2017年10月22日日曜日

出張に持ってきた靴

3か月ほどの長期出張(単身赴任)になりましたので、靴をいくつか持ってきた。


ラインナップ
リーガル 01DRCD
・リーガル W134
・シェットランドフォックス グラスゴー
・シェットランドフォックス インバネス
・RENDO R7702
・ショーンハイト SH111-4

期間を考えるともう少しあってもよいと思いつつ、靴だけで段ボール1箱近くなってしまったのでとりあえずこんなところで。
それほど深く考えて選んだわけではないものの、この顔ぶれがいまのレギュラーといえる。

出張先は東北地方で、毎日徒歩通勤で片道2km弱歩くことを考えると、足に馴染んでいて歩きやすく、リペアの情報が豊富で、天候をあまり気にせず、降られたり汚れたりしたら気軽に洗うことができる靴をチョイスしたのだと思う。

まぁ、宅配便で発送すれば何足でも持っていくことはできるものの、仕事での期間限定出張なので履きこんだ靴を中心に少数精鋭のほうがいいのかなと。
雨に降られた時の乾かし期間を考えると、やはり一週間分をカバーするくらいはあったほうが良いのではないかと思う。


リーガル01DRCDはやっぱり外せない最有力候補。
この靴は僕にとって全天候型で長時間歩くことも苦にならない完璧な靴。
ソールが薄めかつ減ってきているということもあって、地面の凹凸を感じやすい一方で、返りがとても良いので平坦な道を歩くには十分。
つややかなアノネイ社ベガノカーフはちょっと改まったところに出席するときにも安心。
オールラウンダーな万能靴。


W134はプレーントウの定番デザインで歩きなれているというところが大きい。
クリーム比較をしていることもあり趣味用として持ってきたに近いかも。
パターンオーダー(BOS)の木型を使った既成靴ということもあり、ベーシックなデザイン。つま先はタイトだけれど、かかとがやや緩めの日本的ラストということもあり、01DRをはじめとしたベガノモデルの取り扱いが増えているため、やや取り扱いが縮小傾向にあるような気がしないでもない。
雨に降られると塩を吹くことが大きなって来た気がするも、クラックなどは発生していない丈夫な靴。


グラスゴーは実は長時間歩くといろいろ痛いところが出てくる靴ではあるものの、日中履いていて意識をさせない気楽な靴。
濡れてから中途半端に乾いてくると結構固い革なので、主に晴れの日向け。
グラスゴーは懐の深いラストなので合う人も多かったはずなのに、アッパー素材のチプリアが酷評されることも多く、そのためにディスコンになってしまったのかなと思う。
そろそろオールソールが見えてきたころなので、この3か月よく歩いて減ってきたら考えよう。


インバネスはこちらも定番かな。
実は長時間の歩行には少し小指が痛くなる靴ではあるものの、甲周りのフィット感が気に入っているので持ってきてみたというところ。
持ってくることができる靴が限定されている状況だと、おとなしいデザインのこれは外せないんだよなぁ...


RENDO R7702 はフィット感重視の歩きやすい靴。
足にダメージが出まくりだった購入当初からは想像もできないほど履きやすく変化して、ひもをぎっちぎちに締めたときの足との一体感といったら、ほかの靴と一線を画する。
雑誌などで英国靴屋がひもを痛いくらいに締めて足と一体化させることを試みるという意味が分かる。
フィットした後のRENDOに比べると、他の靴はきつめを選ぶとどこかに無理なテンションがかかってしまっていると感じることが多い。
欲を言えば甲が全体的に3から5mmくらい小さいといいのだけれど。


ショーンハイトはビジネスシーンの有力選手。
ソールが厚いのでちょっとくらい雨の中歩いても靴下が濡れることがほとんどない。
一の甲、二の甲あたりは少しゆとりがありすぎるかな、と思いつつ三の甲で締めるとなぜかフィット感があるのが不思議。
ネットを見てもその良さを書かれている方がたくさんいますね。リーガル2504NAのスムーズレザー版のような感じも受け、今後も永い間支持されていきそうな予感。


持っていくか迷ってやめた靴もある。
お手入れがきちんとできるかわからなかったのでブローグ系はお留守番。
タイトフィットが過ぎて長時間歩行が苦行になるような靴もお留守番。


