シリーズ。
その1で「汚れ落とし用のクリームと乳化性クリームだけあればよい」とも書いたので、今回はもう一方の乳化性クリームを。

なんといっても平成の逸品を挙げるならばこれになる。

Boot Black Shoe Cream



このブログ、国産靴を中心としているブログなので、クリームもニッポン製を贔屓。

一昔前の靴お手入れムックなどを見ていると、サフィールノワールクレム1925の圧勝で、僕もその意見に同感ではあるものの、「平成の」逸品というタイトルで選ぶならばこちらのブートブラックに票を入れたい。

クレム1925のガチンコ対抗馬としてはブートブラックのアーティストパレットがあって、これはこれでかなりいい感じのクリームであるものの、コロンブス社の方針で手に入れにくいのが残念。逸品対象からは外している。コレクションシリーズのクリームもそのストーリーを聞けば聞くほど惹かれるけれど、やはり一つを選ぶならばベーシックなこちらのクリームを挙げたい。


ブートブラックは僕がこのブログを始めてから何度も登場してきたクリームで、RENDO R7702W10BDJショーンハイト2504NA など、国産靴の傑作と思う靴に使うことが多い。

最近はやりのビーズワックス強めのしっとり感満載で、クリーナーを使うと結構色が落ちるので、顔料もそれなりに入っているお化粧クリーム。保革だけではなく、ある程度「見せる」クリームなので、使う側の技量によってつややかさに違いが出るかもしれない。

黒い靴にブラック(黒色)のクリームを使うとしっとりとした強めの黒感が長持ちする。
まだ数年レベルではあるものの、ブートブラックでお手入れしている靴にクラック等は発生していないので、保革という観点からも問題なさそう。
(僕はあまりリムーバーなどは使わないので、クリーム重ねがけ状態になることもしばしば)


ブートブラックのクリームはいかにもニッポンのメーカーが靴ブームに乗っかるような形で登場したものの、あか抜けない真面目さが見えてくるようないかにも「ものづくり」しました的なクリーム。ちょっと洒落たデザインを纏っているけれど、やっぱり良くも悪くも工業製品っぽい。
均一な品質管理、幅広い温度レンジといった高スペックを、一瓶ずつ手できっちりぎりぎりまで職人技で充填。感性に訴えるような香りよりも素材組み合わせによる効能を追求したマニアっぽさ。

こういう真面目なものがモテるかどうかは別ではあるものの、ときにはそういうものづくりの姿勢に心惹かれてしまう。大企業の製品でありながら、町工場の技術を感じてしまうのに似た感情を受ける。

なので、日本のタンナーによる素材を使っている日本製の靴にはブートブラックを使うことが多い。Made in Japan つながり。



ブートブラックには多くの色が用意されていて、茶系などもかなり細かな選択ができる。革靴にはあまり見られないストレートすぎる青や黄色があるのもコロンブスならでは。(在庫を抱えなければならないお店は大変だろうに)
ビジネスシーンは黒い靴推しの僕にとっては、黒かニュートラルかという選択で、一つだけ選ぶならば敢えてニュートラル(無色)を選びたい。


ブートブラックは黒蓋の「ブートブラック」と銀蓋の「ブートブラックシルバーライン」がある。前者は当初「プロ向け」みたいな感じだったと思うけれど、いまは「磨きのプロ達が創りあげた」という表現で、後者は「未来のシューシャイニストのための」と書いてある。

意図するところとしてはお手入れがある程度しっかりできる人はブートブラックで、あまりお手入れに時間をかけたくないみたいなライトな人にはシルバーラインという位置づけかな。後者のほうが硬めなクリーム。


それにしても磨きのプロ達が創りあげたというブートブラックシリーズにおいて、プロならまず使わないと思われる小さな使いづらそうなブラシがセットになったシリーズがあるのがなんとも落ち着かない。磨きのプロ達はこれをどう使うつもりなのか。ブランドイメージにイマイチ安っぽさが残ってしまうのはこの辺にもあるような気がする。

前回のブラシの時も思ったのだけれど、どのブランドもこういう小さいブラシを初心者キットに入れてくるのだけれど、これから靴のお手入れを始めようとしている人にこそ大きいブラシを使ってほしい。

カラーについても、もう黄色とか青とかはニュートラルでよいでしょう。色落ちてきたら専門家に染め直してもらえばよいのだから。


ブートブラックはいろいろな商品が展開されているのだけれど、お手入れグッズとしてはこのクリームとソールコンディショナーとコバインキくらいがあればまずは十分かと。お手入れに興味ができたらデリケートクリームとツーフェイスプラスローション(汚れ落とし)買ったらほぼ完成。
靴のお手入れが趣味の領域までくれば、あとは好きなものを好きなだけ買うのでよろしではないかと。


良くも悪くも日本らしさがあるブートブラック。僕の人生において多くの割合を占める「革靴を履いて仕事をする時間」を楽しいものにしてくれる大切なピースだ。



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2018年7月1日日曜日

Boot Black と M.Mowbray 比較その後

ショーンハイトで続けているブートブラックとM.モゥブレイ比較。


塗分けしているショーンハイト SH111-4 は天候をあまり気にしないで履いているということもあり、雨に降られたりもするとそのたびにリセットされるのか、革の変化に大きな違いはない感じ。


お手入れに時間をかけた後ははっきりとわかるその違いも、しばらく(1カ月ほど)履き続けるとどちらがどちらなのかわからなくなるくらいに落ち着いてくる。

ふだんのお手入れはブラッシングとからぶき、ときどき固く絞ったタオルでの水拭き程度なのでクリームが蓄積されて変化をもたらすほどの影響を与えていない感じ。

この辺りは僕の技量にも拠るところなので、靴磨きに一言ある人であれば継続的に違いを際立たせることができるかもしれない。


ブートブラックはそれ単体で仕上げることができる便利なクリーム。
成分についてはメーカーの言い分なのでどれほど靴に良いかは不明なものの、仕上がりはじっとりとしていて、いかにもお手入れしましたという雰囲気が出る。
コロンブスの高めのラインはビーズワックス多めな感じなのでつやつや仕上げがしやすい。

一方、M.モゥブレイはロウによる表面上の変化は多少感じるものの、やはりブートブラックと比べるとかなりサラッとしたテクスチャー感を活かした仕上がりになる。正直、これ単体では靴の輝きがイマイチなため単独で使うとインパクトが少ない。


僕はふだん使いのビジネスシューズにはほとんどワックスをほとんど使わない人なので、ブートブラックのような単体でそこそこ光るクリームのほうが好き。光らせることを重視するとクレム1925のほうが使い勝手が良いので、きめ細かなカーフの靴にはクレム1925を使う。

逆に、表面がある程度ポツポツしているようなキップ系の場合は、クレム1925のような油性クリームは厚塗りしがちなのでブートブラックのような柔らかめのクリームのほうが良さそうな気がしている。(あくまで気がするだけ)

