2014年1月6日月曜日

Perfetto LGW3001

2014年、初出勤に履いた靴はペルフェットのLGW3001だった。

ビジネスシーンにおいてはかなりの割合でキャップトウ(ストレートチップ)を履くことが多い。
つま先のキャップのみといったシンプルなデザインであるからこそ、ラストによる形の違いが靴そのものの印象を決める。
手持ちのキャップトウの中でも、おとなしめのデザインなのがこのペルフェットLGW3001。

ペルフェットといえばその名前からも想像できるように、イタリアンテイストな色気のある靴が多い。ネットで紹介されている靴もややスクエアなロングノーズが多く、またメダリオンも独特だったりとかなりデザインで攻めている印象が強いブランド。イルチアのPalatinoなんてもう格好良すぎてビジネスシーンでは靴が目立ちすぎるくらい。

ところがこのLGW3001は極めてオーソドックスなキャップトウ。特にモデル名もなく、箱にも単に型番だけ書いてある。全くロングではないややアーモンドの丸めのトウで、僕のイメージにあるペルフェットらしくない。イタリアよりもイギリス寄りの雰囲気を持つ靴。アッパーもボックスカーフとちょっと見た限りではあまりにも主張が無く、お行儀が良い感じ。
ダークネイビーのスーツを着て、ツイルのホワイトシャツに紺系のストライプタイと言ったもう教科書そのままのスタイルにはやっぱりこんな靴が似合う。(僕はハズシができる度量もセンスもないので)

どうもペルフェットはよく引き合いに出されるCampidoglioの「P」をモチーフにしたメダリオンの印象が強すぎる。靴って左足右足で対称になるようにデザインしたほうが美しいと思うし、そもそもブランドをイメージするような意匠をデカデカと入れる発想が安っぽい。ディフュージョンラインじゃないんだから。イタリアンテイストな国産グッドイヤーというイメージができているようだけど、このLGW3001を始めとした3000番台のモデルを見ると、モダンクラシック志向を感じる。

さてこの靴、よくよく見てみると、丸すぎないアーモンドなトウ、やや低めの甲、気持ち小さめのかかとなど単なる古典的なデザインの靴ではなくイマドキっぽさが垣間見える。ソールはフィドルバックにヒドゥンチャネル、真紅の半カラス仕上げ、おまけにピッチドヒールと無駄に(?)こだわりがあって、そういう意味では洒落た靴。一見ふつうに見えて実は... という意外さ。
ほとんど気づかれないピッチドヒール。なぜこのデザインの靴に採用されたのだろう。

全体的にコンパクトで、最近多いトウ長めの同サイズ国産靴とくらべると同じサイズと思えないくらい違いがある。
リーガルの01DRCD(サイズ24)とLGW3001(サイズ5 1/2)を比べると、長さだけでも1cm近く違う。(もっとも履いた感じも01DRCDのほうが確かに緩い)コンセプト的にはREGAL TOKYOのローラに近いが、ローラより圧倒的にコンパクトな外観をしている。小さめの足の人で少しでも足を大きく見せたいような人は絶対に止めるべきデザイン。

ソールをみると仕上げがなんとなくシェットランドフォックスのケンジントンに似ている。ややアーモンドなトウがぽっこりとしている造形も似ている。ケンジントンもビナーセーコー製と言われているけれど、これ、ケンジントンのラストを少し変えてグッドイヤーで作りなおしたような靴。カラス仕上げの質の悪さなんかもケンジントンに非常に似ている。サイズもケンジントンと同サイズで問題なさそう(こっちのほうが少しつま先がキツイ気もするけど)。ビナセーコー製はイギリスサイズで考えるべきだろうか。
この色はかなり格好いいと思う。仕上げが雑な感じがするけど。

足入れした感じでは一の甲から三の甲にかけて低めでかかとも気持ちコンパクト。デザイン的に同ブランドのロングノーズ系(パラティーノなど)よりはやや甲にゆとりをもたせているっぽい感じもするけれど、それでも相当抑えが効いている。

