2014年4月27日日曜日

靴を買いました - REGAL W10BDJ -

ひさしぶりにREGALで靴を買いました。


ついでにクリームも。

REGAL春夏の新作はノーチェックで、たまたま靴紐を買いに行ったら気になるモデルが出ていた。(01DRCDと全く同じパターン)

去年の01DR/02DR/03DRはビジネスシューズとしてど真ん中ラインナップだったけれど、今回のW10BDJはカジュアルシューズとしてかなり気合の入ったモデルだと思う。
(今回はW番台なのでリーガルシューズ専売モデル)

今回、あえてクリームを新調したのもこのモデルの特徴に合わせてのこと。
詳細はある程度履きこんでから書こうと思っているけれど、少しだけ。

W10BDJは、国内タンナーで革を調達し、国内の工場で作った靴。
アッパーとライニングは姫路のタンナー「山陽」のグレージング仕上げのキップ、ソールは「栃木レザー」のタンニンなめしのダブルソール。
ライニングにこんな風に書いてある。
これ自体、リーガルでも初めての試みだと思う。
ここに来てリーガルは栃木レザーを表に出している。REGAL TOKYOの10周年記念モデルもソールは栃木レザーを謳っている。

これほど「欲しい」と思ったモデルはひさしぶり。

実はそろそろ2235NAを買おうと思ったいたのだけれど、ちょっと手持ちの服装に合わせづらいとも思って延びのびになっていたところに登場。

デザインはややトリッカーズを意識したような感じもするけれど、これはこれでありでしょう。10年、20年大切にしたいモデル。

それにしても相変わらずREGALのホームページは情報量が少ない。
特に、注目が高い栃木レザーを使っているということが公式ホームページからではわからないし、まだ(4月27日時点で)公式通販にも載っていない。うーん、なんだかビジネスチャンスを逃しているんじゃないだろうか。製造が間に合っていないのだろうか。

ひさびさにリーガルで個人的大ヒットの新作が出たので浮かれてしまった。
こんなノリでビジネスラインも拡充してくれるといいなと期待してしまう。シェットランドフォックスやREGAL TOKYOとかぶるラインはマーケティング的に難しいところもあるだろうけれど、全国で買えるREGALブランドだからこそ大いに期待しちゃうわけです。


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2014年4月12日土曜日

雨に降られた靴をケアしてみた - Shetland Fox Glasgow -

ひどい雨に降られました。

シェットランドフォックスのグラスゴー3048SF。
さすがの大雨で、ほとんど水たまりを歩いていたようなものだったので靴の中まで結構水が入ってしまった。

外で濡れて、オフィスに少し戻って、また外で濡れての繰り返しだったので、革靴には相当過酷な環境だっただろう。

家に帰り、その日はまずキッチンペーパーを水で濡らして軽く汚れを落としておく。
キーパーは入れず、靴底に空気が通るように立てかけておいた。
キーパーなしでこういう状態にすると型崩れし易いという話も聞くけど、他にやりようが無いのでいつもこうしている。

次の日見てみると、しばらくトウの部分にクリームを多く塗っていたせいか、ボコボコとしたシミが目立っている。
よく見ると塩も吹いてしまっている。
お手入れの際に堅く絞ったタオルで拭うため、それほどヒドイ塩吹きでは無いと思うけど、やっぱりびしょ濡れになるとどうしても出てしまう。
こうなると、単にクリームを塗るだけでは元に戻らないので、気合を入れてお手入れする必要がある。

まずはこのボコボコを解消するため、42度のお湯でやや緩めに絞ったタオルを被せて5分ほど置いておいた。

これだけで、かなり状態が緩和された。(と、この時点では思っていた)
物の本を読むに、このボコボコした状態は、革の内部の塩分がアッパーの蝋分のせいで外に出られず、中でたまっているという。だったら表面の蝋分を溶かしつつ、浸透圧の関係で塩を抜く方法がいいのではないかと思う。

その後、ステインリムーバをキッチンタオルにたっぷりつけて、表面を軽くなでなでする。なんとなくだけど、浮いた塩分などの不純物が取れるんじゃないかという気がする。
また、ステインリムーバの効果を示した図を見ると、汚れが浮き上がる効果があるわけで、次のステップの下準備だと思ってやっている。