少し立体感を出したいときは同じブートブラックのアーティストパレットをつま先とかかとに塗っている。


もし僕がワックスを使った本格的な鏡面派だとすれば、モゥブレイのようなあまり光りすぎないクリームをベースにして、つま先やかかとをワックス使って立体的に仕上げる。鏡面のメンテナンスをするついでにそれ以外の部分にクリームを入れることになるだろうから、基本は薄塗して頻度を増やす。

いまの僕のスタイルはクリーム中心にお手入れして、そのサイクルは長めのためやや艶のあるクリームを少し多めに塗ることが多い。この場合はブートブラックのほうがやや有利。

そんなわけで、ブートブラックのクリームはこれ一本的な道具としての登板頻度が上がる。



ブートブラックもM.モゥブレイもどちらも個性のある良いクリーム。どちらを使ってもクラックは起きていないし、雨に何度も降られるハードユースでも革が固くなることもない。カビが生えるということもないし、色が落ちることもない。

雨の日も晴れの日もあまり天候を気にしないで履いていれば、どちらにしても塩が浮き出る。


どちらも足の親指側に塩が出やすい。塩は足の汗由来といわれているので、どちらでお手入れしても通気性というか、浸透性は大きな変化がないのではないかと考えられる。


ソールについてもブートブラックとM.モゥブレイどちらの商品を使っていても減り具合に顕著な差は見られないし、
体感的な浸水も違うということもない。ブートブラックのほうがソールステインの色を若干落とす傾向があるような気がするものの、履き心地に関する部分で言えば違いに気づかない。
このあたり、僕は鈍感であるとはいえ、それほど大きな差を見つけられないのだから実用上はどちらにしても満足できる。


靴のお手入れに関して言えば、たいして靴磨きに時間をかけない素人レベルであるなら、永い間支持を受けてきたものであればよほどの違いはない感じ。むしろ、頻度だとか一回に塗る量といったほうが影響が大きそう。


ところで、よく雑誌とかで靴磨き屋さんに仕上げてもらった写真などを見ると、じっとりと光るような靴をよく見かける気がする。
そこによく書かれているのが「革に栄養がいきわたっている感じ」
これってビーズワックスがちょっと強めに入っているクリームを薄塗何回か繰り返すと同じように見えるのだけれど、それって革に栄養が入ったからなのだろうか。
僕には表面にとどまるロウ分の艶感がそう思わせているように見える。

と思うようになったのも、この比較でほぼ同じようにクリームを塗ったとき、明らかにブートブラックのほうがそういった印象を受けるけれど、実際にはどちらも同じくらいクリームが入っているようだし、ある程度塗り続けた後のコンディションに大差がないようにも感じている。

もし栄養分(というか、保革成分)がそういう見た目の印象を与えるのであればこの比較では明らかにブートブラックのほうが良いコンディションに仕上がってくるはず。数年単位でお手入れを分けているので、印象的な違いがみられてもおかしくない。
こういう「栄養がいきわたっている感じ」とか感覚的な言葉は商品の売り手が使うにはいいのだけれど、比較に使おうとするのであれば何らかの数値化できたら面白いのに。
コロンブスなど本格的な研究をしているところにはデータあるのかな。

もちろん、僕が仕上げた状態とプロが仕上げた状態とでは、一見似たように見えて革の内部的には全く異なる状態になっているということも考えられる。だからこそ、プロがやったものと素人がやったものを比較する指標があればよいのになと思う。定量データなどの客観的指標で比較できれば、それはもうプロに依頼する大きな根拠になるのだから、だれかやってみるひと出てきてもよいのにな、と思う。



どんどん新しい商品が出てくるので、僕のようなお手入れ好きというかお手入れ用品好きは試してみたくなるものの、おそらく普段履きに一般的なお手入れをしている限りではその差を際立たせることはできないのかもしれない。メーカーの差別化要因を僕が再現できないというのは製品を活かしきれずにもったいない気もしないでもない。

とはいえクリームを塗るという行為は保革のためのメンテナンスというだけではなく、それ自体が楽しみでもある僕には、表面上の小さな違いでも「面白い」と思ってしまう。

それは光り方だったり、革に吸い込まれていく感覚だったり、時には香りだったり。クリームにはいろいろな性格があるので面白い。

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2018年5月12日土曜日

革靴のお手入れ

前回は革靴の選び方を中心に書いてみましたが、今回は靴のお手入れについて思うことを書いてみようと思います。

お手入れの世界はそれこそ奥が深くて、僕をはじめとしたお手入れそのものが趣味の一つのような人もいれば、それを生業として日々スキルを磨いている方もいらっしゃいます。
頂点を目指すとストイックな領域に入ってしまいますが、一方でお手入れにそれほど時間をかけたくないと思う人が多いのも事実です。

僕自身もワイシャツはコットン100%でないとダメなたちなのに、アイロンがけは結構面倒だったりします。
なので、「そりゃキレイなほうが良いけど面倒なのよ」という人の気持ちもわからないでもないです。

そんななかで、社会人一年生になって初めて本格的にビジネスシューズを履くことになった人向けに、「こんな感じでどうかな」という一つの方法を考えてみました。


以下、いつもの文体で。


革靴のお手入れについてはそれこそ数多くの方法があって、どれももっともらしい理由があってややこしい。

ブラシと乾拭きだけで十分という立場もあれば、クリームを欲しがるだけ入れるという人もいるし、見栄えだけでなく保護のためにワックス必須という人もいれば、ワックスは靴に悪いという人もいる。

こういう議論は目的(ゴール)を決めて適切な評価軸に沿って論じないと結論が出ないのだけれど、お手入れそのものも趣味嗜好の世界な部分もあるので究極的には何らかのマニュアルを参考にしつつ自分の思うとおりにやれば良いとも思う。

ワックスを使うことで見栄えと靴の保護を両立させることができるのは、ときどききちんとワックスを落とすことができる人で、あまり時間をかけたくない人であれば被膜が傷ついてかえってみすぼらしくなったりひび割れの原因になってしまう。

お手入れに時間をかけることができれば前者のほう靴が長持ちするだろうし、そもそもそんな時間がない(興味もない)人であれば中途半端にワックスのせないほうが長持ちする。

ステインリムーバーやサドルソープも一部で科学的に論じられていることもあるけれど、メーカーが言う適切な方法で使っていて靴がダメになっていないという意見もあるので、使い方間違わなければそれほど悪影響は無いのではないかとも思う。



社会人になってスーツを着て革靴を履くような会社であれば、身につけるもののお手入れは必須。
身なりはその人の仕事能力そのものを表すものではないけれど、仕事に対する態度の一端を表すもの。相手に対して仕事のトータルクオリティ判断の一つにもなる。

身なりが汚い高級すし屋や割烹は見たことがない。おもてなしや礼節が重んじられるシーンになればなるほどそれ相応の身なりへの気配りが必要になる。

いくら数十万円のスーツを身につけていても、パンツに折り目がなかったりジャケットがしわだらけだったりしたらそのスーツが持つ本来の力を発揮できない。
逆に、つるしの19,800円のスーツだとしてもパンツはいつもプレスされていて、ジャケットは襟のロールがふんわりしていれば十分すぎるほど格好良い。