ボールジョイントからカーブに入る位置が少し先なのか小指の先は痛いほどには当たらない。その代わり足長が長い左足だけ薬指の先端があたっている(ふれている)気がする。ノーズが短いせいか捨て寸が短くカーブに入ると外側が結構急カーブしているのかもしれない。ただ、先端に行くほど詰まる感じはそれほどでもなく、クロケットアンドジョーンズの337ラストよりもエジプト型寄りの造形に感じられる。全体的にはよく言われる「点で当たる」という感覚はあまりなく「面で当たる」という感覚。
土踏まずが少し高めで内側から支えられている感じ。アーバインのように(といっても試着したことしか無いけれど)足裏全体が包み込まれているというよりは、土踏まずがせり上がっている。ボールジョイント両サイドと土踏まずの3点で支えられるような印象。
履口が笑うことがないので、土踏まずから後ろのインステップはちょっとゆとりを持たせて、かかとに向かってやや絞っているっぽい。インステップ外側が少しゆとりがある分かかとにもそのゆとりが少し残っている。もう少しつかみが欲しいところか。全体的には足幅ふつうで甲低めの人に合うんじゃないかと。
ノーズが短く素足での足長と靴の先端とのギャップが小さいため、なんだかやたら歩きやすい。ノーズが長いとつま先がそれとなく意識されてしまうシーンがあるけれど、LGW3001はそういうシーンは少ない。

とてもコンパクトな外見から想像されるとおりフィッティングもタイトで、比較的すぐに馴染むとはいえ、革が馴染むまでは指にマメができた。ヒールカップも芯がかなりしっかりしていて、大きい方の左足にマメができた。
ただでさえノーズが短く、おまけにかなりタイトなフィットで買ったもんだから最初はサイズミスをしたかなとさえ思ったものの、履き慣れてくると見た目ほどに小ささを感じない靴。ゆとりをもたせるところは緩くならない程度にサイズを取って、絞るべきところは絞るメリハリのある造形。小さいと言ってもリーガルBTOラストのDウイズ(W131/W134)よりは先づまり感が少なく、また気持ちかかとが小さいため僕の足型に近いと感じる。

インソール、かかとのあたりにはスポンジがあまり入っていない。比較的固めの印象。チャーチやアルフレッド・サージェントあたりの全体的にかなりふかふかなインソールと比べると3001はやや硬派。歩いた時もソールのコツコツ感が伝わりやすい。

とまぁ、この靴はタイトであるがゆえに馴染むまでに多少の苦行をもたらす靴だった。

アッパーはウエインハイムレダー(ワインハイマー)のボックスカーフ。
おそらくペルフェットでは先頭3文字目のアルファベットがタンナーを表している。Wが Weinheimer Leder、Dが du Puy、Iが Ilcea だと思われる。モデル名が付いている靴(パラティーノなど)はカラー表記の先頭に付いている文字がタンナーだと思う。
僕の(あまり信用ならない)感覚では、購入当初は極めてフラットな質感だけれど、お手入れを繰り返すうちに艶が出てきて、それ以降は比較的つやつやな感じをキープする革。こういったムラのない均質な色こそ保守的なキャップトウにはきわめてマッチする選択だと思う。
よく言われるアノネイのボカルーのような「透明感のある」ブラックというよりは、みずみずしいながらももう少し表面に近いところで鋭く光るような感じ。雨ジミ耐性もボカルーより高い。

手入れはサフィールノワールクレム1925のブラックで。ふつうの靴にはふつうのメンテが合う。基本は超薄塗り、回数多め。ボックスカーフはしっかりクリームが入ってくるとしっとりとした雰囲気になる。購入時に店頭で見るのとではまったく別物。
ペルフェットは同一モデルで革違いということがあたりまえのようにあるので、購入場所とか時期によってアッパーの革は変わるかもしれない。逆に言えば、シェットランドフォックスのケンジントンのように革の供給がなくなった途端に製造中止ということもなさそう。

