2018年6月15日金曜日

REGAL 2504BD

2504NAのネイビーバージョン、2504BD。
2017年秋冬新商品。
写真では黒っぽく写っているけれど、自然光の下では結構鮮やかなネイビー(最後のほうにある新品時に取った写真のほうがイメージに近い)

独自の型番が振られていたり、ライニングが黒色だったりと、定番品のカラー追加というよりは、特別なラインとしてある程度の期間だけ販売されるのではないかと思われる。


この靴の購入が、実は前回の 2504NA を書くきっかけとなった。

いまはネイビーをビジネスシーンで履いている人が出てきているとはいえ、やはりどちらかというとカジュアル向け。
ジーンズあたりと合わせるのは茶系のほうがサマになる感じもしつつ、ややモノトーン系でまとめるなら意外といいかもしれない。ボリュームがあるので同色系でまとめても靴の存在感がある。夏場にはオフホワイトデニムのようなややボリューム感のあるパンツと合わせてもいいかも。


靴の作りについては全体の印象は前回の 2504NA と変わるところはない。あたりまえだけれどまんま 2504 なので。ただ、今回新品の 2504 を履いて改めて気が付いたことがたくさんあった。


まず、当初の足へのダメージがかなり大きいこと。やはり新品の 2504 は結構修業が必要な靴。くるぶしに履き口が刺さるような感じで、ひさしぶりにここの皮がむけた。
次にタンが少し長いのか、常に足首に刺さる感覚がかなり続いた。どちらかというとゴツイ足向けのラストと思っていたけれど、足首まわりはそうでもないのかもしれない。日本人向けのラストは足首周りが欧米製に比べてコンパクトなのはずっと以前からそうだったんだなと再認識。
三つめは羽根の部分がやはり厚めのため甲が少し痛くなった。外羽根部分の作りはやや重厚なので何度も屈曲され革が足の形になじむまでの時間が長い。羽根がしっかりしているのでタンが刺さりやすいというのもあるかもしれない。
この3点については、最近の靴ではあまり感じなかった痛いポイントなので、靴の形状や素材に大きな違いがあることが良くわかる。

そういうものだと割り切りがある僕でも「やっぱり痛い靴だな」と思ってしまうので、それこそ革靴が初めてという人がこの状態になったら革靴は「痛い」という印象が強くなってしまいそうだ。革靴経験が少ない人にはもう少し穏やかな入り方の靴のほうが良いかもしれない。

リーガルでいえば 01DRCD はこのあたり改善されているし、似たような形のショーンハイトの SH111-4 もやはりくるぶし周りは 2504 より低めに作られている。


一方で、やっぱり甲の屈曲部についてはそれほど硬い革ではないという印象で、指に刺さるような感じは一切ない。数回履いた後に指で押してみると思ったより柔らかい。
比較的新しいからなのか、厚手の革であるものの固いということはなさそうだ。
足の小指が痛いとか、かかとが痛いということはなくて、全体的にゆったりとしている。かかとのあまりから見ても全長はジャストサイズと思われるので、指回りのカーブ度合いなどつま先側はそれほど攻めていない。

しわの入り方は左右の足で違っていて、左足がこれまでの 2504 と同じように少しぷっくりとした大味なしわが入るのに対して、右足は意外と繊細なしわが入った。個人的には後者のほうが好み。素材の部位が違うのか、それとも加工に違いがあるのか不明だけれど、ガラス仕上げでも結構いい感じのしわが出せるのではないかと思ってしまう。




初回のお手入れに関してはブートブラックのデリケートクリームを多めに塗ってみた。

ガラス仕上げの革についてはクリームが入る入らない論争があるようで、入る派の人はしわの部分に細かなクラックがあるから浸透するとかで、入らない派は樹脂コーティングされているので意味がないという感じ。僕は前者のスタンスで、メーカーもクリーム塗っておけと言っているのだから、何らかの意味があるのではないかと思っている。

数回履いてからのお手入れも同じくデリケートクリーム。1カ月くらいたってから気分の問題でニュートラルのクリームをつま先、かかとを中心に塗ってみた。
多くが表面にとどまるからなのか、靴の光沢感が明らかに違うので、ピカピカを狙うならクリームを塗って磨くのも悪くない。冒頭の写真もほんの少しだけクリームを塗った状態。

ブローギングのないシンプルな形状の靴なので、クリームを塗るのも簡単。時間にして5分も使わないので気分転換の時くらいにやっている。

ソールはゴムなので基本ノーメンテ。クリームを塗るときについでに靴底をウェットティッシュで拭うくらい。濡れてもあまりカビなどの心配がないのもメリット。つま先の減りはレザーソールと比較すると圧倒的に少ない。

コバ周りは歯ブラシでニュートラルのクリームを塗ってみた。ここは革素材なのでクリームのメリットが出やすいはず。(リーガルの修理はリウェルト前提なので気にしなくてもよいという気もするけれど...)


