2018年1月27日土曜日

SHETLANDFOX 032FSF BRIGHTON

シェットランドフォックスのもう一つのフラッグシップ、ブライトン (Brighton)。

この靴はもうだいぶ前に休日用としてとある記念に買ったのだけれど、いまのところ休日靴のエースである W10BDJ を履くことが多くて出番が少なかった。
ジーンズあたりとはそれほど相性が良いわけでもなく、かといってジャケパンで気取って出かけることもほとんど無く、登板機会がなかなかなかった。

ブライトンはケンジントンと同様に、前半グッドイヤーウェルテッド、後半マッケイといった変則仕様。ケンジントンと似たつくりで同じ価格なのに、専用ツリーがなかったりと、いまいちフラッグシップっぽい扱いを受けてない感じのする靴。

ケンジントンがやや野暮ったい印象を受けるのに対して、こちらはスマートな雰囲気。
キャップトウはビジネスシーンでクールな印象を与えるだろうし、フルブローグは大人のカジュアルに似合いそう。
ただ、身に着ける側にもセンスが要求されてしまいそうな...
特にこのブラウン内羽根フルブローグというのはなかなか(僕には)難しい。


デザインはリーガル得意(?)のロングウイングチップタイプのフルブローグ。
内羽根かつロングノーズなのですっきりとした印象。
同じフルブローグでも W10BDJ とは全く異なるし、2235NA とも違う。カントリーテイストというよりシティテイストのため、ドレスやキレイ目スタイルに似合いそう。

ロングノーズというだけでなく、流れるようなデザインもあり、細く長く見える靴。

ソールのステインは当時のケンジントンと比べてとてもていねいな仕上がり。ややむちむちとした質感はプレステージラインといわれるだけのことはある。


シェットランドフォックスのブログで「ケンジントンIIから導き出された」と評されるラストは、ロングノーズらしさのある履き心地。少なくともケンジントン(IIではないほう)とは明らかに違う。

路線が似ているアバディーンとも感覚的に違う。


靴を見たときの直観としてはアバディーンと同様のタイトフィッティング。実際に履いてみるとブライトンは意外やキツキツではない作り。
サイズはアバディーンよりハーフ下げても、体感的には同じくらいの印象。旧ケンジントンと同サイズでちょうどという感じだった。

公式ブログではボールジョイントのあたりにゆとりがあると書いてあるけれど、僕はハーフサイズ下げていることもあり、ボールジョイント自体はアバディーンと同じようにやや抑えられている印象を受ける。とはいえ、履いた回数で考えるとややブライトンのほうがゆとりあるかなという程度。
つま先に向けてのカーブは少し緩いのか、小指から薬指があたる感じがそれほどないので長時間履いていてもあまり足にダメージが無く、購入当初は硬いながらも楽な靴という印象だった。

紐をきつく縛ると確かに全体的にフィットしている感じはあるものの、旧ケンジントンでは感じていた「甲の外側のフィット感」が弱い。
前面から見ると、旧ケンジントンのほうがねじれがきついように見えるので、そのせいかな。



ケンジントンのほうが外側のそぎ落とし度合いが大きいように見える。

逆に、ブライトンは底面内側の親指の付け根からかかとにかけてのフィット感が素晴らしい。
親指のいわゆる肉球がホールドされて、土踏まずはつかず離れずをベースにやや押してくるかもしれないという感じで、かかとに至っては足の形のお椀に収まっているような感覚を受ける。

ケンジントンが甲外側に感動を覚えるのに対して、ブライトンはソール内側が印象的。

ロングノーズなのでつま先をぶつけやすいことを除けば、ウェストマッケイの構造による購入当初からの返りの良さと、靴を履いていることを必要以上に意識させないラストとで歩くのが楽しくなる靴。


前回の 2504NA とは全く異なる方向性の靴で、かかと周りの両サイドも高さが低く、この靴でくるぶしがあたるような人は本当にまれのはず。
むしろ低すぎることによりかかとが包まれている感にやや不足を感じないでもないくらい。
かかとに関しては、包み込むように作ろうとすると技術的にも難易度が上がるだろうし、履き心地に違和感を持つ人も増えるだろうから、幅広い層をターゲットとするリーガルはやや緩めの傾向で仕上げることが多い印象を持っている。