その後もう一度軽く絞ったタオルを被せて20分くらい置いておく。

これでほとんど元通り、一部残ったボコボコを水を濡らしたティッシュでならす。
これも10分くらい置いて終了。

前日にたっぷり水を吸って、さっきまでタオルをかぶせていたので表面はまだしっとりしている。
ここでサフィールノワールレノベイタークリームをたっぷり塗りこむ。

よくサドルソープで洗うとき、泡を流しすぎないというのがある。これはサドルソープに含まれている保革成分を残すという理由。
やっぱり濡れた状態から乾く過程で脂分が不足していると硬くなりやすいのではないかと思い、ここでクリームを入れておいた。

デリケートクリームではなくレノベイターを入れるのは、蝋分が少し含まれているから。乾燥速度がデリケートクリームより遅くなることで、より革へのダメージが少なく元の状態に戻せるのではないかという勝手な妄想。


レノベイタークリームを塗り終えたら、軽くブラッシングしてクリームを均質にならしたらキーパーを抜いて一晩放っておく。


翌日見てみると、出るわ出るわ塩がまだ表面に出てくる。
昨晩の段階でもアッパーはまだ湿っていたわけで、乾燥の過程で残りの塩分がうっすらと表面に上がってきている。

靴には人間の汗に含まれる塩分が溜まるという。雨に濡れるとこのたまった塩分が表に出てくる。
逆に言えば「晴れの日しか履かない靴」というのは塩分が外にでる機会が無いのではないだろうか。濡らさない、洗わないと極度に水を恐れているとこの「定期的な塩抜き」が無いため、かえって靴が傷んでしまいそう。
やっぱり雨に降られるということはマイナスだけではないのではないかなと思えてくる。

もう一度タオル掛けて置いておいたらなんだかまた表面にシワが出てしまった。
相当汚れがたまっているのかなぁ。


塩抜きという観点でいえば、靴を丸洗いしてしまうのがいちばんだと思う。

というわけで革靴を水洗いしてみることにしました。

(※ここからは完全に僕個人の趣味の世界なので、高級靴や思い出の靴などをお持ちの方は専門の業者さんにご相談されることを強くおすすめします。※)

まずは、表面の汚れ落としも兼ねて、水をかけながら指で表面をなでなでする。
さすがに脂分が染み込んでいることもあり、この段階では表面はほとんど水を弾く。

ある程度表面の汚れ落としが終わったら、洗剤などは使わず、単純に水の中にドボン。

元々の目的は表面のボコジミ抜きなので。
10分くらい漬けておくと、水がうっすらと茶色になる。
その後よくすすいでまた水を張っての繰り返しを3回くらい。回数には特に意味がありません。洗濯機のすすぎが最大3回だったので。

すすぎの時に、つま先に溜まっていたホコリの固まりがどんどん出てきた。
ふだんのメンテナンスでは取りきれない奥の方に詰まっていたホコリが水で浮いて剥がれたっぽい。

ある程度塩が抜けたかなと思ったあたりで
花王のエマール。
おしゃれ着用の中性洗剤なので、とりあえずダメージ少なめの処方がされているのではないかと勝手な推測で。
サドルソープはアルカリ性の溶液なので革にはよくないのではないかという記事を読んでから使う気がしなくなってしまった。これだけサドルソープを使っている人がいるのだから、きちんと使えば問題無いとは思うけど、「ブーツ」ソープではなくて「サドル」ソープなんだよなぁ。(たまたま歴史的に呼び方が定着しているだけなのだろうか)

革の性質からすると弱酸性が良さそうだけれど、酸化を助長してハトメが錆びたりするとそれはそれなので、真ん中とって中性洗剤に。
これをサドルソープ用のスポンジに少量付けて泡立たせ、アッパーや靴の内部を軽く洗う。

洗い終わったらよくすすぐ。
風呂場のシャワーでこれでもかというくらい水を掛けて泡立ちが全くないくらいまで洗剤を落とし、一度繊維の奥に残った洗剤を抜くためつけ置き。最後にシャワーで全体を流して終了。

乾いたタオルで内側の水分を吸い取り、アッパーの水気も取る。
ウェルトのあたりはキッチンペーパーを使ってていねいに水気を取り除く。
ある程度取れたらキッチンペーパーを中に詰める。
だいたい片足で14、5枚くらい。
ちなみに、僕はいろいろキッチンペーパーを使うので、1ロール近い量を使ってしまうのだけれど、このコストは50円以下。かける価値があると思う。

この時点でだいぶ表面が戻ってきた感じがする。
この時点でボコシミは目立たない(ほとんどなくなっている)
最初30分くらいしたところでいったんキッチンペーパーを詰め替える。
新しいものを使っても良いけれど、後ろの方に詰めたものはほとんど水気がないので、入れ替えるくらいで十分かも。その後は一晩風呂場に置いておいた。
ちょうどうちの風呂場は24H換気の空気が通るため、つねに微風の環境にある。