僕にとってはビジネスシーンよりも履く頻度が少ないカジュアル靴なので、ガラス仕上げでラバーソールという雨にも比較的強いスペックは便利。

オフの日って外出して靴を脱ぐことも多いので、ちょっとした雨くらいなら靴下濡れる心配が少ないというのもありがたい。スエードの W13BCF はアッパー素材としては雨にも強いところはあれど、やっぱり浸水しやすくて結果靴下が汚れやすい。一度大雨に降られてからは晴れの日履いても靴下が汚れやすくなったので靴を脱ぐようなことがわかっている場合は控えるようになった。

小雨から普通の雨降り程度であれば十分この靴でいい感じ。
それなりの大雨でもなかなか浸水してこないのはラバーソールとガラス仕上げのなせる業か。土砂降り時にソールはつま先側から浸水してくるので、つま先側の縫い目部分にワックスなどをしっかり入れるとさらに防水性が高まるかも(通気性は下がるかも)

個人的には10数回履くまでは新たな靴のしわやそれに伴う微細なクラックができる気がするので、雨を避けつつクリームをていねいに入れることを心がけてみた。くるぶしやタンのダメージがなくなるくらいの時期からはほとんど天気を気にしていない。

W10BDJ のようなまんまカントリーテイストでもないので、汚れたらある程度綺麗に汚れ落としをして、クリームを塗って適度に輝かせるのがこの靴の真骨頂かと。お手入れそのものはラクではあるものの、決してお手入れをしないでよい靴ではないと思う。



リーガルはときどきネイビーを出してくる。

僕は 2504 の黒をカジュアルに合わせるのは難しいと思っているのだけれど(個人の技量と年齢の問題)、ネイビーだと合わせやすいかなと。ダークブラウンよりはややキレイ目にまとまる感じかな。


ラストやパターンの使いまわしができる定番モデルの色違いなので会社的にはリスクが少ないかな。今回は同素材かつ色も奇抜ではないので在庫リスクは少なそう。

定番はラストやパターンを新たに用意することもないので、どうせならときどきパターンオーダーみたいな形で展開してくれたらいいのにな。



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2504 はクリームが入りにくいようなので、デリケートクリームを少し多めに塗っています。



ときどき気が向いたとき程度に乳化性クリームを。コバの部分にも塗り込みます。

6 件のコメント:

  1. 今日は、僕も2504。
    重厚でかっこいいです。
    長年サラリーマンの足を支え続けてきた、という点も、働く革靴みたいで恰好いいと思っています。愛着が湧くデザインでもあり本当に買ってよかったです。僕は痛いところ全然なく、革は、甲がたりず大きくよりますが、ブーツみたいに、全く気になりません。逆にこれも表情の一つで、好きなところ。色々な意味で硬派な靴だと思っていますが、爪先ピカビカにして履くと、これまたかっこいいです。僕もウェルトには、特に爪先側を中心にワックスしてます。長く大事にしていきたい革靴、このポッテリとした丸っこい見た目は、ぐるっと一周して、30代あたりから流行り出すのではないか、とすら思います。

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    1. コメントありがとうございます。

      2504は最近の靴には無い独特の表情がありますね。
      私も甲が余るためつま先寄りに革がよりますが、おっしゃるとおりでこの表情もまたこの靴の良さだと思っています。

      どちらかというと重厚な靴なので、最近はやりの薄手の生地だと靴が主張しすぎてしまうため若い人にはイマイチ受け入れられないデザインなのかなという気はしていました。
      ある程度歳を取ると攻めすぎたスーツは合わなくなってくるので、そうなって初めてしっくりくる靴なのかなと。

      今回の2504BDは私の中ではオフ専用なのでジーンズや厚手のチノパンなどに合う感じです。ガラス仕上げの良さを生かすためにつま先はややピカピカにするのが気分です。このデザインは黒でもカジュアルいけると思うので実は絶妙なバランスを持った稀有な靴ですね。そんな2504の歴史の1ページというか、1文字くらいの中に自分が参加していると思うとますます2504が格好良く見えてくるから不思議です。

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  2. こんにちは。

    ひょっとしていつぞやお話に出てきた、速攻ご家族に見つかってしまったカジュアル用に買われたの靴とはこの2504BDのことでしょうか。

    ゴム底の2504をカジュアル用に買い足されたとは意外でした。
    私の中では、Shoe*さんは同じ木型(シリーズ)の靴を買い足される印象があまりないので、同じデザインの色違いを買い足されたことも意外でしたし、Shoe*さんと言えば革底のイメージ(勝手に済みません)なのですが、今回はゴム底で買い足されたので、2504には、やはり魅力があるのだろうなと感じました。履いてみたい気持ちが強くなってきます(汗。