ロングノーズ故か細い靴に見えて、実際はそうでもない靴。
一の甲周りはむしろ余裕があるようにも思える。
指先に行くにつれて少し余裕を持たせつつ、足首側に行くにつ入れてタイト目に仕上げているため、紐をきっちり締めて履く人にとっては靴の前半部分には不満を感じないのではないかな。
羽根が開くことを極端に気にしなければ多少甲が高い人でも問題ないし、結構甲が薄い人でも羽根が閉じきるまで締めればそれなりのフィット感になるのではないかと。

アッパーに使われているのはケンジントンでも使われているといわれているゾンタかな。
意外に大味なしわが入るやや硬い感じの印象を受ける革。
やっぱり繊細な感じがするイルチアに比べるとどちらかというと豪快な味付けがされているように見える。

ムラ感を出すためか後工程で色の仕上げをしているため、雨には弱そう。
いちいち天気を気にしない僕でも、何となく雨の日履くのもどうかと思う靴。


お手入れはいまのところサフィールノワールのレノベイタークリームを使っている。
気持ち、クレム1925のニュートラルより色落ちが少ない感じなので。

レノベイタークリームはどんな靴に使っても間違いない万能クリーム。
塗った直後はうっすら白くなるけれど、ていねいにブラッシングしてからぶきすると十分な光沢が出る。最近は靴が増えてきて、年に数回しか履かないものが出てきてしまっているのだけれど、そういった靴にはこのレノベイタークリームを年に1度くらい塗っている。

補色効果はゼロだから、色が抜けていくほうのエイジングならこれだけでもよいけれど、やっぱり靴はある程度補色をしたほうが味が出るので、もう少ししたら靴の色より濃い茶色のクリームを使おうかな。


ブライトンはブランドの顔にもなりえるモデルでありながら、ケンジントンIIのフラッグシップイメージが確立しているため、どうしても派生モデルっぽさが残る。
ブランドを代表する靴として、無難なノーズで万人受けするケンジントンIIがあるからこそ、同じつくりでイギリス的なロングノーズでちょっと攻めてみました、というところだろうか。
アバディーンもそうだけれど、ビスポークを意識したようなロングノーズは好き嫌いはあれど、写真で受ける印象と履いてみたときの印象が結構違う。(ように思える)

僕は休日靴として茶色のフルブローグデザインを選んだけれど、ひょっとするとこの靴の真価は内羽根プレーントウみたいなシンプルなデザインで発揮されるかもしれない。


最近のシェットランドフォックスは価格を抑えた靴の比率が高い気がしている。
カーディフとかバーミンガムってわざわざシェットランドフォックスで展開するラインなのかなという気もする。
もしリーガルが「REGAL SHOES」と「SHETLANDFOX」で店舗展開を完全に分けているのであればそういう商品構成も必要になることがあるのだろうけれど、同じ販売チャネルを使うのに 01DRCD と似たようなコンセプトを作ってせっかくのブランドイメージがぼやけてしまっているように感じる。

靴好きがいいと思う靴が売れるとは限らないので、裏には緻密なマーケティング戦略があるのかもしれないけれど、エジンバラとかブリストルのような世界的に見ても定番ラインナップになりそうな靴が消えてしまうのはただただ残念。


このところ僕の中では3万円前後くらいの靴が熱くて、ショーンハイトやリーガルの定番ラインに興味が移っているのだけれど、やっぱりそれなりのお値段する靴はいいですね。
よほど履きこまないと履き心地というのはわからなくて、履きこんでしまえば RENDO のようなしっかりとしたつくりの靴なら完璧にフィットするので、価格差は主に素材と仕上げによるところが大きいと思っている。個人的にはそこにお金払う価値は十分にあると思う。


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お手入れは僕の中で任せて安心なサフィールノワールレノベイタークリーム
ふだんのお手入れはこれだけあれば十分かと。塗りすぎはかえってコンディションを悪化させるので薄塗りで。



そこそこ艶出ししたいときはサフィールノワールクレム1925
いまのところニュートラルしか使っていません



ふだんのお手入れは大き目な馬毛ブラシで丁寧にブラッシングするだけ
あまりクリーム塗りすぎてもしかたないので



こっちのブラシも使いやすい。