靴を磨こうと手にすると、ときどきつま先に結構なキズがあることがある。
今回3048SFを磨こうとしたら、身に覚えのないキズが両足についていた。
なぜか両足とも真ん中より外側に同じようについている。
前回履いた時についたキズなんだろうけれど、どこでついたのか記憶が無い。
こういう時こそメンテナンスのし甲斐がある。
僕は鏡面仕上げをしない人なので、つま先やかかとに擦れたキズが入ることはままある。キズが入ったり雨に降られたりは、ちょっとていねいにメンテナンスするいい機会だ。
今回もいつもどおり使うのはサフィールノワールクレム1925。
このクリームは日常のお手入れから、こうしたちょっとした補修目的まで、本当に便利。
キズの補修目的なので靴と同色のブラックを使う。
まず、クリームをいつもより多めの量を取り(今回の程度であれば爪楊枝の頭くらい)キズに塗りこんでいく。塗りこむときははじめはソフトに、次第にキズをならすような感じでぬりぬりする。
待つこと10分。ここでいったんクロスで磨いてみる。
このくらいでほぼキズは目立たなくなる。
あとはふつうのメンテナンス。
傷ついたトウも含めていつもどおりにクリームを塗って、ブラッシングする。今回は最後にクロスをひたすら(と言っても2、3分)かけて終了。
つま先のキズもほとんど目立たなくなっている、というかキズがあることがわからないくらい。
こんな感じで元通りになるので、お気に入りの靴はどんどん履いてしまう。
今回メンテナンスしたシェットランドフォックスの3048SFのアッパーに使われているフラスキーニ社のチプリアは、もともと擦り傷に弱い感じがあるのだけれど、クレム1925を少し多めに塗って磨くと結構回復する。僕はクリーム超薄塗りが基本なので最近まで気がつかなかった。
逆に言えば、この特性は比較的靴のメンテナンス経験が浅く、クリームを多く塗りすぎてしまう人にとっては有利に働くと思うので、シェットランドフォックスの中では比較的エントリー価格に位置するグラスゴーでチプリアが採用されているのはひょっとしたら意図的なのかとも思えてくる。
キズが付いたり雨に濡れたりしても、きちんとメンテナンスすることを繰り返して、新品の靴では絶対に得られない味が出てくるのではないかと。時間の経過とともにみすぼらしくなるのではなく、なんとも言えない奥深な味が出てくるから靴磨きって楽しいんだよなぁ。
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