2013年12月22日日曜日

雨に降られた靴をケアしてみた - Shetland Fox Inverness -

僕はあまり天候を気にせず靴を履くので、たいていの靴は何度か雨に降られている。
先日は雨に弱いと言われる仏アノネイ社ボカルーをアッパーに使ったインバネス3029SFが雨に降られた。
雨(というか水)に弱いと言われるアニリンカーフだけに、降られた直後のアッパーは情けないくらいに雨ジミが目立っている。

あえて靴にダメージを与えるような履き方をする必要は無いけれど、やっぱりお気に入りの靴はそれを履きたいときに履きたいわけで、余程の大雨でない限りは気にしないで履いてしまう。「雨の日は脱いで小脇に抱えて裸足で歩く」ような靴は僕にはもったいない。

このボカルー、濡れて水ぶくれになるのは百も承知。でもきちんとお手入れするとほとんど元に戻ることもわかっている。今回も適当に乾かしてお手入れしたら元に戻ってしまった。

濡れた日は表面の銀面を痛めないように、軽くティッシュで水分を拭き取っておくだけ。2日ほど経ってからブラッシングで表面の汚れを落としてから雨や泥水を落とす意味も含めて堅く絞ったタオルで軽く拭う。
拭きとった直後。
アニリンカーフは水に弱いので、水気のあるタオルで拭き取ると結構色がタオルに移る。ブラックのクリームを入れるのであまり気にしていないけれど、ひょっとしたらこの工程は革に良くないのかもしれない。
拭きとった後はボカルーお得意の透明感のある鈍い艶感がなくなり、かなりさらっとした表情になる。この時点でクリームもかなり落ちてしまっている感じ。透明感の維持ということだけ見ると濡れないまま維持し続けた場合と差が出るのかな。

拭った直後、今回はサフィールノワールのレノベイタークリームを入れる。デリケートクリームでもどちらでも良いのだけれど、少し保湿しやすいかなという気分の問題。
レノベイタークリームはモゥブレイのデリケートクリームと同じラノリンをベースに、ミンクオイルと蝋が加えられている。これ単独でもお手入れ十分なクリーム。

レノベイタークリームを塗ってブラッシング。あまり強烈な艶はないけれど、上品な雰囲気に。革の素材感を活かした仕上がりなのでこれはこれでありだなぁ。長期保管するような場合はこれで十分なんじゃないかと。

次の日にソールにコンディショナーを塗って、いちばん濡れて油が抜けたと思われるソールを保湿。その後サフィールノワールクレム1925ブラックでアッパーの仕上げ。濡れたり水拭きで落ちた色を補色する感じで。すでにクリームはレノベイターが入っていると思うので、ここはいつもどおり超薄塗り。シワの部分は塗るというよりはていねいに指で上から押し込むような感じ。
塗り終わったらシワの部分のクリームを落とすことと、革の繋ぎ目にもある程度クリームが入るように軽くブラッシング。
しばらくおいてからネル生地でひたすら磨く。余計なクリームを落とすというよりはどちらかと言うと艶を出すためにやっているので、気が済むまでやって終了。

雨ジミがほとんど目立たなくなって、ボカルーのいい感じの艶感が復活。
ちょうどきれいになったことだし、今年はもう出番ないかな。

よく見ると雨ジミ残っているのだろうけれど、それも含めて靴の魅力が増えていくと(勝手に)思っている。新しい靴では得られない靴の奥行きを出すのに雨が手伝ってくれていると思えば、雨に降られるのも悪くない。



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雨に濡れたあと乾かすと革が硬くなる。こういう時はクレム1925のような油性のクリームより、レノベイターのような回復系のクリームが重宝する。いいクリームだと思うけれどなぜかあまり話題に上がらない。

レザーソールにはソールコンディショナーを。ひび割れを防ぎ、ソールが長持ちします。

2013年12月7日土曜日

REGAL 01DRCD が半年経過した

アクセス数を見ていたら、最近はREGAL 01DRCDへのアクセス数がいちばん多い。

01DRCDは仏アノネイのベガノカーフを使ったシンプルなキャップトウ。
実はちょっとロングノーズなアーモンドトウという微妙なバランスで、これまでのリーガルに比べると控えめな甲とかかとといった感じ。土踏まずを絞る一方で、ボールジョイントから先はゆとりがある。

11月の値上げでちょっとだけ高くなっちゃったけれど、それでもアンダー4万円の靴としてはかなりお買い得なのではないかといまでも思う。このシリーズはクオーターブローグ(02DR)やフルブローグ(03DR)など定番ドンピシャのラインナップで、どれも購入意欲をかきたてる。

惜しいのはヒールがゴムなところ。やっぱりレザーソールの靴はヒールまで革のほうが絶対的に格好いい。ただゴムヒールはビジネス上での実用を考えるといいのかもしれない。ユニオンワークスでもヒールをゴムに変えるリペアの人気があるという記事もあったくらいだし。ドレスシューズというよりはビジネスシューズという言い方のほうが合っている。

