2017年12月31日日曜日

2017年を振り返ると

気が付けばもう2017年も終わりに近づいてきた。

今年もいろいろな靴を履いたけれど、なんだかんだでやっぱり01DRCDの登板回数が多かったと思う。
ショーンハイトのSH111-4と迷うけれど、今年のベストシューズは01DRCD


この靴を買ってから4年半が経過。
購入当初に比べると全体的にやや疲れた感が出てきたものの、履き心地はトップクラス。
晴れの日も雨の日も履き続け、水洗いも何度か経験するというやや過酷な環境が多かった靴。そんな経過をたどっても、いまのところクラックも無ければ大きなシミや傷もない。

発売当初は「いつまで続くモデルかな」と思っていたけれど、5年になろうとするいまでも普通に売られているし、終売する気配もない。(ちょっと値上げはあったけど)



なぜかインソールが片方だけ擦れている。
僕は右足のほうが小さめなので靴の中で移動しているのだろうか。
それともお手入れやら水洗いやらで片方だけ何か影響を与えてしまったのかも。

週に1回くらいの登板だから相当履いているにも関わらず、ソール交換までもう少しいけそう。これより登板回数が少ないアバディーンのほうがソールが減っている。

01DRCDはややロングノーズなせいか、指回りが楽で長時間履いていても小指や薬指が痛くなることがまずない。似たような形のインバネスや、ロングノーズでもタイトよりなアバディーンは長時間歩くとこの二つの指が痛くなることがあるので、01DRCDは明らかにいい意味でのゆとりがある。

意外や包まれるような履き心地も気に入っていて、本当にビジネスシューズの傑作だと思う。


あと今年はしばらくほったらかしだったブログ投稿を再開したというのもあった。
再開にあたりGoogle+のコミュニティ「靴好きもそうでない人も、革靴について話そう。」でもコメントをいただいて、とても嬉しい出来事だった。jwatanabe226さん、前澤太郎さん、またブログで取り上げていただいたYukimura Hayateさんありがとうございます。自分もそういう感激を与える人にならないと、と気づかされました。(すべての方の名前を挙げることができませんが、多くの方の支えがあって嬉しいです)

気が付けばこのコミュニティ、549人(2017/12/30現在)も参加されているんですね。


今年は最後の3か月、長期にわたる出張をしていてそこでも気づきがあった。
僕がレザーソール志向なのは、ほとんどの生活を東京でしていることに大きな要因がある。東京ってなんだかんだで移動は地下鉄だったりバスだったりで、大雨や雪が降っても終日その中を歩くというケースは少ない。
いったん濡れても、すぐに空調の効いた屋内に入るので、この場合通気性が高いレザーソールのほうが靴内部の乾燥も進みやすいという事実もある。

目的地の近くまで公共交通機関が無く、雨の中を長時間歩かなくてはならなかったり、わりと雪が降りやすかったりする場合は、その環境をもっと強く意識した選択も必要になるのではないかと思うことがあった。


今年もあと残すところ1日。
ほとんど更新が無いこのブログにも毎日たくさんの方が見に来てくださっている。僕はページビュー数の結果という数字でしかそれを知ることができないけれど、その数字ひとつひとつにこのブログを見てくれている人がいる。100のアクセスは「100」という一つの数字ではなくて、「1」がたくさん集まった結果。しかもその「1」の中身は全部違う。それぞれの人が自分の人生の貴重な時間の一部を使って訪問してくれていることに感謝し、来年も少しずつ更新していこうと思う。

みなさまにとって2018年が良い年でありますように。

2017年12月17日日曜日

REGAL 2504NA

1足目でもいい、5足目でもいい、10足目でもいい。
革靴を履く人であれば、うんちく抜きでまず20回は履いてみてほしい靴。


リーガル自身も定番と認めるニッポンの革靴、REGAL 2504NA。

全体的に大きめな作り、ガラス仕上げの革、ラバーソール、布ライニングと靴に一言ある人は避けてしまうようなスペック。
お手入れの楽しみが少なくて、蒸れやすく、カビが生えると対処が大変。高度成長期のニッポンならいざ知らず、革靴の選択肢も増えたいまとなっては積極的に選ぶほどでもない...

