2013年10月26日土曜日

靴なんだからキズくらいつくでしょ

靴を磨こうと手にすると、ときどきつま先に結構なキズがあることがある。
今回3048SFを磨こうとしたら、身に覚えのないキズが両足についていた。
なぜか両足とも真ん中より外側に同じようについている。
前回履いた時についたキズなんだろうけれど、どこでついたのか記憶が無い。

こういう時こそメンテナンスのし甲斐がある。

僕は鏡面仕上げをしない人なので、つま先やかかとに擦れたキズが入ることはままある。キズが入ったり雨に降られたりは、ちょっとていねいにメンテナンスするいい機会だ。

今回もいつもどおり使うのはサフィールノワールクレム1925。
このクリームは日常のお手入れから、こうしたちょっとした補修目的まで、本当に便利。
キズの補修目的なので靴と同色のブラックを使う。

まず、クリームをいつもより多めの量を取り(今回の程度であれば爪楊枝の頭くらい)キズに塗りこんでいく。塗りこむときははじめはソフトに、次第にキズをならすような感じでぬりぬりする。

待つこと10分。ここでいったんクロスで磨いてみる。

このくらいでほぼキズは目立たなくなる。

あとはふつうのメンテナンス。
傷ついたトウも含めていつもどおりにクリームを塗って、ブラッシングする。今回は最後にクロスをひたすら(と言っても2、3分)かけて終了。


つま先のキズもほとんど目立たなくなっている、というかキズがあることがわからないくらい。


こんな感じで元通りになるので、お気に入りの靴はどんどん履いてしまう。

今回メンテナンスしたシェットランドフォックスの3048SFのアッパーに使われているフラスキーニ社のチプリアは、もともと擦り傷に弱い感じがあるのだけれど、クレム1925を少し多めに塗って磨くと結構回復する。僕はクリーム超薄塗りが基本なので最近まで気がつかなかった。
逆に言えば、この特性は比較的靴のメンテナンス経験が浅く、クリームを多く塗りすぎてしまう人にとっては有利に働くと思うので、シェットランドフォックスの中では比較的エントリー価格に位置するグラスゴーでチプリアが採用されているのはひょっとしたら意図的なのかとも思えてくる。

ま、いずれにしても「靴なんだからキズくらいつくでしょ」という軽い気持ちで考えている。

キズが付いたり雨に濡れたりしても、きちんとメンテナンスすることを繰り返して、新品の靴では絶対に得られない味が出てくるのではないかと。時間の経過とともにみすぼらしくなるのではなく、なんとも言えない奥深な味が出てくるから靴磨きって楽しいんだよなぁ。


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2013年10月12日土曜日

Shetland Fox 502F EDINBURGH

イルチア入荷が無くなって、既に在庫のみの販売になっていると思われる伊勢丹別注エジンバラ、502F。

セミスクエア外羽根クオーターブローグという中途半端(だと思う)なデザインの靴。
ただ、この中途半端さのおかげで、アンタイドなスタイルにも合うので意外と重宝する靴。

アッパーのラディカカーフはブラックだとその艶やかでエレガントな雰囲気がスーツに合い、ブラウンだとムラ感のある立体的な表情がキレイ目カジュアルに合う趣きのある革。シェットランドのイチオシであったのに、入手困難になり今後は使われることは無いだろうと思われる。いま(2013年10月)ならまだイセタンメンズで手に入るのかな。

外羽根エジンバラは内羽根に比べてややボールジョイント周りが緩く、全体的に大きいような気もするけれど、誤差の範囲かな。この緩さのためシワの入り方がイマイチになってしまっている。

ブラックの502Fはセミスクエアでメダリオンのないトウだけをみるとドレッシーだけれど、ギザつきタンの外羽根ブローグはカジュアル感強めと、最初に見たときは違和感ありありだったのが、実は絶妙な立ち位置にある靴なのではないかという気がしてきた。
502Fのタン部分。ギザ付きブローグのためカジュアルな印象。

そもそもこの靴に惹かれたのはこの半端感で、キャップトウでは堅すぎて、セミブローグではビジネス感出過ぎで、フルブローグだと行き過ぎだなと思われるきわめてニッチなスタイルに合いそうだなと。アッパーのおかげもあるのか、外羽根でありながら色気を失っていないところがいい。
ま、個人的にはこの定番から少し踏み外したデザインが気に入ったのだけれど、こういうケースは極稀で、この靴が気に入ったのは偶然の産物だと思う。

ビジネスユースのため、もう少しムラ感は抑えられている方が良いかな。時々ブラックのクリームで手入れをしているけれど、なかなかムラ感が落ち着かない。
キャップの部分に白いムラがある。ブラックのクリームを使い過ぎると、この何とも言えないワインっぽい色が無くなりそうなので5回に1回くらいしかブラックを使っていないけれど、もう少し頻度を増やそうかなとも思う。

シェットランドフォックスはよくも悪くも定番から少しズレた商品展開をする。
やっぱり定番といえば内羽根キャップトウ、内羽根セミブローグ、内/外羽根フルブローグにプレーントウかVフロントあたりじゃないかと思うのだけれど、このラインナップに近いものを揃えているのはアバディーンとアーバインくらい。しかしアバディーンはロングノーズで見た目が定番とは言いがたい(ただ、この靴はエレガントなのでやはりキマるシーンがある)し、アーバインはせっかく見た目はド定番なのにどういうマーケティングからそのラストになったのかと問い詰めたい。だいたい甲が緩いという評価に対してタンパッドで修正ってのが安易すぎる。「ミリ単位」でラストを作っているのではないのか。
一方でラストが人気のインバネスは格好良いのか悪いのか解らない3030SFだとか、ビジネスでもカジュアルでも履くシーンが全く想像できない3033SFだとかだし、このエジンバラにしても当初は他に内羽根プレーントウ(ブローグあり)で、キャップトウが出たと思ったらカラグレインカーフと、実験でもやっているのかと思う。

国産靴に4万も5万も出して買うような人たちは比較的オーソドックス寄りかと思うのだけれど、もうそういう頭のカタイ人はBOSかREGAL TOKYOの九分仕立て作ってって感じなんですかね。
むしろこういうヘンタイ仕様のデザインが欲しい人ほどオーダーって感じだけど。

イルチアを使った靴は生産中止方向だから伊勢丹別注モデルもリニューアルか在庫限り打ち切りかどちらかなんだろうけれど、エジンバラのニーズは結構あるだろうから今度はボックスカーフで作ってくれないかなぁ。そうしたらキャップトウ追加で買っちゃうかも。