10時間くらい経って見てみると、表面はそこそこ乾燥していた。さっそく取り出して中のキッチンペーパーを取り除く。
さすがに内側はまだ湿っていたので、カビ防止も兼ねて軽く日光に当てることにした。

まず最初に保湿のためサフィールノワールのデリケートクリームを全体に軽く塗って、キーパーは入れずに天日干し。特に靴の内側に陽がさすように靴を置いておいた。
およそ2時間くらいたったら今度はレノベイタークリームを少し多めに塗って、ていねいにブラッシングしてからキーパーをセット。ソールにも少しコンディショナーを塗ってまたしばらく置いておく。

全体が表面的に乾いたところでいつものサフィールノワールクレム1925のブラックを薄塗り。
ウェルト部分にも少しクリームを入れて、コバはコバインキで塗り直した。
表面がリセットされているせいなのか、ブラッシングをていねいにすると、いい感じに。

ここでふと思うのだが、インソールやライニングの脂分も水洗いで抜けてしまっているわけで、それはどう補給したら良いのだろう?とりあえずデリケートクリームを超薄塗りしてみたけど、インソールは水分をよく吸うので上手く塗れない。この辺りのケアはノウハウを豊富に持つ専門の業者さんに一日の長があると思う。自己流は思わぬ落とし穴があるかもしれない。

半日おいてから最後のお手入れ。
もう一度クレム1925を薄塗して、ブラッシング、ウエスでよく磨く。

完成。
トウのシミもなくなり、チプリア独特のつややかな感じが復活。
チプリアはクレム1925だけでも結構光る。写真だと少しわかりづらいのだけれど、水飴のような感じ。クリームオンリーなのでひび割れなどの不安も少し少ない。

念のため数日間は部屋の片隅あたりに放っておく予定。表面はほぼ乾いていても、おそらく中のコルクだとかヒールの積上部分だとかはまだ湿っているはずなので。

ふぅ。今回は結構手間だった。


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レノベイタークリーム。万能クリームなのでひとつあってもよいかも。




クレム1925。いまのところベストクリームかと。


2014年4月1日火曜日

Shetland Fox 3055SF ABERDEEN

いままで何度も下書きを更新しては、なかなか公開の機会が無かったシェットランドフォックスで最もエレガントでないかと思う靴。アバディーン(Aberdeen)

細め、低め、ロングノーズのチゼルトウ。
ここまで行くとアバディーンというよりはトリエステ(Trieste)という感じなのだけど、まぁネーミングなんてどうでもいいか。
新宿のイセタンメンズでも売っていて、確か八重洲のリーガルシューズでも見かけたような気がするので、グラスゴーに次いで手に入りやすい(=試着しやすい)靴だと思う。
日比谷のシェットランドフォックスでは30代のリピートが多いそうだ。確かに、一見細身のロングノーズに見えて、実は細すぎないという絶妙なバランスが合うのかもしれない。

前回のペルフェットのパラティーノとほぼ同じコンセプト。
ただ、パラティーノは縫製の感じも含めてイタリアンなエロさを感じるのに対して、アバディーンは日本の工業製品っぽいめちゃくちゃ真面目な雰囲気。REGAL TOKYOのホームページでも紹介されているように、細い糸でピッチの狭いミシン、にじみのないソールのステイン仕上げ、少しひねったカウンターの仕上げなど随所にていねいさが現れている。パラティーノとのデザイン上の大きな違いはハトメ。こちらは6穴で左右のハトメ間もかなり小ぶりにできている。

履いた感じではパラティーノ5.5とアバディーン6がほぼ同じ感じで、同じシェットランドフォックスだとインバネスと同サイズでボールガースがややタイトなフィット、グラスゴーと同サイズで全体の周囲が結構小ぶりという印象。レースの開き具合は「アバディーン>インバネス>>グラスゴー=エジンバラ」といったところか。羽根の開きを気にする人は少し厳しいかもしれない。

正面から見ると峰がかなり内側に寄っていて、そのためなのか甲の外側がややタイト。
人間の足の形を見るに、靴の峰を内側に寄せれば寄せるほどフィット感が良くなりそうに思えるけど、やり過ぎるとかなり格好悪い靴になってしまいそう。各社この辺りはいろいろ工夫しているポイントになっている。ペルフェットのパラティーノは中心はそれほどずらさず外側を大胆に削っている感じで、ソフィスアンドソリッドS701は靴全体をくの字型にして羽の左右の高さを変えている(外側がかなり低い)。
参考までにペルフェットのパラティーノ。
峰は中心にあるが、外側をかなり削っている印象。