と、ずっと思ってきた。


ところが、最近になって2504NAの立ち位置が(やっと)理解できるようになった。
日本のビジネスシーンにおいて、この靴がなぜ評価され、多くの人に愛されているのかと。

「靴好きも、そうでない人も、革靴について話そう。」でもたくさんの方が2504NAをお持ちで大切に履かれている。2504NAが実に多くの人に履かれていることがわかる。
なぜ REGAL 2504NA なのか、という問いには Life Style Image さんが一つの答えを出している。


もともとカジュアル(リーガルの表現だと「タウンシューズ」)として開発されたぽてっとしたラウンドドウで、羽根部分の造形がダービー型と、ビジネスというよりはカジュアルな趣きがある。

アイビー寄りといわれるデザインは、最近流行りのクラシックなスーツに合わせると合わないと思いきや、ブラックの 2504NA であればよほど細身のパンツで無い限りはあまり違和感がない。
(厳密なディテールを見ると違和感出るかもしれないけれど、チャーチのコンサルだってコバ出てるガッシリデザインなわけで)

シンプルな形はお手入れもしやすく、雨をはじめとした水濡れのときもしみにくく、固く絞ったタオルでさっと拭けばたいていの汚れは取れて、しかもピカピカになる。
ガラス仕上げの革は調達が用意だから販売価格も抑えられ、愛着が出てくれば修理対応で永く履くことができる。2504NAを3足買って大切に履けば、それだけで10年間靴を買わなくてもいいなんてことにもなる。

ちまたでは、1万円くらいのセメンテッド製法の靴も人気で、確かに修理に1万円もかけるよりは買い替えたほうが良いと考える人の気持ちもわかる。元CAがいうファーストクラスでも違和感のない1万円の靴もあるらしいので。

けれど、ちょっとだけ(といっても2倍以上だけれど)高い靴を大切に履くっていうのも格好良いと思うのです。


新しい製品を出してはすぐに廃盤にする商品が多いメーカーで50年近くにわたって作り続けられ、どんな時代でも残ってきた靴。

50年間ってすごい。半世紀。
パンタロンが流行っていた1969年に登場。当時はベージュスエードのみということで、いわゆるホワイトバックスのようなノリだったと思われる。

どうしてそうなったのか、いつの間にかアッパーはガラス仕上げのステアになり今日に至る。流行を追いすぎないデザインであったがゆえに、バブルのソフトスーツ時代も、その反動の行き過ぎたクラシコイタリア時代にも、その間に存在する中庸なクラシックスタイルの時代にも作られてきた。

2235NA がサントリーオールドだとすると、この 2504NA は角瓶といったところだろうか。ニッポンのちょっとこだわりのあるお父さんのふだん使い定番。想い出の家族風景にちらっと写りこんでいるような。


この2504NA、サイズ表記を全く無視して選ぶと意外やフィッティングそのものは極端に悪いわけではない。
試着をする際は、ふだんの革靴から1サイズくらいさげて、スニーカーサイズからは2サイズ以上下げてスタートするといいかも。なんとか足が入る最小のサイズと、その一つ上を比べてほしい。

最近多いボールジョイントとかかとで底面から側面をホールド、二の甲から三の甲にかけて抑えを効かせた包み込むようなラストとは違い、足首周りで抑えてつま先側はゆったりと持たせる巾着のような靴のつくりなので、全体的にはゆとりを感じることはある。
ただ、履き口が小さめに作られていることもあり、紐をしっかり締めて足首周りで抑えると指が自由に動き、靴の中で足が前滑りする気配もない。心なしかタンが足首にあたっているような感じなので、やっぱり足首を抑える作りなのかな。

僕の場合は、あくまでも01DRCDなどの靴と比べてハーフサイズ落とした比較なので、リーガルが同一サイズでフィッティングを決めているとしたら、ひょっとして「靴ひもを緩めないでも履いたり脱いだりできる」という位置づけにしているのかもしれない。
かかとがほぼ直線なのでどう考えても包み込むよりはあえて脱げる方向にデザインされているように思えてしまう。


または、平均身長がどんどん伸びている日本人は足の形も変わっているだろうから、40年前は同じ足長でももっとゴツイ足をしていて、その形がベースになっている一方で、40年経ったいまの人の特徴を想定して作った最近の靴とは同一足長では全く違うフィッティングになっていることも考えられる。(だとするとEとかEEとかいう表記の意味が薄れるけど)

というのも、どうも2504NAなどの伝統的ラストを履くと気持ち土踏まずが若干後ろ寄りにセッティングされている気がしている。これは逆に言えば足のサイズより靴のサイズが小さい可能性があって、僕が単に小さめの靴を履いているだけなのかもしれない。
親指の付け根から土踏まずにかけてややフィット感をうけるので、土踏まず周りに何らかの違いがあるのかもしれない。

