2013年6月30日日曜日

REGAL 01DRCD

早いものでもう2013年も半分終わってしまった。2013年前半に買った靴の中でのベストはリーガルの01DRCDだと思う。

リーガルブランドで販売する日本製の靴は垢抜けないというか、革底の多くはハッキリ言えば野暮ったいものが多くて(ファンのかたスミマセン)、ラストもかかとがガバガバだったり甲がゆるゆるだったりで、なかなかこれといったものに巡り合わないと思っていたけれど、かなり気になるモデルが出ていた。

2013年の新モデル、01DRCD。

アッパーはアノネイのベガノカーフ。土踏まずをこれまでのリーガルとは似ても似つかないほど絞ったややロングノーズなラストと、ありがちなとんがり靴ではない丸めのつま先。そして実は靴作りの実力はかなり高いのではないかと言われている Made in Japan。

出張の帰りに靴紐を買おうとして寄った店頭で気になり、物は試しに足入れしてみたところ、その時はなんとまぁぴったり感がしたので、そのまま購入してしまった。35,700円(2013年6月現在、税込)。

これまで最もバリューな靴はシェットランドフォックスのインバネスだと思っていたけれど、それと甲乙つけがたい。ベガノカーフはさすがにガラス仕上げとは雲泥の差があるし、絞った土踏まずがちょうどいい。革にこだわってスコッチグレイン(革の種類じゃなくて、ヒロカワ製靴のほう)を買っていた層にも受けるのではないだろうか。(ちょうどかかとだけゴムってのもスコッチグレインに似ている)

デザインはチャーチのように無骨なわけでもなく、クロケットアンドジョーンズの337ラストのようにヨーロピアンテイストを感じるわけでもなく、極めて和風。ゼロから作ったと言うよりは2235NAを元にクロケットやグリーンのような繊細な靴を目指していったら途中経過でこうなりました、という感じ。シェットランドフォックスのインバネスに近い。
左がインバネス(サイズ6)、右が01DRCD(サイズ24)。トウの形が似ている。01DRCDのほうがやや大きめでやっぱりリーガルっぽい。

フィッティングはシェットランドフォックスのインバネスに比べると甲が広めだが、かかとはBTOラストより小さめ、インバネスより少し大きめといったところ。つま先は結構余裕がある。インバネスが合う人は、履口周りが少し余るかも。若い人向けと言うよりは、少し年齢層高めの40代後半から50代くらいがメインターゲット?

これが国産キップのBTOラストモデルよりも低い価格で売られていることが驚き。
土踏まずの絞り込み度合いから見るに、それなりに技術のいる作業が発生していそうなのに。
ライニングの革の使い方と、かかとのゴムヒールあたりにちょっとコストダウン的な要素を感じるけれど、ぱっと見それくらい。中底のコルクとかシャンクとか、何か目に見えにくい部分が違うのだろうか。

ステッチは細かくて、とても繊細なイメージ。

あと、ライニングのロゴが小さめなのも良いかも。BTOラストモデルは黒地にREGALの文字が金色ででかでかと、まったくもって品がなく安っぽい。そもそもロゴが文字だけなのに大きくしたものだからなんか安物によくあるロゴの主張みたい。あれを見ると買う気が失せる。
ベガノカーフのおかげなのかシワの入り方など、靴全体の見た目で言えば、BTOラストモデルより格段に良さげ。

ちなみに、靴全体の繊細さという観点でベガノがいいのであって、丈夫さ、シミになりにくさでは国産キップのほうがはるかに軍配が上がる。ベガノはちょっと水滴当たるとシミになる(メンテで回復するが)など取り扱いに気を使う。デイリーユースでガシガシ履くようなパターンだとBTOラストモデルほうが使い勝手よいかも。ただリーガルのキップは品質のばらつきが大きくて、プレーントウのW134はそれほどシワが入らないのに対して、ストレートチップのW131はかなり大味なシワが入るなど、タンナーの品質管理が悪いのか、リーガルの仕入れが大雑把なのかわからないところが、いまひとつこのBTOラストモデルを買い増ししないひとつの理由にもなっている。
W131(多分4年経過くらい)のアッパー。かなり大きな皺が入っている。
ただ、BTOの作りはしっかりしているのは間違いなく感じるし、国産キップは履きこむと意外と柔らかくなるので、履きやすさという点では劣らない。

これのセミブローグ(クォーターブローグ)の02DRCDも欲しいんだけど、少しインステップ部分が緩いのよね。インバネスでこのデザインあれば間違い無く買いなのに。
フルブローグの03DRCDはラウンドトウのオーソドックスなデザインで、タンニン鞣しのベガノの良さが最も表現される靴だとおもうので、これも欲しい。

まっとうな靴を戦略的なプライスで出してきたところに、最近のリーガルの本気度を感じる。
社会人デビューで初めて革靴を買うのであれば、10万円払ってグリーン買うより、このモデルをデザイン違いで3足揃えてローテーションさせたほうがはるかに印象いいだろうな。ストレートチップばっかり買っても良さそう。

サイズ24の靴にシューツリーはREGAL TOKYOオリジナルネジ式のサイズ38を入れている(たまたまこのツリーが余っていた)。この靴は少し幅がある感じなので、いつものディプロマットヨーロピアンよりもこちらのほうがあっている感じ。