シューケア用品はブートブラック(黒蓋)とM.モゥブレイ。
サフィールノワールクレム1925は蓋が割れてしまったため今回持ってくることはやめて、しばらくはからぶきのみのお手入れ中心にしようと。
1年位前にあまり品のないスチール蓋に変わったので今後はそういう心配は少ないのかな。
(それにしてもあの蓋は何とかならかなったのか。過去のに見慣れているせいか、とても中途半端な感じに見えてしまう。100円値上げでももう少しデザインにはこだわってほしかったな)

デリケートクリーム、乳化性クリーム、ワックス、ソールコンディショナーにブラシを持ってくるだけでも結構な量。瓶が割れたときのリスクを考えて、コバインキとレノマットリムーバーは置いてきた。今思えばコバクレヨンを持ってくればよかった。
最低限ニュートラルの乳化性クリーム一本あればとりあえず事足りるものの、このあたりは趣味なので。


持っていく靴に限りがある中で選ぶ靴は、自分にとってはビジネスシーンでのスターティングメンバー。こうしてみるとやはり定番のデザイン、適度な価格帯、修理の容易さって靴選びにおいてとても大切な要素だと改めて感じる。
そのうえで、自分の足に合った靴ならば、晴れでも雨でも余計な心配をしないで一日中ビジネスに集中できる。お手入れの勘所もわかっているし、最悪ダメになってしまうことがあっても買い替えることもできる。定番の強味はここにある。


最近は台風が近づいていることもあり雨天の日が続いている。
一足ずつ靴が濡れて乾かしモードに入っているのだけれど、1週間あれば乾くし、今のところはこれだけあれば大丈夫かな。
出張して気が付いたけれど、1日に歩く平均的な距離数が多くなるほど雨の日専用の靴というのも意味があることも分かった。どちらにしても乾かさなくてはならないものの、やはり靴下が濡れるのは気分的によくないし、お客様先で靴を脱ぐようなことがある場合はなおさら。ラバーソールがその一助になるなら持っているべきかな。

2017年10月11日水曜日

Schoenheight SH111-4 1年10か月

ショーンハイトの SH111-4 を購入してから2年弱。
晴れの日も雨の日もあまり気にせず履いてきた。

左足をM.モゥブレイ系、右足をブートブラック系でのお手入れも継続中。
おおまかなところで言えば、最初に受けた印象のまま継続といったところ。
見た目の味付けは違えど、柔らかさや保革といった部分は大差が無いようだ。

1度洗っている時点でクリームがリセットされていることもあり、結果として「劇的に左右が違ってきた」という多くの人が期待する結果になっていないのがなんともというところ。

M.モゥブレイを塗っている左足。

こうしてみると、M.モゥブレイは素材を活かすような仕上がり。
べとつくようなこともなく、SH111-4に使われている素材の特徴であるさらっとした表面の仕上がりをそのまま残すような感じ。
ワックスを使う下地としてには余計な蝋分入れないので良いのではないかな。


ブートブラックはそれ単独で完結するような仕上がり。

ブラッシングを丁寧にしてからぶきするとそこそこ光る。
保革しつつも一定の光具合がほしいというときは便利かな。
靴のお手入れ自体が趣味な人は別として、できる限り時間をかけずに光る効果を得たいというときにはいいかもしれない。

ちなみに僕はM.モゥブレイよりもブートブラックを使うことが多い。
特に国産キップでしわが大味に入るようなものにはコレ一択。
ワックスをほとんど使わない僕にとっては、一本でそこそこ光るブートブラックは使い勝手が良い。


ソールに関しても機能的に大きな違いを感じられないというのが本当のところ。
(僕は鈍感です)

ショーンハイトのレザーソールは意外に丈夫。
週1程度、晴れの日も雨の日も比較的酷使しても、つま先はもう少し持ちそうだし、ヒールもまだまだいけそう。
ソール全体がもともと厚いということもあり、レザーソールであっても雨の日でもソールの摩耗を気にしないでも良さそう。

というか、雨の日に履いたことでエラく摩耗をするという印象は無いのだけれど、本当にヤスリがけのように減るのだろうか?
コバのお手入れで軽くヤスリかけると結構削れるけれど、そんな感じでソールが減っていく感じは受けない。