僕はシェットランドフォックスの旧ケンジントンが合い、01DRCDでも羽根がぎりぎり閉じきることがないくらいの足をしているのだけれど、2504NAでも紐を最高にきつく結ぶといちばん足首よりの羽根部分が閉じきることはない。足首はかなりホールドされる。日本の靴はイギリス靴と比べて履き口が小さめに作られているので、ここが緩まなければ足があまり前ズレすることも無い。

この状態だとすべての指が快適に動くので、RENDOなど最近のタイト系靴のように指修行をしなくてもいい。指の付け根あたりに空間的ゆとりがあるため、少し皺が大きく入るが、指に刺さるようなことは無い。(むしろ幅の太い皺なので指の付け根に「乗る」感じ)

一方で、足首周りのえぐり方が足りないのか高さの設計が古い足向けのままなのか、明らかにくるぶしがあたりやすく、履き始めは痛い思いをすることが多い。
購入当初は左足外側のくるぶしがあたり長時間歩くと翌日皮がむけていることが多く、痛い思いをすることが多かった。最近の靴だと小指が痛いとかボールジョイントがタイトだとかいう痛さを感じるのだけれど、2504NA はエッジが食い込む痛さ。
木型の設計と基本コンセプトは変えなくても、こういうパターンの部分は微調整してもいいのになと思わずにはいられない。たいていの人が悩む外くるぶし側を3mm程度下げても靴の全体的なコンセプトに影響を与えるとは思えないので。

いずれにしても、サイズに関してはリーガルの中でもラストによって全然違い、この2504NAや2235NA、W10BDJといった重厚な靴の場合、いまとなってはリーガルの中でも少し大きめのつくりという印象を受ける。万人が僕のようにハーフサイズ変えたフィッティングで満足というわけではないけれど、試着の際は自分が意識しているサイズは全く無視したほうが結果的に合った靴が買えると思う。


2017年11月現在で、税抜24,000円(税込25,920円)
おそらくサラリーマン全体の感覚から言うと高額な部類に入る価格。このモデルはREGAL扱いの一般の靴屋さんでも売っているので、ディスカウントがあれば税込みで2万円台前半で購入できることもある。
その前提で考えると、使われている部材や製法、永く履ける安心感などもふくめたトータルな視点では決して無駄に高くない靴。


2504NAで使われているガラス仕上げのアッパーは、スムーズレザーを見慣れていると表情が乏しく、少々ビニールチックな印象ではありながら、この手の革靴に興味がない人も含めると一般的にはキレイ扱いなので評価が高いことが多い。

よく「履き始めは硬い」といわれるけれど、革がなじむまでの硬さについて言うならば、少なくともシェットランドフォックスのインバネスあたりで感じたときよりもマイルドで、むしろ僕は履き始めから柔らかい革という印象すらある。
サイズがあっている靴をプレメンテして履けば、一般的な革靴に比べて特別硬いわけでもない。
2504NAの場合は外羽根プレーントウということもあり、羽根の部分が厚めになるので甲の部分が硬い印象を受けやすかったり、踝に食い込んだりするため硬くて痛い靴の印象が強いのだと思う。

ペンなどで履き皺入れないで自然についたしわは、左足は指の曲がる場所とうまく一致したのか全く違和感がなく、右足は少し後ろ目についたようで、歩くたびに指の付け根よりちょっと後ろに革が乗る感じ残る。
僕は右足のほうが短いので、実サイズと表記サイズの差が大きい右足のほうが後ろにあたる感じがするのはおかしい気もしないでもない。自然にしわをつけるとミリ単位では本来の屈曲ポイントとずれるのかもしれない。
少し遠めのマクロ的なしわの入り方は同じような形のショーンハイトSH111-4と似て、指の付け根あたりが少し広めのしわになり、つま先に向かって革が逃げるような感じ。
近くで見るミクロ的な視点では、肌理の細かなしわではなく大味かつぷっくりとしたしわが入り、いかにもガラス仕上げっぽさが出る。



お手入れはブートブラック(黒蓋)のデリケートクリームを中心に、なんとなくたまにクリーム塗ってみるみたいな。
もともと光っている靴なのでワックスが入っている一般の靴クリームなんて不要という意見と、皺の部分などはクリームが若干入るので塗っておいたほうが良いという意見があって、僕は後者を支持。

リーガルブランド純正クリームの製造元であるコロンブスは、当然にガラス仕上げの革に対して使われることも想定してクリームを作っているだろうから、少なくともコロンブスのクリームには何らかの意味があると思っている。
コバにも同様にニュートラルのクリームを歯ブラシで塗りこんでいる。