革靴についても、高級な靴ほど素材が持つ力がでるものの、一般的なビジネスシーンであればむしろ汚れが目立たないピカピカの靴のほうがお客様にも、上司にも、同期の異性にも評価が高いのは間違いない。

身だしなみに気を配るということはビジネスパーソンである以上、必須の行いともいえる。

靴のお手入れというと「面倒くさい」という印象があるかもしれないけれど、日々のタスクとしてはそれほどでもなく、それでいて周りの印象を良くできるのだから時間の費用対効果はいいと思う。


と、あれこれメンドクサイ理由付けを抜きにしても、身につけるものがきれいであるって単純に気持ちが良いって感じでしょうか。



そこで、お手入れは面倒だけれど、やっぱりきれいなほうがいいよな、という人向けに「いったい何をするの?」ということについて考えてみたい。


まず、用意するものから

買うものは

・大き目な馬毛のブラシ

・乳化性の靴クリーム


だけ、これ以外はひとまず不要。
お手入れが習慣化されてきたり、その行為自体に面白みを感じてきたらいろいろ追加すればいいと思う。

家にあるもので賄うのが

・使い古しのインナーシャツ(コットン100%のもの)
・使い古しのタオル
・使い古しの歯ブラシ

の3点。

ない場合は専用のお手入れグッズを購入してもよいと思う。
靴のお手入れに慣れてきて消費量が増えてきたら改めて入手方法を考えるくらいでいい。

あと、直接お手入れには関係ないけれど

・シューツリー

はあったほうが良いかも。




毎日のお手入れ

家について靴を脱いだら「大き目な馬毛のブラシ」で靴全体をサッサッとブラシ掛けする。汚れを落とすのが目的なので片足5秒もやれば十分だと思う。
5秒やろうとすると、思ったより汚れていれば10秒以上やるので、まずはブラシを手に取る習慣が大切。
そのうち、寝る前に歯磨きをしないと気持ち悪いのと同じように、靴を脱いだらブラシをかけないほうが気持ち悪くなる。



週に1回くらいのお手入れ

使い古しのタオルを濡らしてからしっかりと絞って、それで靴全体を優しく拭う。
目的は泥汚れなどを落とすこと。あまり神経質にゴシゴシする必要は無し。むしろあまり強い力でこすってしまうと革にダメージを与えかねないので、あくまでも拭う程度。
タオルに前回の靴クリームの色が移るようであればクリームを追加で塗らなくてもよい。

夏場はカビやすいので、お手入れが終わったら風通しの良いところにおいておく。
エアコンが効いている部屋の片隅あたりが良いのだけれど、家族がいる場合は難しいケースもあると思うので、その場合は玄関に置いておく。(シューズクローゼットには最低一晩は入れない)



1カ月から数カ月に1回くらいのお手入れ

使い古しのタオルで拭う際に色があまり移らないと感じたらクリームを塗る。
クリームは使い古しのインナーシャツに少量を取り、全体に薄く塗る。
たいていは塗りすぎる傾向になるので、意識的に少なめにして表面に薄い皮膜ができればよいという程度。目安は片足米粒5個くらい。

次に歯ブラシでこれまた少量のクリームを掬ってコバの部分にも塗り込んでおく。

最後に使い古しのインナーシャツのきれいな部分で靴全体を磨いておしまい。
全体で10分もあれば終わる。
もし時間に余裕があれば、インナーシャツで磨く最後の工程の前に30分くらいおいておいてもよいと思う。

靴の中を軽くウェットティッシュで拭いてもよいかもしれない。特につま先には埃がたまりやすいので。

ここまでやれば隣の同期と比べて何倍ものお手入れがされている状態になるので、わかる人が見ても好印象なスタイルが出来上がる。
もし、靴のお手入れそのものが楽しくなってきたのであれば、自分の靴なんだし好きなようにやっていけばよいと思う。小さな失敗はあるかれもしれないけれど、今はネットで先人の智慧を拝借できるので調べながらやれば大きな失敗は避けることができる。仮に失敗してしまってもそれが経験値となり、次に買う高級靴では同じ過ちを繰り返さないはず。




僕自身は靴のお手入れ自体は好きなものの、普段履きのビジネスシューズは日々の汚れ落としくらいで、ブラシをかけて拭いておくくらいで十分と思っている。
見た目を重視するならある程度クリームの塗り直しが必要であっても、単なる保革というのであればそう頻繁に塗る必要もないのかなと。

数ヶ月に1度もクリームを入れないと保革ができないというのであれば、デッドストックの革なんてボロボロで使えないじゃん、ということになってしまうし、ずっと塩水漬けだったロシアンカーフなんて商品価値が出るはずが無い。

乾燥は大敵、油分を切らさないようにというのはそのとおりではあるけれど、その頻度や量についてはクリーム屋さんの過剰なセールストークに乗せられているのではないかと思う。商品が多すぎて、何を買えばよいのかわからなくなってくる。


とはいえ、僕のようなお手入れ好きはお手入れすること自体も好きなので、靴を極端に悪くしないのであれば、必要十分以上と解っていても、何らかのお手入れをしたくなる時もある。
これは栄養に必要な物を過不足無く食べればいいじゃんという意見に対して、カロリー超過や特定の栄養素に偏っても美味しいものを食べる事自体に価値を持つのと同じではないかと。

ツールである靴に必要十分なお手入れをするだけでは味気なくて物足りない。目的が革本来の力を活かすのであれば過剰なお手入れは本来の革が持つ力を発揮できないだけでなく、時間と材料費の無駄だけれど、お手入れすることが楽しいというのであればそれを優先させても良いのではないかと。
よくあげられるメイクで言えば、肌のコンディションを整えたいということはあるけれど、それ以上にメイクをすることが自体が楽しい、みたいな。

クリーム屋さんが高額商品を次々に出す反動で、実はそれほどお手入れをしなくても良いという意見が強くなりつつあるのは、緩履きに対するタイトフィッティングと同じで後者のほうが「わかっていること人」的な位置づけになっているだけな気がする。

なので、僕は好きな時に好きなだけお手入れをする。
忙しいときはお手入れどころでもないのでお手入れの優先度が低い靴にクリームを塗るのは年に1回くらいになってしまうこともある。

履く頻度が高い靴は雨に降られる確率も高く、塩も出てくるので水洗いをする。そのため、きっちりお手入れする頻度も上がる。

結局、必要に応じて靴のお手入れがなされる、と。


人生、必要十分なことだけを費用対効果で考えるだけでは面白くない。
革靴のお手入れそのものが趣味ならば、明らかにダメにすること以外ならばやってみるのも悪くない。お手入れの後、きれいになった靴はそれだけで気分がいい。

時間の使い方でどこに価値を見出すかは人それぞれ。単に面倒ならばごくごくシンプルに、何をもって必要十分なのかがわかれば、それをとりあえずやっておくだけでもいい。一度靴のお手入れに価値を見出すことができれば、それが喜びにつながり、楽しくなるのもまた事実。