    定番のパターンオーダー魅力的ですね。
    定番の靴は過去に様々なバリエーションがあったようでそれも興味深いのですが、自分の好みの素材、色で作れたらと思うとワクワクします。
    定番の靴を揃えてローテーションしている方は実はかなりの数に上ると思うのですが、そういうサイレントマジョリティーと言いますか、靴にそれほど興味がある訳でもないけれど、リーガルを支えているコアな一般のユーザーにも受け入れられる可能性も高くビジネス的にも面白そうです。

    最近の記事は特に惹き込まれてしまう内容が多く何度も読み返しています。読む度にいろんな気付きがあって、あれこれと考えを巡らしているのが楽しいです。

    私は老害も説教ジジイも好きですよ(笑)、お蔭様で基本に気づくことができましたからm(__)m。

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    1. コメントありがとうございます。

      ご明察のとおりです(笑)
      2504BDは昨年の10月、長期出張中にこっそり買って出張明けに以前から存在していたかのように持って帰ってきたつもりでしたが、これまでに無い色と形を急にカジュアルで履きだしたこともありすぐにバレてしまいました。

      カジュアル使いの革靴としては2235NAを買おうと思っていました。
      買う気満々というよりは、何となく靴でも見るかという軽い気持ちでREGAL SHOESに立ち寄ったところ、2235NAの近くにおいてあって異彩を放っていたこの2504BDが気になりました。即断即決というわけでもなく、気になる程度でその日は買わずに帰ったものの、ちょうど雨や雪が多い時期に歩くことが多かったということもあり改めて2504のような靴があると便利だなということで購入に踏み切りました。

      2504シリーズは、特に目立つところもないしお洒落なところもない気はするものの、伝統ある硬派な靴というストーリーがなぜか気分を高揚させる感じです。年齢的にもあまり尖ったデザインよりも落ち着いた形を好むようになったということもあるかもしれません。このブログでも靴のレビューの中ではいちばんアクセスが多いです。

      2235NAや2504NA等はパターンオーダー向けな感じがします。パターンに慣れた職人さんも多そうですし。
      アップチャージつけてもよいので、好きな素材を選べたら買い増し需要を喚起しそうですが、あえてやっていないのは何らかのマーケティング的理由があるのかもしれませんね。

      基本はそれはそれとして大切にしつつ、少し飛ばした内容も入れたいと思ってはいるものの、そのセンスもなく同じところを堂々巡りな感じになってしまいます...

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  3. 昨冬,ネイビーの2589BEを買うときに,こちらと迷いました。フルブローグに挑戦したくて2589にしましたが。
    色は最後の2枚が近いですよね。履き下ろし前はどこかプラモデルみたいな質感でしたが,履いて皺が入ってくると落ち着きました。
    足の小さな私には23.5でも少し大きく,中敷きを敷いているため,せっかくの黒いライニングが見えないのが残念です。

    2589と2504は同じようなラストでしょうか。前の投稿でおっしゃられていたように,指周りは特に上下に余裕がありますが,足首の方で締まるので,カポカポはしないです。

    履き始めは靴(底?)の硬さに歩き方のほうを合わせる感じで,少し慣れてくると踵や外くるぶしの擦れ,右親指と左小指の刺さりがありました。W字のキャップがあるから尚更なのでしょうか。
    最近ようやく痛みを感じないで履けるようになったようです。
    たしかに,革靴ビギナーが最初の一足とするにはハードルが高いでしょうね。

    職場のドレスコードがないので,専らオン用でスーツに合わせています。冬用の厚手のスーツとか,ウールコートなんかと相性が良さそうです。雪にも強いですし。

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    1. コメントありがとうございます。

      私も2589のネイビーとどちらにしようか迷いました。
      カジュアルにはフルブローグのほうが合わせやすいかなと思ったのですが、すでに手持ちの靴や今後欲しいなと思っている2235NAと被りそうだったので、プレーントウタイプの2504にしました。

      購入直後のプラモデルみたいな質感、確かにその通りですね。多少履きこんでクタッとした感じが出ないとどうも安っぽさが出てしまうような気がします。おそらく2589と2504は同じラストではないかと。足首側をタイトに抑えることができればかかとが抜けることはないので指回りのゆとりはむしろ利点かなと思っています。その分少ししわが深く入りやすいのが難点でしょうか。

      指の刺さりについてはご察しのとおりでキャップが影響していると思われます。あの部分は厚手になるのでキャップ部分に逃げることのできない革が下方向(指のあるほう)に逃げやすいようなので。

      私もこの靴は雪や雨対策の一つとして買いました。
      さすがに凍結している道は厳しいものの、耐水性がレザーソールよりは高いので、寒い時期にぬれた路面を歩くには明らかに有利です。
      ややぽってりとした形は厚手の生地に合いそうですね。若いお洒落な人であればスリムなパンツに合わせても決まりそうですが、オッサンには少しざっくりとした雰囲気のほうが合わせやすそうと思っています。

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