メンテナンスはお決まりのサフィールノワールニュートラルとブラックを使っている。2回くらいニュートラルを使った後、ブラックを入れるみたいな。ニュートラルはブラックよりもテカリが少なめな気がする。気のせいかもしれないけれど。
購入して何度かのメンテナンスでワリとすぐに艶が出る。磨いていてなかなか楽しいアッパー。
革のソールもどちらかと言うと減りにくく、シミになることをあまり気にしなければ実用度は高い。

靴の多くは直営店のリーガルシューズやリーガルトーキョーで買うことが多いのだけれど、ブランドに抵抗がない人であれば今回みたいな掘り出し物が時々ある。リーガルシューズ専売モデルではないので百貨店でも売っている。こういうの定番にすれば良いのになと。

だいたい3万円から4万円を出せば、海外の5万円から7万円くらいの靴と同程度のクオリティのものが手に入る。3足買う値段で4、5足買えるので、ラストが足に合えば国産も悪く無いと思う。
リーガルの店頭で販売された靴であれば全国のリーガルシューズで修理を受け付けてくれるのもありがたい。イギリス製モデルとして売り出していたアルフレッド・サージェント製の靴でも修理できたのだが、リーガルの工場にはラストがあるのだろうか?ホームページには販売した全モデルのラストがあると書かれているけれど、これまんまサージェントだし。(内側にリーガルのモデル名と併記して99EXラストの表記がある。表記の仕方もサージェントそのもの)
修理代はちょっと高いけどね(オールソールで1.5~2万円くらい。修理後は紐を交換した上でピカピカに磨いて帰ってくる)

価格は感覚的なものなので、安い高いを議論する意味はあまりないと思うのだけれど、シューツリー込みで4万円程度で買えるというのはありがたい。アンダー4万円の靴としてリーガルはシェットランドフォックスのアスコット(国産キップ、たぶんBTOモデルと一緒)、リーガルトーキョーのW931/935(イタリア製カーフと書いてあるが詳細不明)を展開している中で革の質感はピカイチ。

極めてマジメなモデルで、ぜひこういうコンセプトの靴を定番化してほしいと本気で思う。よくいろんな本や雑誌で「社会人がまず揃えるべき靴」っていう項目があると、1.プレーントウ、2.ストレートチップ、なんて紹介がされているのだから、ぜひこのシリーズでシンプルな外羽根プレーントウを作って欲しいな、って。


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4 件のコメント:

  1. 先日、インターネットで01DRを購入しました。ライニング製造No.部分、モデル名に01DRのみの記載でCDとは表記ありません。Shoe様の靴は如何でしょうか?革質もインバネスに比べキメが粗い印象で何か仕様に変更が入っているのでは、と疑っています笑。確かに踵、くるぶしにかけて余りますね。的確な考察でさすがだと思いました。反り返りつけば、この踵まわりは気にならない程度になると思っていますが、少し動いて擦れます。宜しければご教示ください。

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    1. コメントありがとうございます。

      私の靴でもライニングの表記は「01DR」のみです。
      おそらくリーガルの型番は「01DR」までがモデル名で、「CD」の部分は(当初の)希望小売価格を表していると思われます。リーガルのほかの靴もこのモデル名部分のみがライニングの印字対象になっているようです。
      後半は一桁目Aが1万円、Bが2万円、Cが3万円。二桁目も同様のルールでAが1,000円で、順にB、C、Dで4,000円です。当初の販売時の希望小売価格が税抜き34,000円でしたので01DRCDという品番になっているようです。

      革質は私もインバネスより01DRCDのほうがかなりきめ細かいと感じています。インバネスはアノネイ社ボカルーと表記されていましたが、同じボカルーを使った靴よりもキメが粗い気がします。最近のリーガルは素材についてメーカー名公表をやめているので、こっそり素材変えているのかなという不安は出てきますよね。

      全長が合っていて、甲の緩みが大きくなければ、くるぶし側の空間は履きこむにつれ、あまり気にならないかもしれません。ソールが薄めなので比較的早い段階で馴染むと思います。ヒール底面に少しスポンジ入っているためか若干沈み込みがあるようで、いまでは包み込まれるような感じもしていて結構履きやすい靴という印象です。

      この靴、いいですよね。
      この1カ月くらい、なぜか01DRCD関連へのアクセス数が多いので、結構注目されている靴なのかもしれません。

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    2. 御多忙の中、大変ご丁寧に誠にありがとうございました。CDの表記の点、大変驚きました。あるのですね、そうゆうのが。本当にお詳しい。勉強になりました。また、お陰様で踵まわりは、これからの変化の期待がもてました。履くのが楽しみな靴です。ヤハズをなるべく維持したいのでスチール入れましたが、やはり私の歩き方だとかなり滑ります。ゴムのほうが好きですが、ここは、この靴の履きおろし前の考えどころでした。仰るとおりコスパは、かなり高い靴だと実感しております。またお持ちの同靴のアップデートございましたら是非、ブログで教えて頂きたくお願い申し上げます。

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    3. コメントありがとうございます。

      私の01DRCDはもう購入してから5年くらい経過していて履いた回数も多いにも関わらず、ソールはもう少し持ちそうで、アッパー側も古さを感じません。最近シャンクがなり始めた気がしつつも、全体的には良い状態をキープしているように思えます。
      購入当初は華奢な印象を受けましたが、結果、問題なく永く履くことができている靴です。

      01DRCDについては、最近アクセスが増えていることもあり、その後についても書いてみようと思います。いつものことで、書き始めてから公開までに月単位を要する筆の遅さのため秋くらいまでには... というのんびり予定なので、また思い出したころに見に来てもらえればと思います。

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