靴のお手入れ論はもうそれこそ山のようにあるけれど、本当の最低限度ができるようになればあとは好きなようにすれば良いのだから、意外とシンプルな話。

まずは今日履いた靴をブラッシングしてみませんか。



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まずは汚れ落とし用のブラシと靴の色に合わせた乳化性クリームを用意します。とりあえず店頭で購入しやすいのはコロンブスのブラシとブートブラックのクリームかな。シルバーラインなら近くのお店で入手しやすいかも。




できればシューツリーを用意します。しわを伸ばす目的なので長さと幅がしっかり取れるものが良いです。
僕の使ったものの中でいうとディプロマットヨーロピアンがいい感じでした。




ちなみに歯ブラシは古くなったものをきれいに洗って使えばよいのですが、お手入れ用に安いものをまとめ買いしてもいいかなと思っています。



今回はクリームをなじませるためのブラシなどは用意していませんが、ブローグの靴などの穴があいているところやギザギザの部分にクリームを入れるためにはブラシがあると便利です。
布でクリームを塗ったら、すぐにブラシをサッサッとかけます。




仕上げもコットンのインナーシャツよりはネル生地っぽいもののほうが艶が出やすい感じです。

2017年10月11日水曜日

Schoenheight SH111-4 1年10か月

ショーンハイトの SH111-4 を購入してから2年弱。
晴れの日も雨の日もあまり気にせず履いてきた。

左足をM.モゥブレイ系、右足をブートブラック系でのお手入れも継続中。
おおまかなところで言えば、最初に受けた印象のまま継続といったところ。
見た目の味付けは違えど、柔らかさや保革といった部分は大差が無いようだ。

1度洗っている時点でクリームがリセットされていることもあり、結果として「劇的に左右が違ってきた」という多くの人が期待する結果になっていないのがなんともというところ。

M.モゥブレイを塗っている左足。

こうしてみると、M.モゥブレイは素材を活かすような仕上がり。
べとつくようなこともなく、SH111-4に使われている素材の特徴であるさらっとした表面の仕上がりをそのまま残すような感じ。
ワックスを使う下地としてには余計な蝋分入れないので良いのではないかな。


ブートブラックはそれ単独で完結するような仕上がり。

ブラッシングを丁寧にしてからぶきするとそこそこ光る。
保革しつつも一定の光具合がほしいというときは便利かな。
靴のお手入れ自体が趣味な人は別として、できる限り時間をかけずに光る効果を得たいというときにはいいかもしれない。

ちなみに僕はM.モゥブレイよりもブートブラックを使うことが多い。
特に国産キップでしわが大味に入るようなものにはコレ一択。
ワックスをほとんど使わない僕にとっては、一本でそこそこ光るブートブラックは使い勝手が良い。


ソールに関しても機能的に大きな違いを感じられないというのが本当のところ。
(僕は鈍感です)

ショーンハイトのレザーソールは意外に丈夫。
週1程度、晴れの日も雨の日も比較的酷使しても、つま先はもう少し持ちそうだし、ヒールもまだまだいけそう。
ソール全体がもともと厚いということもあり、レザーソールであっても雨の日でもソールの摩耗を気にしないでも良さそう。

というか、雨の日に履いたことでエラく摩耗をするという印象は無いのだけれど、本当にヤスリがけのように減るのだろうか?
コバのお手入れで軽くヤスリかけると結構削れるけれど、そんな感じでソールが減っていく感じは受けない。

減るのって雨の日に歩くからではなくて、一度濡れてふやけたものが乾燥したことでひび割れやささくれを起こし、その状態でアスファルト歩くからではないのだろうか。

左足はM.モゥブレイのソールモイスチャライザー、右足はブートブラックのレザーソールコンディショナーを使い続けた限りでは、減り具合に大差は無いように見える。
滑り具合とか履いた感じに関してもそれほどの差を感じない。どちらかが明らかに滑るということもなければ、どちらかが水が染みてきやすいと体感的にわかる程でもない。

唯一違いがあったのが元のステインへの影響。M.モゥブレイは濡れてもあまり変化がない一方で、ブートブラックはシミが出やすい。

M.モゥブレイのソールモイスチャライザーを使っている左足。

ブートブラックの右足。

以前、RENDOのソールもステインが雨に弱いという印象を受けたけれど、ひょっとしたらブートブラックのソールコンディショナーの影響もあるかもしれない。

単に個体の問題かもしれないが、ソールにこった仕上げがしてある場合はM.モゥブレイのほうが安心かな。


1年10か月ほど履いて、2泊くらいまでの出張の時などはコレ1足なんてときも結構あった。それなりにヘビーユースをしたのではないかと思う。

いまのところ解れたり破けたりということはない。しっかりと作られていることがわかる。
インソールも擦れるところが少ないのか、比較的きれいな状態を維持している。
よく起きがちなかかとの擦れがないことからも、ショーンハイトのかかとのつくりはややゆとりがあることがわかる。

しわの入り方は僕が知る2015年頃の国産キップよりはややマイルド。
リーガルのW131とRENDOはほぼ同じ傾向の太めのしわが入る。ショーンハイトのSH111-4は同系統ではありつつも、やや穏やかに入る。
クリームがきちんと入った状態では結構柔らかくなるため、指に刺さるような感触もない。

ちょっとばかりゴツい見た目なのに、履き心地はとても良い。
タイトな履き心地ではなくあまりきつくない履き心地。ソールの返りもよくて、かかともついてくる。
RENDOが甲全体とかかとでフィットするような履き心地とすると、ショーンハイト(のSH111-4)は三の甲あたりでフィットさせてあとは自由にしているような。結果、タコができることも無い、足にやさしい靴という印象。


靴を大切に履くことはとても重要ではあるけれど、「大切」が天気を気にすることだったり、満員電車でヒヤヒヤするということであれば僕にとってはオーバースペック。

ショーンハイトのレザーソールシリーズ(税抜き2万円のライン)は靴に必要以上の意識を持つことのない、道具としての重要なポイントがしっかり押さえられた靴。
そのポイントの一つの理由に価格があるわけで、この価格だから雨の日も気にせず履けたり、水洗いする勇気が出ているこということも事実。2万円という制約の中で、スムーズレザーを使い、ソールもレザーのグッドイヤーウェルテッド製法。
リーズナブルな価格でリペアができるため、ソールの減りを気にするよりも、どんどん履いて仕事に集中できる靴。

素材一つひとつを細かく見たり、ソールの仕上げにおける手のかけようなど10万円の靴と比べて足りない部分をあげることはいくらでもできる。
だが、同じ価格帯でショーンハイトと勝負できる靴はほとんどないのではないだろうか。
雨の日も晴れの日も気軽に履けて、お手入れの楽しさも感じることができる。愛着がわいたら修理をして永く付き合っていける。極めて実用的な部分で他社との差別化されているオンリーワンの靴。


