BOS (Built to Order System)のラストを使った一般モデル。
ラウンドトウのプレーントウ。日本全国で比較的買いやすいベーシックなモデル。
W134はリーガルでのウイズ表記がD、JIS基準でEらしい。ちょっと英国靴っぽい表記のしかたが紛らわしい。(そのくせレングスは24みたいに日本式だし)
購入した当時「靴はキツくて足が痛いくらいでもそのうちコルクが沈んで極上フィット」という話を真に受けて、相当キツ目を承知の上購入。実測ではEEの足周なので、購入当初はかなりキツかった。インソールを覗いてみると、小指が半分くらいソールからはみ出しているので、結果的にサイズがあっていなかったんだと思う。履き始めはあまりの甲の締め付け強さに歩けない程だった。まぁ、懲りずに履き続けたら少しコルクが沈んだのか、とりあえず薄手の靴下なら1日履けるようになった。痛さを乗り越えて極上のフィットというのは一部の靴をきちんと経験則に基いて将来のフィッティングから逆算した現在のフィッティングを出せるシューフィッターが見極めることで成り立つわけで、安易に言葉の上辺だけを捉えたフィッティングでは結局のところ妥協の産物になってしまう。
この反動で、その後3回ほど連続で緩めを買ってしまった。これもまた履きづらいので結局履かなくなる。その後至ったサイズ感は、普段履くものより薄手の靴下で靴を買いに行き、ほぼピッタリでありながらこの時点では締め付け過ぎではないように感じる靴(キツイではなく、ややタイトという感じ)を買うようにしている。これだと半年から1年くらい経って靴が足の形に合ってくると、ふつうから少し厚手の靴下を履くことが多いのでフィットする。
このW134は僕がサイズミスをしたとは思っているのだけれど、当時のリーガルシューズの店員さんもこのサイズで問題ないと言っていたので、ひょっとするとこのフィット感が本来の姿なのだろうかとも思うし、やっぱり違うとも思う。もう少し履けば結論が出るのかと思いつつ何年も経ってしまった。何かで聞いた話では、リーガルシューズでは最終的には顧客の意見を優先するみたいなことなので、最終判断は買い手に任せる雰囲気ががある。リーガルトーキョーでも基本的にはキツメを薦めてくるけど、最後はお客さん次第。日比谷のシェットランドフォックスもタイト目よりはジャスト目を薦めてくる(沈み込み等の経験則によるものであればある意味当たり前だけど)
ちなみに、伊勢丹メンズは緩めの靴を履いている店員さんが多い。ハーフサイズくらい緩い靴を履いている人にフィッティングをしてもらうとその意見が少し心配。革靴はじめの数足は仕方ないところもあるけれど、やっぱり自分がピッタリだと思う靴を履いていって、それを基準にサイズ表記を無視して感覚で買ったほうがいいと思う。
さてこのW131、アッパーは国産キップ。平均的なビジネスマンのビジネスシューズ素材としてみたらコストやお手入れ頻度などを考えるとベストバランスだと思う。
さすがにアノネイやウエインハイムレダーと比べるとシワの入り方も含めたきめ細かさや、光沢のでかたに差があるとは思うけれど、それなりにメンテナンスしていると柔らかな革になる。スムーズレザーを感じながら雨にも強く、少しお手入れが雑でもひび割れもしにくい丈夫で実用的な素材だと思う。
やや大味なシワが入るので、人によってはそこが受け入れられないかもしれない。でもやっぱりリーガル伝統の「丈夫で長持ち」を地で行くビジネスライン。
リーガルお得意のゴテゴテしたウエルトではなく、ビジネスシーンに合わせやすい上品さもある靴。エレガンスでは無いけれど、ていねいさと丈夫さを兼ね備えているところは工業製品として見れば見るほど日本人が作った靴という感じがする。
価格的には靴好きな人からみると廉価版クラスかも知れないが、4万円近いプライスは一般的には十分高級クラス。
フラッグシップに近いBOSモデルをベースにしているので、一つひとつの作りがしっかりしていると思う。実際このW131も晴れの日も雨の日も履いて5年くらい経過するけれど、糸が切れたり形が崩れたりすることが無い。ソールの減りも少ない。(購入当初から2年目くらいまでは週1、それ以降は月2、3回くらいのローテーション。そろそろつま先補修かな)