アノネイのアニリンカーフは雨に弱いというのはよく言われることで、確かに水滴があたって中途半端に乾くと情けない水ぶくれのようなシミになる。乾くと目立たないとはいえ、やっぱりよくみるとシミができているので、やっぱり雨には弱いと感じる。
ただ、ブラックであればきちんと手入れさえすれば気になるほど(すぐに分かるほど)ヒドイものでもないので、それほど天気を気にして履く靴でも無いのかなと思う。この靴はビジネスシューズなのだから。

僕の01DRCDも半年が過ぎて、やっと自然な履き心地になってきた。だいたい週に1回弱くらいのローテーションなので、現時点で30回くらい履いたことになる。この靴は購入当初から光りやすいけれど、より深い感じが出てきたような気がする(気がするだけかも)。全体的に柔らかくなってきたこともあり、また少し緩く(といってもガバガバではなく)なってきたのでデスクワークの時などはほとんど意識しなくなる。

クリームはサフィールノワールクレム1925。購入当初はニュートラル主体で、3か月経過後くらいからブラックを主に使っている。ソールは気が向いた時にシェットランドフォックスのソールコンディショナーを軽く塗る程度。

購入当初3か月くらいは極力雨に降られないようにしていたこともあり(それ以降はほとんど気にしないので何度か降られている)、ソールもつま先が減ったくらいでまだ大丈夫そう。

同価格帯のリーガルと比べると、全体的にやや華奢な印象を受ける。やっぱり2235NA/2236NAあたりの半端ない頑丈さに比べたらへたるのも早いんだろうなと。どちらかと言うとBTOラストモデルのW12xシリーズは頑丈っぽさを感じるけれど、01DR/02DR/03DRはもう少し繊細。ガシガシ履くような場合はBTOラストのほうが良いかもしれない。

釣り込みが少し甘いのか足に合っていないのか、土踏まずのあたりが歪んできている。
この価格帯にしてはかなり絞りこまれたウエストなので致し方ないところもあるのかな。他の靴ではここまでシワが入ることはない。全体的に型くずれしやすいのではないかとも感じる。ここはオールソール時にどのように戻ってくるかが気になるところ。

01DRCDはどちらかと言うとこれまでのリーガルブランドの路線とは異なり、有名タンナーの名前を出してオーソドックスに仕上げた靴。ただ、この手の靴を買う人達は既にシェットランドフォックス買っているだろうから、あえてリーガルブランドで出す意味がいまひとつ不明ではあるけれど、今後もこのくらいの価格帯で長く付き合える正統な靴をどんどん出して欲しいと思う。


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01DRCDのきめ細かく、つややかな素材にはクレム1925を使っています。
全体は薄塗りしつつ、トウの先だけ少し厚塗りするといい感じに仕上がります。

2013年12月1日日曜日

リーガルリペア

ヒールのリペアに出していたY411が帰ってきた。

今回はヒール交換とつま先の補修、かかとの内側ライニングの補強をお願いした。

待つこと1か月くらい、リペア完了で帰ってきた靴は新品同様とはいかないまでも、きれいに磨かれて靴紐も交換されて戻ってきた(元の靴紐も戻ってくる)
雨の日も風の日も、メンテサボリ気味の時期もあったけれど、愛着の湧いた靴がリペアされて戻ってくるとまた感慨深いものがある。

もともとこの靴はアルフレッド・サージェントのOEMで間違いないと思うけど、そうした靴でもリーガルの看板で売ったものはきちんとリペアを受け付けてくれる。(同じサージェント製のオールソールも経験済み)
いまはネットでもリペアを受け付けてくれるところはたくさんあるし、出張ついでにそうしたショップに依頼すれば(返送は宅配便で)いいのかもしれないけれど、わざわざそんな手間なく全国県庁所在地にはほぼあると思われるリーガルショップで受け付けてもらえるのはとてもありがたい。
リーガルブランドのものは製造時の木型が工場にあるらしいのでオールソールするなら純正のメリットが大きいと思う。

パーツは純正の在庫があればもちろん純正。
アルフレッド・サージェント製のときは似たようなソール交換になる。購入当初はブラウンのソールだったが、指定をしなかったらカラス仕上げのソールになって帰ってきたことがあるので、リーガル製以外はなんとなくイメージで決めているのだと思われる。(アッパーがブラックならソールもブラック、ってところか)

仕上がりはとてもていねい。
コバも塗りなおしてくれるので、ヒールを交換したことがわからないくらい自然に仕上がっている。
つま先の補修をみても変な段差は無く、色目の近いものが貼られている。
リペア前の写真が無いので比較できないけれど、そこそこすり減っていたことを忘れてしまう感じになっている。つま先だけ見たら新品っぽい。

なんといってもていねいさを感じるのはかかとのライニング。
革を単に上から縫うのではなく、境目は薄く漉いて貼られている。サージェントっぽさがある手書きの型番標記が半分なくなって、おまけに「MADE IN」で切れてしまいせっかくの売りである「England」が見えないがそんなことは大したことではなく、むしろ同じような素材で段差なく補修されていることのほうが好感触。多少すり減っていたかかとがきれいに元通りになっている。

リペアは決して安くはないので、経済的に靴を長持ちさせるというよりは愛着のある足に馴染んだ靴を長く履けるようにするというところに意味があると思う。