最近(でもないか)は浅草にオーダーサロンもできたようで、ここなら素材の変更やらデザインの微調整やらができてそれでも4万円以下って、もう東京近郊の人で木型と足が合うならここで完結できちゃいそうな勢い。
いまはシングルEの木型もあるんですね。サンプルシューズが無いようなので確かめようが無いけれど、甲周りが少しタイトになるのであれば、オーダーでもいいよなぁ。

もちろん、ショーンハイトがカバーできない領域もあるので、それはそれで魅力的な靴はたくさんある。ショーンハイトは結構「ふつうの靴」。だが、その「ふつうの靴」をビジネス展開し、維持していくことは意外と難しい。

「英国の良心」がチャーチなら、ショーンハイトは「日本の良心」の有力候補ではないかな。

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左足のお手入れに使っているM.モゥブレイ。定番かつ長い間使っても安心な感じがします。





新進気鋭のブートブラック。これ一つで結構光らせることができるので、お手入れの時間をかけなくてもしっとりとした仕上がりに。






2016年5月22日日曜日

Schoenheit SH111-4 2nd Report

ショーンハイトを購入してほぼ5ヶ月経過。


この間だいたい週に1回くらい履いているので20回ちょっと履いた後の感想。

履き始めに柔らかい感じを受けたけれど、それはそのまま継続。不思議と痛くなるところがない靴。
いままで購入時キツ目の傾向があったのでたいていの靴は靴ずれしたりマメができることが多いのに、この靴はいまのところそういったことが無い。
足首に近い三の甲できっちり締めて、それより先の部分にゆとりがあるためなのか、ソールの反りが厚手の割には比較的柔らかいためなのか明らかに他の靴に比べてダメージが少ない。履き口が小さい分、全体的な緩さを感じないということもあるかもしれない。

何度か小雨に振られたり、濡れた路面を歩くことがあって気がついたのは、ショーンハイトのこのレザーソールは湿っていると結構滑る。特にソールにブートブラックのコンディショナーを塗った右足側は滑ることが多く、水分を含んだ状況で摩擦係数が少ない路面を歩くのは注意が必要かも。

アッパーのキップは意外にしわが綺麗に落ち着いてきた。
リーガルのW13xやRENDOに比べると明らかに繊細なしわが入るため、見た目だけで言えば質が高く感じる点は高評価。クリームはあまり多くは塗っていないので、表面の凹凸感は残るものの、単に「丈夫そう」だけではなく、しなやかさな感じも残っている。

この靴は左右でクリームを分けている。
左足のM.モゥブレイシュークリームジャーは極めてフラットな感じ。


買った時の状態に近い。
このクリームはワックスで仕上げることを前提にしているか、そもそも靴にあまりギラツキが必要ない(保革を重視)する人向けかな。

一方でブートブラックは評判通りギラツキ感が強く出るクリーム。


クリームを入れた直後は結構差がでる。
しばらく履いて乾拭きだけを繰り返すと、やや光沢という観点では落ちてくるものの、様々なワックスを入れて光らせることも目的にしているクリームという感じ。少し塗りすぎるとビーワックスなどに特有の乾拭き時の引っ掛かりとムラが出やすいので、意識的に薄塗りする必要がありそう。

ソールが厚めなのと、まだそれほどすり減っていないということもあり、今のところ多少の雨(土砂降りではなくて)くらいだと靴の内部に水が侵入してくることも無い。
ソールも雨に濡れても削れやすいという印象は無いので、耐久性もあるのかもしれない。(ここはまだ良くわかっていないので、あくまでも「気がする」レベル)

ショーンハイトは見た目や履き心地の方向性は、最初の革靴には最適かもしれない。
よくありがちなEEEやEEEEなどのぽってりとした靴に近い外見は、細い靴を怖がる人にも安心感を与えそうだし、ふわっとした柔かい履き心地は革靴に慣れていない人でも我慢できる範囲にあるような気もする。
ラバーソールなら税込み2万円以下という価格も、2504NAよりも押さえられているし、それでいてスムーズレザーでお手入れの楽しみもある。
靴は試履して買うのが大前提とはいえ、リーガルで言えば2504NAあたりとサイズ感が近いと思うので、返品覚悟の通販で買うならば、あまり外しがないような気もする。

靴が大きく沈み込むというのもなんとなく無さそうなので、次回はボックスキップの既製かオーダーかな。


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左足に使っているM.モゥブレイ。
きわめてベーシックなクリームだと思います。
定番なので変わらない良さがある一方で、最近のビーズワックス多めなクリームと比較するとやや艶感にかけるので、これ一本というよりはワックスと組み合わせる人向けかな。



右足に使っているブートブラック。
結構単体で光るので、ワックスで立体的な靴を作りたい人以外にはいいかも。




2016年2月7日日曜日

靴クリームの比較 - Boot Black と M. Mowbray -

ブートブラックとブートブラックシルバーラインの比較に次いで、同時並行第二弾を始めてみました。

靴のお手入れ方法なんてもう百年以上も変わることは無いのだろうけれど、情報の発信者が、より広く多くの情報を容易に届けることができるようになった今の時代では、より多くの情報を付加した新商品を開発していかないと競争力が落ちてしてしまうのだから販売者も大変だと思う。

もちろん、科学技術が発達することで今までよりもより良い商品が開発されることもあるだろうし、高付加価値商品を開発することはビジネスとして正当な行為なので、市場が活性化することはいいことだと思う。一方で新商品については売り手と買い手の情報格差があるため、新しい商品の真のメリットはわかりにくい。なんとなくプレミアム感を与えて、かつあまり意識しないで買うことができる数千円という価格設定は絶妙である。

また、あまりにも商品が増えてきて、お手入れに興味が無い人に取っては余計に面倒さが強調され、何をやれば良いのかかえってわかりづらくなっているのもあると思う。

僕は新しいものが出ると使いたくなるミーハーなので、こういう新商品が出てくるとついつい欲しくなってしまう。けれど、新しいクリームを買っても、それを使い続ける靴が無ければ結局は使い道がないし、いまでも数年はクリーム買わなくても大丈夫なくらいあったりもする。
よく言われる「米粒数粒」しかクリームを使わなければ、毎月お手入れしても一足あたり年間で米粒100粒分も減らないわけで、ひと瓶使いきるのはなかなか大変。

そんなあまたに出てくる靴お手入れグッズの中で、定番としてこれから先も残ってほしいなぁと思うものがある。

「M. Mowbray シュークリームジャー」と「Boot Black シュークリーム」

M. Mowbray(以下「モゥブレイ」)はかつての英国王室ご用達であった旧メルトニアンの流れをくみ「欧州の靴クリーム作りの伝統と品質、こだわりを現代に受け継いで」いる定番クリーム。日本のR&D社が旧メルトニアンのレシピを求めて再現させたクリームということで、古くからの靴好き(特に英国靴好き)に人気がある。
永い間使われ続けているということは、それだけ多くの靴に使われ、その経年変化による影響の実績が証明されているわけで、雨後の筍のように出てきた新商品よりはずっと安心感がある。