シェットランドフォックスは甲の部分で峰を結構内側に持ってきて、全体では親指方向に少し振っている。
このため親指が一番長い僕の足でも親指側があたることが無い。似たような形のオードリー(337E)と比べて指周りのゆとりがある。日本のブランドだけにエジプト型の足にも対応できるように仕上げられているような感じだ。

シェットランドフォックスの中では最も薄め(だと思う。ブリストルはまだ未体験)のラスト。REGAL TOKYOのホームページではグラスゴーに似た感じと書いてあったけれど、グラスゴーより遥かに薄くてコンパクトな印象。インステップガースは5mmから1cmくらい小さいのではないかと思えてくるほど。
指先のあたる感じは意外やインバネスのように左足の小指が窮屈というわけでもない。土踏まずは全体的に強い突き上げを感じないが、足のアーチに沿ってそっと触れる程度。これはシェットランドフォックス(というかリーガル)に共通していると思う。ビンビンに押してくるペルフェットと比べると物足りないかもしれない。健康上どちらが良いのかは知らないけれど、長時間履いているとあまり土踏まずがタイトでないほうが楽な気もする。
インソールのフットプリントを見ると、やっぱり大きい左足の小指が少し外側にはみ出している。インバネスでも小指にややアタリを感じてはいるものの、こちらははみ出していないので、同じEE表記はされているものの、同ブランド他モデルより少し細めなのかもしれない。(しかし前述のようにこなれてきた後はなぜかインバネスより小指が楽)
サイズとしてはEEなので、ボールジョイントの幅は少しゆとりがある。ウイズEのソフィスアンドソリッドS701を履くと、結構ボールジョイントがタイトな感じを受けるので、やっぱりアバディーンはEEなんだなと感じる。
前回のペルフェットのパラティーノと比較すると、ボールジョイント周りはほぼ同じ位だと思うが、トウにかけての絞り込みはアバディーンのほうが緩い、というか少しつま先よりにあると思える。これは右足の小指に対する圧迫感がまるで違うことで気づいた。僕の場合は足長は左のほうが長いので、通常は左足のほうが違和感を感じることが多いが、幅は若干であるけれど右のほうがあるため、右足に違和感を感じる靴というのは捨て寸に入るところが小さいのだと予想される。

この靴は毎朝履くときにはかなりタイトな感じがするが、しばらく経つと足がなれるのか、むしろ程よくぴったり感に変わる。履き始めからいままで(通算30回くらい着用)この靴は一切タコになることがないので、キツイように思えて意外にぴったりなのかもしれない。違和感を感じやすい小指についても、長時間履いていてもダメージを感じない。もともと僕はシェットランドフォックスの靴では全体的に靴ずれが起きにくい。指の上部に靴ずれが起きたのはインバネス購入当初くらい。逆にヒドかったのはリーガルW131とペルフェットLGW3001というショートノーズモデル。前者はかかと外側にかなりヒドイマメができた(いまでもわりと残っている)。後者はかかとと指にアタリを感じる。両社ともに他の靴に比べショートノーズ。ひょっとしてこの手の靴は捨て寸短い分、ワンサイズ上げるべきだったのかもしれない。
基本的に僕は小さい方の右足ジャストフィットで購入するため、馴染むまではわりと強烈に、馴染んだ後でもなんとなく左足のほうが違和感を感じることが多い。履きこむとソールが多少沈むことと、靴が指にあって多少の変形をすることもあり、左足ジャストに合わせるより長い目で見ると結局はマトモになることが多い。

このアバディーンは内羽根と外羽根で少し印象が変わって、外羽根(3054SF)はインステップが細いのか履口が結構笑ってしまう。かかとも言われるほどコンパクトさを感じない(履口が開いちゃっているからかもしれない)。アバディーンは最初にこの外羽根Vチップを買ったため、あまり合わないラストと思っていたが、内羽根を買ってみたら結構合っていたので意外だった。
エジンバラもそうだけれど、包み込まれる感じは同一ラストの時は内羽根のほうが強く感じることが多い。ひょっとしたらデザインによって釣り込みに差が出ているのか、羽根の構造上なんらかの違いがあるのかもしれない。