ツリーはディプロマットヨーロピアンの39を入れている。
ほぼバネが閉じきるのでもう少し小さなツリーがいいとは思うけれど、リーガルトーキョーのツリー38(たぶんコルドヌリ・アングレーズのOEM)は入る気配がなく、同じく38のサルトレカミエSR300だと入るには入るがかなり無理矢理なので靴に悪そう。同じサルトレカミエのSR200とSR100は両方ともボールジョイントの内側が足りない。僕は親指付け根にシワができるのでそこが伸びないと物足りない。ネジ式(SR300)のサイズ感からすればサイズが小さすぎるということはなさそうなので、サルトレカミエはいまひとつ内側のボリュームが足りないと思う。
ディプロマットヨーロピアンを入れたところ。バネが閉じきっている。

ペルフェットの最大の難点は国内メーカーなのに有名ドコロのインポートものより入手が困難なところ。
おまけに情報もほとんどなく、ビナセーコーのホームページを見てもまったくと言っていいほど情報が無い。ラストの特徴どころか商品ラインナップの片鱗すら見られない。独自ブランドで売る気があるのかと思うレベル。
ビナセーコーはOEM屋さんなので自社ブランドを力入れすぎると問題があるのかな。
まともに試着できるのは伊勢丹かクインクラシコ、ワールドフットウェアギャラリーあたり。阪急にも専売モデルがあった。(伊勢丹も専売モデルかも。よく見てないので不明。あと、どうでもよいがクインクラシコさんのウェブショップは商品名間違えすぎ、PalatinoとCampidoglioです)

ペルフェットは4万円以上のラインは定評のある素材をアッパーに、日本ブランド得意のていねいな作りとかなりコストパフォーマンスが高く、またラストも自分の足にはまぁまぁ合うので間違いなく満足度はトップクラス。国内で関税上乗せのスペインあたりの靴を買うよりもいい買い物のように思える。(デザインやラスト、ブランドの好みがあるので一概には言えないけれど)
ロングノーズがお好みの人にはPalatino(パラティーノ)やCampidoglio(カンピドリオ)もある。少し雑誌などで話題が先行している感があるけれど、実際に良い靴で、クロケットアンドジョーンズのハンドグレード買うお金にちょっと足すだけで2足買えるしで、もっといろんなところで売っていてもいいと思うんだけどなぁ。

2013年12月22日日曜日

雨に降られた靴をケアしてみた - Shetland Fox Inverness -

僕はあまり天候を気にせず靴を履くので、たいていの靴は何度か雨に降られている。
先日は雨に弱いと言われる仏アノネイ社ボカルーをアッパーに使ったインバネス3029SFが雨に降られた。
雨(というか水)に弱いと言われるアニリンカーフだけに、降られた直後のアッパーは情けないくらいに雨ジミが目立っている。

あえて靴にダメージを与えるような履き方をする必要は無いけれど、やっぱりお気に入りの靴はそれを履きたいときに履きたいわけで、余程の大雨でない限りは気にしないで履いてしまう。「雨の日は脱いで小脇に抱えて裸足で歩く」ような靴は僕にはもったいない。

このボカルー、濡れて水ぶくれになるのは百も承知。でもきちんとお手入れするとほとんど元に戻ることもわかっている。今回も適当に乾かしてお手入れしたら元に戻ってしまった。

濡れた日は表面の銀面を痛めないように、軽くティッシュで水分を拭き取っておくだけ。2日ほど経ってからブラッシングで表面の汚れを落としてから雨や泥水を落とす意味も含めて堅く絞ったタオルで軽く拭う。
拭きとった直後。
アニリンカーフは水に弱いので、水気のあるタオルで拭き取ると結構色がタオルに移る。ブラックのクリームを入れるのであまり気にしていないけれど、ひょっとしたらこの工程は革に良くないのかもしれない。
拭きとった後はボカルーお得意の透明感のある鈍い艶感がなくなり、かなりさらっとした表情になる。この時点でクリームもかなり落ちてしまっている感じ。透明感の維持ということだけ見ると濡れないまま維持し続けた場合と差が出るのかな。