クリームの浸透について言うならば、日本皮革技術協会によればガラス革でも吸水度は短時間(30分)でカーフの9割程度、24時間後で8割弱あるようなので、多少浸透するかもしれない。
(このサイトは用語があまり統一されていないので、「ガラス張り革」がどこまでの仕上げを含めているかわからないのだけれど、文中にあるガラス張り革の説明で「塗装仕上げをした革」とあるのでたぶん靴に使われているガラス仕上げの革に近いものが取り上げられているのかと)

リーガルシューズの店員さんに聞いた感じだと、汚れたらクリーナーを使い、クリームを塗って最後に防水スプレー、だそう。これは何か所かで聞いたことなので、リーガルの基本的な見解(マニュアル)だと思われる。
スムーズレザーでも同じことをアドバイスされるので、リーガル的にはガラスか銀付きかでのお手入れの違いはあまりないのかもしれない。
ただ、リーガルシューズでこういうお手入れを継続的にしていると思われる靴を履いている店員さんに出会ったことがない。(逆にリーガルトーキョーではほれぼれする靴を見ることが多い)
シーズンごとの販売したい靴があって、それに近いものを履かなくてはならないとか、平均的なお客様をイメージしているから(リーガルの中では)あまり高いラインの靴を履いてはいけないルールがあったりするのかな。
僕は「リペアしまくっている靴履いています!」みたいな店員さんに専門店ならではの話を聞きたい。


2504NAに使われているガラス仕上げの革は水濡れ耐性や傷などに対しての短期的な耐久性は高いが、長期的には表面が割れたりクラックが入りやすいという意見がある。
僕はローテーション頻度が低いのであまり影響出ていないけれど、ヘビーローテーションの場合はソールより先にアッパーがダメになるかもしれないと。
ただ、数年程度の比較という限定での実感としてはスムーズレザーに比べて明らかに弱いという印象は無くて、割れている人はガラス仕上げだから雨の日用みたいに扱って、お手入れにも差があることが一つの要因ではないかと思っている。

この手のガラス仕上げの靴については「メンテナンスフリー」と書かれていることがある。購入した時がいちばんきれいで、徐々にダメになっていくと。
僕は靴に限らず、メンテナンスフリーなんてものがこの世に存在するとは思えない。

実際にガラス仕上げの革を作っているタンナーのホームページや、皮革関係の協会ホームページ等を見ても「お手入れ不要」のような表現は見つけることができなかった。
科学的な特性として銀付き革に比べるとお手入れに神経を使わなくてもよい部分があるかもしれないし、靴屋さんが一部そこを売りにしているところもあるけれど、それは相対的な比較であって、ガラス仕上げの革が「メンテナンスフリー」なものではない。

そもそも、素材としての革が物理的に徐々にダメになるのはガラス仕上げだろうと銀付き革だろうとコードバンだろうと同じ。僕たちは革を履いているのではなくて、革を使って作られた靴を履いている。靴の魅力は革の真新しさだけで決まるのではない。
履きこまれ、お手入れもきちんとされて数年たった2504NAの写真のほうが、メーカーのホームページにある新品のものよりも、僕には圧倒的に格好良く見える。お手入れのしかたによって良くも悪くもなるからこそ、お手入れの意味があるのではないだろうか。

自分で汗水たらして働いて稼いだお金で買ったモノをどう扱おうと構わないけれど、メーカーが言っていることとは逆のことをあたかも常識のように語るのはどうかと思う。


ライニングは靴の前半部は布で、この辺りがコストカットの工夫かな。
せっかく雨の日にも強い印象を与える靴なのに、一度カビが生えるととお手入れがとてもやりにくい布が使われているというのが残念なところ。
アッパーに対して少しでも湿気を送り出そうという意図などがあるのだろうか。

2504NAのラバーソールはレザーソールのゴム版といった感じで、特にパターンもないフラットなタイプのシングルソール。
縫い糸がソールとほぼ同じ高さまで出てしまっているので、糸が直接地面に触れることが多い。まぁ、全部が切れることはないのでここは心配不要か。

このソールはヨーロッパに比べて土砂降り系の雨が多い日本の気候に合っていて、耐久性も高い。パターンがないので滑りやすいように思えるも、底面全体でグリップしているのか、僕がレザーソールの滑りやすさに慣れているのか、滑りにくいソールという印象。

紐をしっかり縛って数日履きならしたら気にならないレベル。路面の小さな凹凸も気になることがなく、長時間歩いても疲れない。
ネットで返りが悪いという意見をよく見かけるのは、スニーカーやリブの無い靴との比較だと思う。サイズを合わせて紐をきっちり締めて履けば、かかとが浮くようなことは無い。