アッパーはもう日本でおなじみ仏アノネイ社ボカルー。なんか国産4万円台クラスの定番なんじゃないかという気がしてくるほどよく見かける。イルチアなきいまとなっては、このプライスゾーンの国産靴のアッパーはアノネイかウエインハイムレダーかどちらか。アノネイのボカルーはその透明感のあるブラックの評価が高いが、実は雨に降られてもきちんとメンテナンスするとわりとしなやかさを戻すので、お手入れ次第では実用範囲が広く、コストパフォーマンスが高いと思う。(僕は好きだ)
手入れがうまくいかないと少し曇った感じになる。僕の場合は雨に降られることもあるし、お手入れの際に堅く絞ったタオルで拭くことがおおいので、染料が抜けてしまうのかも。
世界的に質の低下が言われている皮革素材だけれど、僕のように違いがあまりわからない人にとっては十分満足ができる。雨に弱いと言われるものの、きちんと乾かしてクリームぬりぬりすると結構戻るし、お値段的にもダメージが少ないので、本当に使い勝手が良いと思う。
右にちらっと見えるのがイルチアのラディカによるパラティーノ。色合いが全然違う。

靴底は仕上げの見た目通り、おろしたてはかなり滑る。このあたりはクロケットのオードリーに似ているかも。ちなみにロングノーズのせいか当初つま先が勢い良く減る。ある程度履きこむと減り具合も落ち着くのだけれど、この手のロングノーズはつま先補修までの期間が結構短くなる覚悟が必要か。つま先修理位ならそれほどコストも掛からないので、最初からスチール入れるよりはすり減ってから補修をするというのが僕のパターン。

アバディーンはリーガルの公式通販で見るとなんだかやたらシャープなロングノーズに見えるけれど、実物はそこまででないように思える。確かにトウの先端はかなり薄くて本当にチゼルっぽいのだけれど、キャップが大きめだからか、僕がロングノーズに見慣れたからかちょっと長いだけという感じ。どちらかというと「低い(=薄い)」という印象のほうが強い。

アバディーンの良さは「ミリ単位で修正を加えながら完成された木型」だという。でもこれ当たり前じゃないの。センチ単位で作られたらたまらん。靴のサイズは0.5cm(つまり、ミリ)単位で販売されているのだから。もっと木型の特徴がわかると試し履きするときに参考になるのに。アルフレッド・サージェントのホームページはラストごとの概形が載っていたりして、すでに1モデル持っていればなんとなく他のラストのイメージくらいはできる。靴は試し履きして感性で買うからこそ、気になる部分に注意を注ぐことができる情報があればとってもありがたい。
それにしてもこのシェットランドフォックスにしてもペルフェットにしても、公式ホームページでラインナップを確認できないというのはどうかと思う。いくら公式通販サイトがあるとはいえ、ブランド公式のホームページで基本的な情報くらい入手したい。比較的情報のあるリーガル公式通販でも「ポカルー革」と書いてあって脱力する。"Vo"calouですよ。

ツリーはサルトレカミエSR300のサイズ38。シェットランドフォックス純正のバネ式だと心なしかかかとが大きいのではないかという気がする。
この純正シューツリーはケンジントンやエジンバラをベースに開発されているのではないかな。アバディーンの小さめかかとを広げてしまいそう(自分のかかとの形と比べると気のせいかもしれないけど...)

アバディーンは最初にリーガルのサイトでみた時は「うわ、いくらなんでもやり過ぎだよ」とあまり好意的に受け止めることは無かった。よくあるデザイン優先のロングノーズに形が似ているような気が。エッジも強烈に立っていて、かつロングノーズなため、古典的なラウンドトウ好きから見ると、異端な感じがありありして。
でも実際に店頭で見て見るとそんなにドギツイ印象でもなく、写真から受けるいやらしさはそれほど感じない。実際に履いてみると結構懐が広いラストな印象。僕は足のサイズが6なので履いてみるとたいしてロングにならない(身長比でバランスが良くなる)。靴のサイズと身長のバランスは結構重要で、足の小さい人がショートノーズを履くとマスオさんみたいになってしまうし、足の大きい人がロングノーズを履くとピエロになってしまう。
というわけで、この靴は、どちらかというと身長比で足の小さい人のほうが全体のバランスが取れるのではないかな。サイズも5から展開しているのはその辺りも考慮されているのだろうか。
シェットランドフォックスで唯一、キャップトウ、セミブローグ、プレーントウ(外羽根Vフロント、内羽根)という王道ラインナップが揃っていて、アッパーは上質かつ無難なボカルーを採用したモデル。小さめの足向けにはアバディーンで、大きめの足にはこちらもキャップトウ、セミブローグ、フルブローグ、ホールカットと定番ラインナップを擁するアーバインと分けているのかなぁ。