Boot Black (以下「ブートブラック」)は日本のコロンブスが(恵比寿のリファーレの協力を得て)「その知識と開発力を集結して作り上げた」渾身のクリーム。日本では大量に使われる仕上げ材や長年にわたる製造販売の経験が投入された新商品。職人の知識や技術の蓄積をきっちり均一な製品に仕上げてくるところが日本の製品っぽい。極寒の地でも固まらないとかテレビでやっていた。この製品発売以降、百貨店におけるコロンブスの扱いが変わっている気がする。

どちらも百貨店やネットで購入でき、また国内革靴ブランドでもお手入れ用品として推奨されている。(モゥブレイは山陽山長やRENDOなど、ブートブラックはスコッチグレイン)

「おまえはいつもクレム1925を使っているだろうが!」
という声が聞こえてきそうですが、これはもう独自のポジションを確立しているので100年後も相変わらず存在していると思います、ハイ。


今回は、そんなふたつのクリームを比べてみようかと。

All About の飯野さんの記事によれば、モゥブレイは「やや青み、緑みがかかったダークグレイ」、ブートブラックは「モゥブレイよりは青みの少ないニュートラルかつしっかりとしたダークグレイ」とのこと。実用品としての靴に対するお手入れは「細けぇことはどうでもいいんだよ!」という話もあるけれど、お手入れ好きとしてはこういう違いを見るのが面白かったりするわけです。

ところで、よく雑誌などでは「養分が~」とか「施術が~」とか書かれているけれど、皮革製品になった時点で生き物ではないのでこの比喩にはやや違和感を感じる。(この辺は感覚の問題だけれど、特に施術って言葉はなぜか見ている方が恥ずかしくなってしまう)

なんとなく革(レザー)を人間の肌(スキン)と混同させることで、天然素材・成分が良くて、化学合成されたものが良くないものという印象を与え、高いものを売る理由を作っている気がする。
以前、ある化粧品メーカーの人が言っていたけれど、合成のシャンプーと天然素材のシャンプーで、化学式レベルまで見ていくとそれほど差がないものを作ることはできるし、合成はきちんとその効果と安全性を確かめている。天然素材は科学的に解っていない効用もあるだろうから否定はしないが、盲目的に天然素材というだけでよいと思ってしまう人が多いのは技術者としては残念であると。

そもそも皮が革になる過程を考えれば、顔に塗っても問題ないクリームである必要性がないことはなんとなく想像できる。むしろ革(レザー)肌(スキン)を混同することで、本当に革に必要なモノを与えることができなくなっている可能性だってある。
永い間使われているレシピよりもこれまで靴クリームを手がけていなかったメーカーが「人間のスキンケアに使われている天然素材」を作って作ったクリームが本当に良いのか。靴磨き屋さんが素手で塗りこんでも皮膚に優しいという理由はあるだろうけれど、そもそも僕のような素人には優位点がよくわからない。

給油、給水、補色のバランスと、履かれた状況(暑い寒いや雨に降られたなど)、汚れの除去、保管の状況(風通し、光、温度、湿度)の相互作用が経年変化ではないかと思うし、であればある定点での特定の項目で優劣を論じるよりも、長期戦の比較結果があったら面白いのになと思う。

そこで、まず自分でやってみようということで、最近購入した靴で試してみることに。個人の興味ベースなので一般消費者が気づく程度の目線で。(違いが判るプロがやったら相当面白いだろうなと思いつつ...)

今回使った靴。
ショーンハイトSH111-4(レザーソールモデル)
素材は国産のキップ。購入時点ではあまりクリームが入っていないと思うのでちょうどいいかなと。
靴を買って、初めてクリームを塗る段階から分けてみた。

左足はモゥブレイ
・M.モゥブレイ デリケートクリーム
・M.モゥブレイ シュークリームジャー(ブラック)
・M.モゥブレイ ソールモイスチャライザー
を使う。

右足はブートブラック
・ブートブラック デリケートクリーム
・ブートブラック シュークリーム(ブラック)
・ブートブラック レザーソールコンディショナー
を使った。

デリケートクリームは新品の状態の時に使ってみた程度でふだんは乳化性クリームのみ。またソールはそれぞれのコンディショナーを使って体感的に違いが出るのかを。
ちなみに僕は鈍感なので細かい違いは判らないと思うけれど、それでも気が付くほどの違いがあればやっぱりそれはクリームの特徴なのだろう。


ここからはいつもの購入時のお手入れに近い感じでスタート。
ショーンハイトのこのモデルは仕上げにワックス等は使われていないようなので、タオルにもあまり色が移らない。比べる前提としてはちょうどいい感じ。

まずはデリケートクリームを軽く塗る。
M.モゥブレイのデリケートクリームは独特の香りがする。しばらく使っていなかったけれどなんとなく懐かしい香り。水分が多いこともあり、塗っている途中では表面が濡れるような感じになる。ワンテンポ遅れて浸透していく感じ。
一方のブートブラックは昔のチューブ糊みたいな感じでプルプルとした感じであまり香りはない。比べてみてわかったのだけれど、ブートブラックのデリケートクリームは驚くほど浸透性が高い。塗っている傍から浸透していくので最初は布にクリームがついていないのではないかと一瞬思ったほど。またどこまで塗ったのか判りにくい。でもこれすごいな。


そのあと、左足はモゥブレイ、右足はブートブラックのクリームを入れる。ここでもブートブラックは明らかに浸透が早い。いくらでも入りそうな錯覚を受けるけど、実際に同じくらいの量を使うと、最後に表面に残る皮膜はモゥブレイと同じような感じ。

ちなみに、新品の靴だとクリームがよく入る。今回は薄塗りを繰り返し、いったん革がおなか一杯になるくらいまでクリームを塗っている。塗りすぎの是非はあるにしても、履き始めは多めでも良いのではないかという気分的な問題。ウェルト部分には小さなブラシで少し多めに塗りこんでおく。

クリームの後は豚毛のブラシを軽くかける。ブラシは今回それぞれのクリーム用に2つのブラシを新調した。

最後にソールにそれぞれのコンディショナーを塗る。
新品なのでソールに処理がされていることもありあまりクリームが入らない。一度クロスにとってから強めに塗りつける。
モゥブレイはラノリン主体のクリーム。濃い目のデリケートクリームみたいな。歯磨き粉のジェルのような形状保持するクリーム。勢い余って出過ぎることが多い。一方のブートブラックはオイルに加えて防カビ剤配合など日本の靴箱の状況を踏まえているのかなと思わせるトロッとした乳液。
塗った感じはモゥブレイのソールモイスチャライザーはステインの色を結構落とす。

モウブレイを塗った直後。全体的にステインが落ちる。

ブートブラックもやや落ちるが、モゥブレイ程でもない。

翌日もう一度軽くブラシをかけてから仕上げにクリームをていねいに塗りこむ。
クリームが良く入る部分には気持ち多めに、入らないところはごく薄くと調整しながら全体に塗りこむ。
クリームを塗り終えたら、片足3分くらいのブラッシング。

最後にクロスで片足1分くらい気持ち強めに磨く(1分と書くと短いようだけれど、仕上げと思うと結構な時間)。

ブラシはとりあえずコロンブスのジャーマンブラシ、クロスはモゥブレイにした。(ここまでブランドごとにそろえようとは思わかなったため、同じ種類のものを使っている)

ここまでのプレメンテで思うのは、ブートブラックの浸透性の良さ。
とにかく革にどんどん吸い込まれていく感じは独特。瓶に入っている状態ではモゥブレイより水分が少ない感じなのに、塗り始めるとサラッと表面から吸い込まれていく。伸びるというよりさらさら吸い込まれていく感じ。
それが逆にお手入れの感覚値がない人にとってはクリーム入れすぎにもなりかねない。なんか塗れてない気がしてしまうので。(これが「プロ用」の所以?)