拭った直後、今回はサフィールノワールのレノベイタークリームを入れる。デリケートクリームでもどちらでも良いのだけれど、少し保湿しやすいかなという気分の問題。
レノベイタークリームはモゥブレイのデリケートクリームと同じラノリンをベースに、ミンクオイルと蝋が加えられている。これ単独でもお手入れ十分なクリーム。

レノベイタークリームを塗ってブラッシング。あまり強烈な艶はないけれど、上品な雰囲気に。革の素材感を活かした仕上がりなのでこれはこれでありだなぁ。長期保管するような場合はこれで十分なんじゃないかと。

次の日にソールにコンディショナーを塗って、いちばん濡れて油が抜けたと思われるソールを保湿。その後サフィールノワールクレム1925ブラックでアッパーの仕上げ。濡れたり水拭きで落ちた色を補色する感じで。すでにクリームはレノベイターが入っていると思うので、ここはいつもどおり超薄塗り。シワの部分は塗るというよりはていねいに指で上から押し込むような感じ。
塗り終わったらシワの部分のクリームを落とすことと、革の繋ぎ目にもある程度クリームが入るように軽くブラッシング。
しばらくおいてからネル生地でひたすら磨く。余計なクリームを落とすというよりはどちらかと言うと艶を出すためにやっているので、気が済むまでやって終了。

雨ジミがほとんど目立たなくなって、ボカルーのいい感じの艶感が復活。
ちょうどきれいになったことだし、今年はもう出番ないかな。

よく見ると雨ジミ残っているのだろうけれど、それも含めて靴の魅力が増えていくと(勝手に)思っている。新しい靴では得られない靴の奥行きを出すのに雨が手伝ってくれていると思えば、雨に降られるのも悪くない。



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2013年12月7日土曜日

REGAL 01DRCD が半年経過した

アクセス数を見ていたら、最近はREGAL 01DRCDへのアクセス数がいちばん多い。

01DRCDは仏アノネイのベガノカーフを使ったシンプルなキャップトウ。
実はちょっとロングノーズなアーモンドトウという微妙なバランスで、これまでのリーガルに比べると控えめな甲とかかとといった感じ。土踏まずを絞る一方で、ボールジョイントから先はゆとりがある。

11月の値上げでちょっとだけ高くなっちゃったけれど、それでもアンダー4万円の靴としてはかなりお買い得なのではないかといまでも思う。このシリーズはクオーターブローグ(02DR)やフルブローグ(03DR)など定番ドンピシャのラインナップで、どれも購入意欲をかきたてる。

惜しいのはヒールがゴムなところ。やっぱりレザーソールの靴はヒールまで革のほうが絶対的に格好いい。ただゴムヒールはビジネス上での実用を考えるといいのかもしれない。ユニオンワークスでもヒールをゴムに変えるリペアの人気があるという記事もあったくらいだし。ドレスシューズというよりはビジネスシューズという言い方のほうが合っている。

アノネイのアニリンカーフは雨に弱いというのはよく言われることで、確かに水滴があたって中途半端に乾くと情けない水ぶくれのようなシミになる。乾くと目立たないとはいえ、やっぱりよくみるとシミができているので、やっぱり雨には弱いと感じる。
ただ、ブラックであればきちんと手入れさえすれば気になるほど(すぐに分かるほど)ヒドイものでもないので、それほど天気を気にして履く靴でも無いのかなと思う。この靴はビジネスシューズなのだから。

僕の01DRCDも半年が過ぎて、やっと自然な履き心地になってきた。だいたい週に1回弱くらいのローテーションなので、現時点で30回くらい履いたことになる。この靴は購入当初から光りやすいけれど、より深い感じが出てきたような気がする(気がするだけかも)。全体的に柔らかくなってきたこともあり、また少し緩く(といってもガバガバではなく)なってきたのでデスクワークの時などはほとんど意識しなくなる。

クリームはサフィールノワールクレム1925。購入当初はニュートラル主体で、3か月経過後くらいからブラックを主に使っている。ソールは気が向いた時にシェットランドフォックスのソールコンディショナーを軽く塗る程度。