僕の購入した時期からラスト形状がいまでも変わっていないとすればラストのできは01DRCDの方がいいと思う。正直DRCDシリーズが出たいまとなってはちょっと立ち位置が微妙なモデルになりつつあるのでは無いかと思う。アノネイあたりのほうが素材感で人気あるし。
履き心地は、もともと僕の足に対して小さいということもあり、先すぼみ感を感じる。かかとはわりと大きめなので、小さめのかかとの人だとフィット感が感じられないかもしれない。シェットランドフォックスが出る以前のリーガルは甲とかかとが大きいため、どうしてもそこのフィッティングを求めるとサイズを下げるかウイズを下げるかになり、結局先すぼみになってしまう(小指が大変なことになる)。このW134もそんな状態。Eウイズ(JISで言うEE)のW124だとどうなのだろう。今回はフィッティングについてはノーコメント。
真後ろから。
ペルフェットLGW3001のグラマラスなヒールカップと比べるとかなり直線的で、上部に向かっての絞り込みはほとんど無い。
それにしてもライニングのロゴはヒドイ。3万円を超える(値上げしたいまとなってはほぼ4万円の)靴でこのデザインはどうだろうか。ふつうにインペリアルグレードのロゴか、それをベースにしたほうが良かったのではないかと思う。このREGALなロゴを見るたびこのシリーズを買い増すという気が削がれた(いまはもう無くなった)。個人的にはBOSするなら間違いなくREGAL TOKYOで作ると思う。あっちのほうがインソールのデザイン無難だし。
ここまであまり高評価をしていないので悪い靴みたいな印象を受けるかもしれないけれど、この靴を単独でみるとレベルの高いいい靴だと思う。市販品でウイズ展開をしている点もリーガルの気合が感じられる。国産キップは他のメーカーでも4万円台モデルに使われているくらいで、素材のレベルが低いわけでは決して無いのだろうし。デザインも素材も普遍すぎて華がない、でも、だからこそ定番モデルとして長く履ける。まぁ無難といえば無難だし、下手に色気を出さないところがBOSラストモデルたる所以か。
ちょっと高いけど究極のベーシックモデルで、ラストが合えば万人にオススメできる。
プレーントウは(まっとうな)ビジネスシューズとしていの一番に挙げる人が多いけれど、意外と手に入りづらい。入手がし易い4万円で10年履けるプレーントウを探すとなるとほぼこのシリーズ(W124、W134、W144)一択になるのではないかと思えてくる。
ただこのBOSラストシリーズは、プレーントウは他にない優位さがあるけれど、それ以外のデザインはポジションが微妙なところが惜しいよなぁ。
4万円だとスコッチグレイン、大塚の百貨店モデル、ユニオンインペリアルあたりとかぶる。リーガル優位は全国のリーガルシューズでのリペアというところか。もしBOSがモデルチェンジしてケンジントンラストベースになったら面白そう。コベントリーも出したし、もういっその事リーガルはケンジントンを伝説のラストみたいに持ち上げて、スタンダードモデル統一しちゃえば良いのに。
あまり素材とかにこだわるとシェットランドフォックスとかぶってしまうので、あえて特別な個性を出さない無難モデルとして展開しているのかな。でもここまで無難だと店舗の現場では何をセールストークにしていいかわかりづらいですな。
いい靴だけど、この手の靴を欲しがる人はいろいろこだわりあるだろうから必然的にBOSになるのかな。この靴を購入した当時(たぶん5年くらい前)だとこういう無難な靴はリーガルではほとんど手に入らなかったので意味あるモデルだった。当時の上級ラインは数万円高いMade in ItalyシリーズとMade in Englandシリーズだったので、きちんと住み分けしていたとも言える。いまは同一価格帯でDRCDシリーズあるし、5千円から1万円プラスするとシェットランドフォックスがあるしで、積極的にこのモデルを選ぶ必然性が薄れていると思う。なんかBOSのサンプルシューズ的に在庫して、売れたら売るみたいな感じなのかな。まぁ、それはそれで戦略として意義があることにも思えるけど。
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