概ね5、6回くらい履いてクリームを2度ほど入れた状態ではブートブラックのほうが素人目に見てもわかるほど光る。

写真右(左足)がモゥブレイ、左(右足)がブートブラック。ブートブラックのほうが明らかに艶がある。色も少し濃くなっている。これはクリームを塗った直後ではなくて、ふつうに1日履いてていねいにブラッシング、乾拭きした後の状態。これが革の個体差によるものなのか、クリームの特性によるものなのかはもう少し続けてみないと確定できないにしても、思ったより早くから傾向が違うことに気づく。

サラッとした仕上がりで、元の素材感そのままに近い状態をキープするモゥブレイに対して、

やや湿り気のあるような仕上がりになるブートブラック。

クリームを拭きとったクロスは左がモゥブレイ、右がブートブラック(靴の写真と逆)。
確かにモゥブレイのほうが少し青みがある。ブートブラックはより暖色系に近い黒というところだろうか。

ソールは左(右足)がブートブラック、右(左足)がモゥブレイ。歩き方の癖もあるので削れ具合に差が出るとしても、全体的にはブートブラックのほうがしっかり浸透しているように見える。ただ、僕はどちらかと言うと左足が軸足なので削れが多いだけかもしれない。
履き始めに一度塗って、その後多少削れた段階で追加で塗った結果、体感的にはブートブラックのほうが滑りやすい。

ブートブラックは浸透力が高い気がするので、メンテナンス回数が少ないうちから色に深みが出やすいのかもしれない。またワックスがそれなりに入っていそう。逆にモゥブレイは昔ながらのレシピだから、それほどワックスが無いか、光らせるための役割を過度に期待しない仕上がりになっているのかもしれない。長期で味を出す可能性もあるので、もうしばらく様子を見ていきたいと思う。

また、いまのところ雨に遭遇していないけれど、これから晴れの日雨の日経験することで差が出るかもしれない。今回は長期レポでいこうと思う。


※ブートブラックが「Artist Palette」という油性クリームの新製品を出している。なんか、このパッケージっておもいっきりパクリに見えてしまう。満を持して発表する新製品に対するジャパン・ブランドとしての矜持はどこにあるのかと。これだけデザインのパクリが問題になるご時世に、どう見てもオリジナルとは言いがたいパッケージングはどうかと。しかも本家の瓶形状より高さが低くて口と瓶の幅比が大きいのでクリーム取りづらいのではないのかな。僕はメイド・イン・ジャパン推しだし、コロンブスの技術は信頼しているけれど、これを海外の人に「某フランス製よりも優れている日本の最高級クリームだ!」と紹介するのはちょっと恥ずかしい。


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当サイトではアフィリエイトプログラムを利用して商品を紹介しています。
商品価格やほかの人のレビューを参考にしてもらえればという感じですので、アフィリエイトが苦手な方は直接googleなどの検索経由で楽天やAmazon、Yahoo!ショッピングにアクセスされることをお勧めします。


左足はモゥブレイ。もう定番すぎて何も言うことがありません。今回の比較では艶がおとなしめなのでピカピカ靴が好きな人には向かないかも知れませんが、モゥブレイのもとになった旧メルトニアンは「これ1つですべてOK」という人もいるくらい鉄板です。




右足はブートブラック。日本の技術を集めて作った期待のクリーム。程よく光り、革もしっとりとした感じになるので僕は国産キップ系の靴にはよく使います。




2016年1月18日月曜日

靴クリームの比較 - Boot Black と Boot Black Silver Line 2回目 -

Boot Black(黒蓋)と Boot Black Silver Line の比較をはじめて1ヶ月。
この間登板は3回ほど。
改めてクリームを塗りなおしてみた。

磨いたあとに比べてみると、あまり違いがわからない。
シルバーラインの仕上がり。

ブートブラックの仕上がり。

1ヶ月くらいでは差がでないのか、そもそも差が無いのかはこの時点ではよくわからなかったが、今回敢えて差がでるかなと思ってほんの少しだけつま先にワックスかけてみたら意外な違いがあることに気がついた。(後述)

塗っている感じは結構違いがある。瓶に入っている状態だとクリームそのものはシルバーラインのほうが固めな印象を受けるが、塗っている感じでは意外と水っぽいクリーム。
ブートブラックは塗った直後から革に入り込むような感じがするのに対して、シルバーラインは一度表面に留まってから吸い込まれていくような違いがある。

正直、その後磨いている時もあまり違いを感じなかったので、細かく光を当てたりしないかぎりはその差に気づくことはなさそう。

ただ、意識して見てみると、シルバーラインのほうが角のある光り方をしている。
この光かたの傾向からすると、ブートブラックはスムーズレザー向けでワックス仕上げを前提にしている仕上がり。ハイシャインベース、ハイシャインコートを使うことを前提に、クリームの段階では控えめして、油性クリームの乗りを良くしているような感じ。
一方のシルバーラインはクリーム単体で完結することも想定して、クリームにややワックス成分を多めに入れている可能性がありそう。ガラス仕上げの靴からスムーズレザーまでお手入れの時間をかけずにそこそこきれいにしたいというニーズに合いそう。

また、今回は少しだけ缶入りワックスを入れてみた。
ワックスはプロ向きと言われているブートブラックのほうがあまり時間をかけずに光る。

ワックスを仕上げるために磨いた布を見ると、明確に方向性が違うことが解る。
左がシルバーラインで右がブートブラック。

シルバーラインは結構青みが強いグレー、ブートブラックやや青みを感じるものの黒いという感じ。
また、シルバーラインのほうが布に色が付着しやすい。
僕の技術的な部分があるので、絶対的な差だと断定するのは少し早いかなとも思いつつ、意外と違ったなというのがいまのところの感想。