購入当初3か月くらいは極力雨に降られないようにしていたこともあり(それ以降はほとんど気にしないので何度か降られている)、ソールもつま先が減ったくらいでまだ大丈夫そう。

同価格帯のリーガルと比べると、全体的にやや華奢な印象を受ける。やっぱり2235NA/2236NAあたりの半端ない頑丈さに比べたらへたるのも早いんだろうなと。どちらかと言うとBTOラストモデルのW12xシリーズは頑丈っぽさを感じるけれど、01DR/02DR/03DRはもう少し繊細。ガシガシ履くような場合はBTOラストのほうが良いかもしれない。

釣り込みが少し甘いのか足に合っていないのか、土踏まずのあたりが歪んできている。
この価格帯にしてはかなり絞りこまれたウエストなので致し方ないところもあるのかな。他の靴ではここまでシワが入ることはない。全体的に型くずれしやすいのではないかとも感じる。ここはオールソール時にどのように戻ってくるかが気になるところ。

01DRCDはどちらかと言うとこれまでのリーガルブランドの路線とは異なり、有名タンナーの名前を出してオーソドックスに仕上げた靴。ただ、この手の靴を買う人達は既にシェットランドフォックス買っているだろうから、あえてリーガルブランドで出す意味がいまひとつ不明ではあるけれど、今後もこのくらいの価格帯で長く付き合える正統な靴をどんどん出して欲しいと思う。


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2013年12月1日日曜日

リーガルリペア

ヒールのリペアに出していたY411が帰ってきた。

今回はヒール交換とつま先の補修、かかとの内側ライニングの補強をお願いした。

待つこと1か月くらい、リペア完了で帰ってきた靴は新品同様とはいかないまでも、きれいに磨かれて靴紐も交換されて戻ってきた(元の靴紐も戻ってくる)
雨の日も風の日も、メンテサボリ気味の時期もあったけれど、愛着の湧いた靴がリペアされて戻ってくるとまた感慨深いものがある。

もともとこの靴はアルフレッド・サージェントのOEMで間違いないと思うけど、そうした靴でもリーガルの看板で売ったものはきちんとリペアを受け付けてくれる。(同じサージェント製のオールソールも経験済み)
いまはネットでもリペアを受け付けてくれるところはたくさんあるし、出張ついでにそうしたショップに依頼すれば(返送は宅配便で)いいのかもしれないけれど、わざわざそんな手間なく全国県庁所在地にはほぼあると思われるリーガルショップで受け付けてもらえるのはとてもありがたい。
リーガルブランドのものは製造時の木型が工場にあるらしいのでオールソールするなら純正のメリットが大きいと思う。

パーツは純正の在庫があればもちろん純正。
アルフレッド・サージェント製のときは似たようなソール交換になる。購入当初はブラウンのソールだったが、指定をしなかったらカラス仕上げのソールになって帰ってきたことがあるので、リーガル製以外はなんとなくイメージで決めているのだと思われる。(アッパーがブラックならソールもブラック、ってところか)

仕上がりはとてもていねい。
コバも塗りなおしてくれるので、ヒールを交換したことがわからないくらい自然に仕上がっている。
つま先の補修をみても変な段差は無く、色目の近いものが貼られている。
リペア前の写真が無いので比較できないけれど、そこそこすり減っていたことを忘れてしまう感じになっている。つま先だけ見たら新品っぽい。

なんといってもていねいさを感じるのはかかとのライニング。
革を単に上から縫うのではなく、境目は薄く漉いて貼られている。サージェントっぽさがある手書きの型番標記が半分なくなって、おまけに「MADE IN」で切れてしまいせっかくの売りである「England」が見えないがそんなことは大したことではなく、むしろ同じような素材で段差なく補修されていることのほうが好感触。多少すり減っていたかかとがきれいに元通りになっている。