通気性はあまり期待できないため、靴はやや蒸れる。しばらく履いていると足が暑苦しさを感じるため、やっぱりレザーソールは底でかなり湿度調整をしていることがわかる。
きちんとローテーション組まないと、カビが発生したりにおいがついたりしそう。

逆に言えばソールの吸水性がほぼないため、多少の雨であれば靴の中に水がしみ込んでくるようなことがほとんどなく、路面が濡れていることを気にしないでよい靴。
雨の日はもちろん、雨上がりでも路面がじっとり湿っているときなどはこの靴を履いておくと靴下が安心。


ソールもヒールも耐久性が高く、購入時のお約束「ソールが減ったら張替えできます」
を実行する人はごく少数かも。つま先だってなかなか減らない。きちんとローテーションしてお手入れする人であれば相当長持ちするはずで、連続投入するような人ならソールの前にアッパー側がダメになる。


この靴の良さを実感するには、自分が履いたことも無いくらいの小さいサイズ表記を受け入れないとならないところが最初の難関になってしまっているのがもったいない。
リーガルの低評価は少なくとも大多数の人にとってはこの「自分が思っているサイズより1~2サイズ小さい表記がジャストサイズ」を受け入れることができなくて、大きめを履いてしまっていることも大きい。

革靴のサイズ表記はその表現のルール上、スニーカーより1サイズから2サイズ小さくなる。だからスニーカーのサイズと同じサイズになることは理論上ありえない。
靴屋さん側がそのことをきちんと伝えていないのが問題。スニーカーで26を履いている人だったら革靴は24から25くらいが同等で、タイト目なら23.5から24くらい、ゆったり目でも24.5から25くらいになる。

REGAL SHOESでも本当のジャストサイズよりもお客様が良いというサイズを勧めるような指導が(少なくとも10年くらい前には)あったし、街の靴屋さんで試着した際に僕の感覚上ハーフサイズか1サイズ上であっても「ちょうどいいですね」といわれたこともある。

緩い帽子ではサマにならないように、靴も必要以上に緩いと歩きにくくて疲れるし、重たいし、タコマメできるし、ハンマートウになるなどいいことはまずないので、それが本格的な革靴の評価になってしまい、スニーカー的な革靴が「履きやすい」になってしまうのかと。


リーガルは定番づくりが苦手なのかイメージ戦略が伝統的に悪いのか、いい靴があるのに目立たない。
毎年あれだけの靴を開発しているのに、定番が50年前から続くシリーズに偏ってしまうのも。
2235NAをカジュアルで、2504NAをビジネスで履いているお父さんが、娘の結婚式に出るときに履く靴は40年前はなんだったのだろうか?
2235NAをこよなく愛するお父さんであれば、きっと結婚式には手持ちの中から最高のキャップトウを選んだだろうし、2235NAが大好きなお父さんは、きっと定番といわれるキャップトウを履いたのではないだろうか。リーガルにはそんなシーンで履く靴があったのかなかったのか。

日本の靴づくりはもっともっと評価されて欲しいと思う。
それができる会社の一つがリーガルコーポレーション。リーガルトーキョーやBOS扱いの靴はとても素晴らしいと思っている。なのにチャーチのコンサルやクロケットアンドジョーンズのオードリーみたいな定番的位置づけにはなっていない。
BOS扱いのリーガルシューズの店員さんでも、W134で行くと「いつ頃の靴ですか?」なんて言われることが稀にある(実話)ので、BOSラストはまだまだ社内でもそれほどの位置づけではないのだろうと。

いまは01DRCDあたりがその位置づけ候補かな。ふつうのサラリーマンが何とか頑張って買うことができて、大切にずっと履き続けたい靴。作り手も同じ想いがあって、だから廃盤になんてできないよ、という靴。年数を重ねることで生まれた信頼感とか安心感のある靴。そういう靴が増えて、日本人がチャーチのコンサルを指名買いするのと同じように、日本の靴が世界の靴好きから指名買いされるようになったら、日本人として誇らしいですね。



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ブートブラックのデリケートクリーム。万能クリームなので一つ持っていてもよいかも。
M.モゥブレイと比べると、こちらは一本で軽い艶出しまでカバーできるので、ガラス仕上げの靴には便利です。




クリームはいつものブートブラック。リーガルの定番ラインにはクリームもコロンブスが似合うような気がします。




ブラシはこの東急ハンズブラシ。大きくて使いやすい、傑作です。