数日間履いてみたところ、ブートブラックのほうが少し潤いのある感覚が持続する。
ただこれもそれまでの革の状態によるのかもしれない。

1ヶ月で結論を出すのは早いので、もう少し様子を見ていきたいと思う。


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ブートブラックはしっとりとした仕上がり。



あまり時間をかけないでクリームのみでお手入れをするのであればシルバーラインのほうがいいかも。今回はワックスも使ってみました。

2015年12月6日日曜日

Boot Black と Boot Black シルバーラインの違い

最近は靴だけではなくて、靴のお手入れグッズも高級志向にあるみたいで、たくさんの新商品が出てきている。

お手入れが趣味になってくると、どうしても薀蓄が先行(といっても雑誌やネットで得た程度)して、やれこのクリームは、やれこのブラシはとなってきて、ひとつひとつはそう高価なものでもないので、ついつい買ってしまう。

気が付くと、我が家にはクリームだけでも何種類もたまってしまった。

ここしばらくはクレム1925とブートブラックくらいしか使っていないのだけれど、コルドヌリ・アングレーズだとかM.モゥブレイだとかが無駄に下駄箱の一角に置かれている。

ふと思う。

「これらクリームっていったいどんな違いがあるのだろう?」

メーカーや代理店の売り文句に踊らされるのではなく、自らの信じるこれ一本でいく、というのがまっとうな人のスタンスだとは思うけれど、お手入れ好きの僕としてはせっかくなので実際に比べてみようと思うわけです。


比較に使う靴は、先日水洗いしたW134。
きれいさっぱり古いクリームが落ちたところで、これからしばらく片足ずつ違うクリームを塗って、何が違うかを確かめてみたくなった。
(実は新しい靴を買ったら新品状態から比べてみたいふたつがあるのですが、それはまた次の機会に)

今回のターゲットは同じコロンブスがわざわざ別のラインとして販売している黒い蓋のBoot Blackと、銀色の蓋のBoot Black シルバーライン。
このふたつ、わざわざ分けて売る理由がなんかあるのだろうか。

メーカーであるコロンブス社が言うには、Boot Black(以下「ブートブラック」)は満を持して発売した「プロのための」クリーム。
Boot Black Silver Line(以下「シルバーライン」)はブートブラックのコンセプトを受け継ぎつつ、より「一般の人」向けに発売しているクリーム。

前者のほうがよりケア重視で、後者のほうが光りやすいそうだ。

ブートブラックはプロ向けと言いつつ、誰もが訪れる百貨店だったり、靴磨きのプロが立ち寄る感じがあまりしない既製紳士服店で売られていたりする一方で、ケアグッズが豊富でプロが立ち寄りそうな東急ハンズや町の靴屋さんではシルバーラインが売られていたりする。マーケティング的に何か意図があるのでしょうか。


ブートブラックはW10BDJやRendo R7702など、国産キップを使っている靴に使うことが多い。僕は Made in Japan を信じているクチなので、最近はブートブラックでそろえることが多くなってきた。先日スエード靴を買った時もブートブラックのスエードスプレー買ったくらい。


で、クリームをさっそく塗って比べてみることにします。
いまから2年半くらい前にちょっとだけやってみたことがあるのだけれど、今回は長期にわたってやってみようかと。

靴は洗った後、乾燥の過程でこれまたブートブラックのデリケートクリームを軽く入れている。デリケートクリームは左右とも黒蓋のものを使用。ここまでは違い無し。
本当はここから二つのラインの違いを見たら面白いのだろうなぁと思いつつ、そのためだけに買うのもなんなので乾かすまでは同条件。

まずは洗った後中1日置いた状態。ここからスタート。


左足をシルバーラインで、右足をブートブラックで。
まずはいつものように軽くクリームを布にとり全体的にあまり力を入れずに薄く伸ばす。


どちらかというとブートブラックのほうが革に吸収しやすい感じがする。塗っていてもサッと表面から水気がなくなる感じで、気を付けないとついつい塗りすぎてしまいそう。これはブートブラックのほうが水っぽいのでその差かもしれない。o/w型のクリームでw比率が高いのかなぁ。
今回はだいたい同じくらいの量になるようにして塗っている。

クリームを塗ってブラシをかけた状態。
ちなみに、ブラシは黒靴用の新しめのブラシを併用。このためお互いがやや中和されてしまうかな。


以前も思ったけれど、シルバーラインのほうがやや光沢が強い。


左足。シルバーライン。


右足。ブートブラック

光の当たり方やこれまでの歩き癖などもあるので一概には言えないのだけれど、どちらかというとシルバーラインは芯の通った光り方をするのに対して、ブートブラックはやや柔らかな光り方をするような印象を受ける。

いちにち履いてみてブラシがけした感じでは今のところ違いがよくわからない。



まだ初回なのでほどんど差が出ていないのだけれど、3ヶ月、半年、それ以上になると何か変わるのだろうか。
このまましばらく続けてどのように差が出てくるのかやってみよう。




-------- 今回使ったデリケートクリーム


クリームはこちら


記事にはあまり書いていませんが、ソールには今回からブートブラックを使っています。

2013年6月9日日曜日

ブートブラックとシルバーラインの比較

前回 boot black のクリームを塗り分けた靴だけれど、その後2回ほどメンテナンスをしたところ、なんとなく違いができてきたので追記 。

ブートブラック(黒い蓋)とシルバーライン(銀色の蓋)は初回に塗ったときでもしっとり感が違う気がしていたが、しばらく使い分けていると明らかに光り方が違ってきた。

この間、履いたらていねいに両足ブラッシング(このブラッシング用のブラシだけは黒色共通のものなので、多少サフィールなどが上乗せされてしまっているかも)して、翌日キレイな布で磨く。基本的には雨の日用の靴なのだけれど、あれから大雨に降られたことが無いので、クリームは3回履いたら1回塗るくらいのタイミング。(通常のお手入れよりやや頻度高め)
ステインリムーバーなど他のお手入れグッズは一切使わず、きつく絞った布で拭ったあとにクリームを単純に塗り重ねているだけ。(ちなみに一度に塗る量は片足米粒数粒程度)

左側がシルバーライン、右側がブートブラック(黒い蓋の方)
写真で見てもなんとなくわかるようにブートブラックのほうがやや青い色の光をしている。

シルバーラインは表面的に強い光を返すので、光がはっきりとした白色になる。一方ブートブラックはやや奥深い光なので革に(というか多分クリームの色に)含まれる青色を帯びた反射をする。

単体で見ていると全く気にならないが、こうして比較してみるとシルバーラインは少しラップをかけたような感じになっている。やっぱりブートブラックのほうが光り方は好みだ。

シルバーラインはやはり表面で反射をさせるような革向きに思える。「一般向け」とされている所以はガラスの靴にも使いやすいクリーム、ってところだろうか。まぁ、ワックス無しでここ一発で少し光った感じがほしい時なんかも役に立ちそう。 ポリッシュするような向きではなく、手入れにはあまり時間を掛けたくなくてクリーム一つでなんでも済ませてしまうような人たちにはいいかもしれない。

逆に、それなりのカーフを時間をかけて手入れをしていくような場合はブートブラックのほうが軍配が上がる。しっとりつややかな感じのほうが個人的にも好み。

もうしばらく続けてみようかな。

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