リペアは決して安くはないので、経済的に靴を長持ちさせるというよりは愛着のある足に馴染んだ靴を長く履けるようにするというところに意味があると思う。

2013年11月17日日曜日

Shetland Fox 3043SF KENSINGTON

シェットランドフォックスで現在入手できる唯一のローファー3043SF(Kensington)
すでにケンジントンは生産中止ということで、在庫限りとなっている。

ケンジントンはシェットランドフォックス渾身の製品だっただけに、おそらくこのまま廃盤になるであろうと思われるのはとても残念。

レースアップのケンジントンはノーズも短く感じられてややコンパクトな雰囲気だけれど、このローファーは意外とロングノーズに見えるのが不思議なところ。ややボリュームのあるトウがこれまたローファーに合っている。
モカシン縫いもていねいなスキンステッチで美しい。

フィッティングは紐がない分甲のあたりがかなりタイト。
初日はあまりにも甲が痛くて4時間着用で歩けないくらいになった。
毎週履いているとだんだんと馴染んでくるのだけれど、1ヶ月くらい間をおいてしばらくぶりに履くと一日の終りには結構痛くなるので、まだまだ履き慣れていないというところ。通算で十数回くらい履いていてそんな感じ。革が伸びることはあまり心配しなくても良さそう。
またこの靴はシューツリーをきちんと入れておくときっちり皺が伸びる。ラディカ皺が残りにくい気がする。

ローファーは紐で調整できない分、購入当初はかなりタイトなものを選ぶべきといわれていて、そのせいなのか実際に靴の作りも同ラストである3014SFに比べて甲はややタイト。比較的甲が薄い僕でもこれだけ痛くなるので、本来ケンジントンにピッタリ合う足を持っている人だと、なれるまでに相当な時間がかかるかもしれない。(僕は、3014SFだと羽根が数ミリしか開かないので、甲というか周囲はそれほどあるとは思えない)
また、捻れ具合も少し控えめでケンジントンにしては直線的。

甲はキツキツだけれど、さすがケンジントンラストだけあって指周りは全く窮屈さを感じない。本当にケンジントンは良ラストだと思う。ラストが良いと紐がなくてもかかとも抜けず歩きやすい。

ケンジントンのローファーはもともと色違い(ベージュ)を持っていて、その履き心地がかなり気に入っていて結局色違いで二足揃えてしまった... そのくらいこの靴は気に入っている。(生産中止だし、ブラックも買おうかと思うほど)

アッパーのイルチア社ラディカは特にブラウン系の色がわかりやすく格好いい。
濃淡があるため表面が立体的に見えて、また艶やかな革。クリームを上手に塗らないとクリーム自体がしみになりかねないので薄塗りでていねいに塗ることが大切かも。
ただ、リーガルに入ってくる革はあまりグレードが高くないのか、ところどころ鮫肌だと思うくらいザラザラしていたり、乾燥肌のようにヒビが入っていたりする。イルチアのゴタゴタが革に現れていることがよく分かる。
リーガル(ビナセーコー?)の職人さんがなるべくアッパーには綺麗な部分を、目立たない部分に質の悪い部分を割り当てているようだけれど、質の悪い部分が多すぎてカバーしきれていない感じ。(バイヤーがそれを承知で買っているのだからしかたないけど...)

ラディカ独特のムラ感で懐が広く、オシャレ感度が低い僕でも合わせやすく、ジーンズからコットンパンツまで不思議とキマってしまう。使い回しの良い靴。

ケンジントンのローファーはBASSあたりが作るローファーとは根本的な方向性が違って、どちらかと言うと上品なスタイルに合うと思う。
トウにもかかとにもしっかりと芯が入っていてよくあるコインローファーよりもフォーマルよりの雰囲気を出している。
ラディカの入手難で生産中止となったこの靴も、国産キップの焦がし仕上げでもすれば十分格好いいのにな。もうシェットランドフォックスではローファーはレギュラーのラインナップに存在しないし、リーガルブランドでもまともな茶系のローファーはなかなか見当たらないので、サイズが合う人は一度現物をみて足入れしてみると良いかも。