減るのって雨の日に歩くからではなくて、一度濡れてふやけたものが乾燥したことでひび割れやささくれを起こし、その状態でアスファルト歩くからではないのだろうか。

左足はM.モゥブレイのソールモイスチャライザー、右足はブートブラックのレザーソールコンディショナーを使い続けた限りでは、減り具合に大差は無いように見える。
滑り具合とか履いた感じに関してもそれほどの差を感じない。どちらかが明らかに滑るということもなければ、どちらかが水が染みてきやすいと体感的にわかる程でもない。

唯一違いがあったのが元のステインへの影響。M.モゥブレイは濡れてもあまり変化がない一方で、ブートブラックはシミが出やすい。

M.モゥブレイのソールモイスチャライザーを使っている左足。

ブートブラックの右足。

以前、RENDOのソールもステインが雨に弱いという印象を受けたけれど、ひょっとしたらブートブラックのソールコンディショナーの影響もあるかもしれない。

単に個体の問題かもしれないが、ソールにこった仕上げがしてある場合はM.モゥブレイのほうが安心かな。


1年10か月ほど履いて、2泊くらいまでの出張の時などはコレ1足なんてときも結構あった。それなりにヘビーユースをしたのではないかと思う。

いまのところ解れたり破けたりということはない。しっかりと作られていることがわかる。
インソールも擦れるところが少ないのか、比較的きれいな状態を維持している。
よく起きがちなかかとの擦れがないことからも、ショーンハイトのかかとのつくりはややゆとりがあることがわかる。

しわの入り方は僕が知る2015年頃の国産キップよりはややマイルド。
リーガルのW131とRENDOはほぼ同じ傾向の太めのしわが入る。ショーンハイトのSH111-4は同系統ではありつつも、やや穏やかに入る。
クリームがきちんと入った状態では結構柔らかくなるため、指に刺さるような感触もない。

ちょっとばかりゴツい見た目なのに、履き心地はとても良い。
タイトな履き心地ではなくあまりきつくない履き心地。ソールの返りもよくて、かかともついてくる。
RENDOが甲全体とかかとでフィットするような履き心地とすると、ショーンハイト(のSH111-4)は三の甲あたりでフィットさせてあとは自由にしているような。結果、タコができることも無い、足にやさしい靴という印象。


靴を大切に履くことはとても重要ではあるけれど、「大切」が天気を気にすることだったり、満員電車でヒヤヒヤするということであれば僕にとってはオーバースペック。

ショーンハイトのレザーソールシリーズ(税抜き2万円のライン)は靴に必要以上の意識を持つことのない、道具としての重要なポイントがしっかり押さえられた靴。
そのポイントの一つの理由に価格があるわけで、この価格だから雨の日も気にせず履けたり、水洗いする勇気が出ているこということも事実。2万円という制約の中で、スムーズレザーを使い、ソールもレザーのグッドイヤーウェルテッド製法。
リーズナブルな価格でリペアができるため、ソールの減りを気にするよりも、どんどん履いて仕事に集中できる靴。

素材一つひとつを細かく見たり、ソールの仕上げにおける手のかけようなど10万円の靴と比べて足りない部分をあげることはいくらでもできる。
だが、同じ価格帯でショーンハイトと勝負できる靴はほとんどないのではないだろうか。
雨の日も晴れの日も気軽に履けて、お手入れの楽しさも感じることができる。愛着がわいたら修理をして永く付き合っていける。極めて実用的な部分で他社との差別化されているオンリーワンの靴。


最近(でもないか)は浅草にオーダーサロンもできたようで、ここなら素材の変更やらデザインの微調整やらができてそれでも4万円以下って、もう東京近郊の人で木型と足が合うならここで完結できちゃいそうな勢い。
いまはシングルEの木型もあるんですね。サンプルシューズが無いようなので確かめようが無いけれど、甲周りが少しタイトになるのであれば、オーダーでもいいよなぁ。

もちろん、ショーンハイトがカバーできない領域もあるので、それはそれで魅力的な靴はたくさんある。ショーンハイトは結構「ふつうの靴」。だが、その「ふつうの靴」をビジネス展開し、維持していくことは意外と難しい。

「英国の良心」がチャーチなら、ショーンハイトは「日本の良心」の有力候補ではないかな。

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左足のお手入れに使っているM.モゥブレイ。定番かつ長い間使っても安心な感じがします。





新進気鋭のブートブラック。これ一つで結構光らせることができるので、お手入れの時間をかけなくてもしっとりとした仕上がりに。