ラディカは雨に濡れるとシミが出てしまう。ただ、適当に乾かしてクリームを塗るとほとんど元通りになることが多い。たまに残るシミも、またそれはそれで靴の味でもあるので、あまり神経質に手入れをする程でもないかなと。ソールも耐久性があり、意外と濡れた路面にも強いようなので、あまり天候を気にせず履けるのが良い。(ちなみにこのソール、製造元のビナセーコーが出しているペルフェットでも同じものが使われているモデルがある)

お手入れはサフィールノワールクレム1925のニュートラルを使っている。クリームを塗りこむとき、布に色が少し移るので徐々にアッパーの色は落ちていると思う。ローファーなのであまりつやつやさせたくないこともあってメンテナンス頻度が少ないことと、少し明るくなってもいいかなと思っているので今のところあまり補色は考えていない。

ところでこのローファー、いつになっても専用シューツリー(_291)がきつくて入らない。
おそらくは甲の部分がタイトすぎて、ツリーの前半部が奥まで入っていないからだと思っている。冒頭の写真でも純正キーパーSのバネがかなり閉じている。
専用シューツリーの検品時には実際の靴に入れてチェックしているみたいなので、理屈上は入るはず。日比谷のシェットランドフォックスでも展示品の3043SFに専用ツリーが入っている。ただ、これを無理やり入れてしまうと、せっかくのタイトなフィッティングが緩くなりそうなのでいまのところバネ式使っている。なんだかなぁ。

2013年10月26日土曜日

靴なんだからキズくらいつくでしょ

靴を磨こうと手にすると、ときどきつま先に結構なキズがあることがある。
今回3048SFを磨こうとしたら、身に覚えのないキズが両足についていた。
なぜか両足とも真ん中より外側に同じようについている。
前回履いた時についたキズなんだろうけれど、どこでついたのか記憶が無い。

こういう時こそメンテナンスのし甲斐がある。

僕は鏡面仕上げをしない人なので、つま先やかかとに擦れたキズが入ることはままある。キズが入ったり雨に降られたりは、ちょっとていねいにメンテナンスするいい機会だ。

今回もいつもどおり使うのはサフィールノワールクレム1925。
このクリームは日常のお手入れから、こうしたちょっとした補修目的まで、本当に便利。
キズの補修目的なので靴と同色のブラックを使う。

まず、クリームをいつもより多めの量を取り(今回の程度であれば爪楊枝の頭くらい)キズに塗りこんでいく。塗りこむときははじめはソフトに、次第にキズをならすような感じでぬりぬりする。

待つこと10分。ここでいったんクロスで磨いてみる。

このくらいでほぼキズは目立たなくなる。

あとはふつうのメンテナンス。
傷ついたトウも含めていつもどおりにクリームを塗って、ブラッシングする。今回は最後にクロスをひたすら(と言っても2、3分)かけて終了。


つま先のキズもほとんど目立たなくなっている、というかキズがあることがわからないくらい。


こんな感じで元通りになるので、お気に入りの靴はどんどん履いてしまう。

今回メンテナンスしたシェットランドフォックスの3048SFのアッパーに使われているフラスキーニ社のチプリアは、もともと擦り傷に弱い感じがあるのだけれど、クレム1925を少し多めに塗って磨くと結構回復する。僕はクリーム超薄塗りが基本なので最近まで気がつかなかった。
逆に言えば、この特性は比較的靴のメンテナンス経験が浅く、クリームを多く塗りすぎてしまう人にとっては有利に働くと思うので、シェットランドフォックスの中では比較的エントリー価格に位置するグラスゴーでチプリアが採用されているのはひょっとしたら意図的なのかとも思えてくる。

ま、いずれにしても「靴なんだからキズくらいつくでしょ」という軽い気持ちで考えている。

キズが付いたり雨に濡れたりしても、きちんとメンテナンスすることを繰り返して、新品の靴では絶対に得られない味が出てくるのではないかと。時間の経過とともにみすぼらしくなるのではなく、なんとも言えない奥深な味が出てくるから靴磨きって楽しいんだよなぁ。


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2013年10月12日土曜日

Shetland Fox 502F EDINBURGH

イルチア入荷が無くなって、既に在庫のみの販売になっていると思われる伊勢丹別注エジンバラ、502F。

セミスクエア外羽根クオーターブローグという中途半端(だと思う)なデザインの靴。
ただ、この中途半端さのおかげで、アンタイドなスタイルにも合うので意外と重宝する靴。

アッパーのラディカカーフはブラックだとその艶やかでエレガントな雰囲気がスーツに合い、ブラウンだとムラ感のある立体的な表情がキレイ目カジュアルに合う趣きのある革。シェットランドのイチオシであったのに、入手困難になり今後は使われることは無いだろうと思われる。いま(2013年10月)ならまだイセタンメンズで手に入るのかな。

外羽根エジンバラは内羽根に比べてややボールジョイント周りが緩く、全体的に大きいような気もするけれど、誤差の範囲かな。この緩さのためシワの入り方がイマイチになってしまっている。

ブラックの502Fはセミスクエアでメダリオンのないトウだけをみるとドレッシーだけれど、ギザつきタンの外羽根ブローグはカジュアル感強めと、最初に見たときは違和感ありありだったのが、実は絶妙な立ち位置にある靴なのではないかという気がしてきた。
502Fのタン部分。ギザ付きブローグのためカジュアルな印象。

そもそもこの靴に惹かれたのはこの半端感で、キャップトウでは堅すぎて、セミブローグではビジネス感出過ぎで、フルブローグだと行き過ぎだなと思われるきわめてニッチなスタイルに合いそうだなと。アッパーのおかげもあるのか、外羽根でありながら色気を失っていないところがいい。
ま、個人的にはこの定番から少し踏み外したデザインが気に入ったのだけれど、こういうケースは極稀で、この靴が気に入ったのは偶然の産物だと思う。

ビジネスユースのため、もう少しムラ感は抑えられている方が良いかな。時々ブラックのクリームで手入れをしているけれど、なかなかムラ感が落ち着かない。
キャップの部分に白いムラがある。ブラックのクリームを使い過ぎると、この何とも言えないワインっぽい色が無くなりそうなので5回に1回くらいしかブラックを使っていないけれど、もう少し頻度を増やそうかなとも思う。

シェットランドフォックスはよくも悪くも定番から少しズレた商品展開をする。
やっぱり定番といえば内羽根キャップトウ、内羽根セミブローグ、内/外羽根フルブローグにプレーントウかVフロントあたりじゃないかと思うのだけれど、このラインナップに近いものを揃えているのはアバディーンとアーバインくらい。しかしアバディーンはロングノーズで見た目が定番とは言いがたい(ただ、この靴はエレガントなのでやはりキマるシーンがある)し、アーバインはせっかく見た目はド定番なのにどういうマーケティングからそのラストになったのかと問い詰めたい。だいたい甲が緩いという評価に対してタンパッドで修正ってのが安易すぎる。「ミリ単位」でラストを作っているのではないのか。
一方でラストが人気のインバネスは格好良いのか悪いのか解らない3030SFだとか、ビジネスでもカジュアルでも履くシーンが全く想像できない3033SFだとかだし、このエジンバラにしても当初は他に内羽根プレーントウ(ブローグあり)で、キャップトウが出たと思ったらカラグレインカーフと、実験でもやっているのかと思う。

国産靴に4万も5万も出して買うような人たちは比較的オーソドックス寄りかと思うのだけれど、もうそういう頭のカタイ人はBOSかREGAL TOKYOの九分仕立て作ってって感じなんですかね。
むしろこういうヘンタイ仕様のデザインが欲しい人ほどオーダーって感じだけど。

イルチアを使った靴は生産中止方向だから伊勢丹別注モデルもリニューアルか在庫限り打ち切りかどちらかなんだろうけれど、エジンバラのニーズは結構あるだろうから今度はボックスカーフで作ってくれないかなぁ。そうしたらキャップトウ追加で買っちゃうかも。