2019年3月5日火曜日

平成の逸品 その2「クリーム」 ~ Boot Black Shoe Cream ~

なんとなく思い付きでやっている「平成の逸品」シリーズ。
その1で「汚れ落とし用のクリームと乳化性クリームだけあればよい」とも書いたので、今回はもう一方の乳化性クリームを。

なんといっても平成の逸品を挙げるならばこれになる。

Boot Black Shoe Cream



このブログ、国産靴を中心としているブログなので、クリームもニッポン製を贔屓。

一昔前の靴お手入れムックなどを見ていると、サフィールノワールクレム1925の圧勝で、僕もその意見に同感ではあるものの、「平成の」逸品というタイトルで選ぶならばこちらのブートブラックに票を入れたい。

クレム1925のガチンコ対抗馬としてはブートブラックのアーティストパレットがあって、これはこれでかなりいい感じのクリームであるものの、コロンブス社の方針で手に入れにくいのが残念。逸品対象からは外している。コレクションシリーズのクリームもそのストーリーを聞けば聞くほど惹かれるけれど、やはり一つを選ぶならばベーシックなこちらのクリームを挙げたい。


ブートブラックは僕がこのブログを始めてから何度も登場してきたクリームで、RENDO R7702W10BDJショーンハイト2504NA など、国産靴の傑作と思う靴に使うことが多い。

最近はやりのビーズワックス強めのしっとり感満載で、クリーナーを使うと結構色が落ちるので、顔料もそれなりに入っているお化粧クリーム。保革だけではなく、ある程度「見せる」クリームなので、使う側の技量によってつややかさに違いが出るかもしれない。

黒い靴にブラック(黒色)のクリームを使うとしっとりとした強めの黒感が長持ちする。
まだ数年レベルではあるものの、ブートブラックでお手入れしている靴にクラック等は発生していないので、保革という観点からも問題なさそう。
(僕はあまりリムーバーなどは使わないので、クリーム重ねがけ状態になることもしばしば)


ブートブラックのクリームはいかにもニッポンのメーカーが靴ブームに乗っかるような形で登場したものの、あか抜けない真面目さが見えてくるようないかにも「ものづくり」しました的なクリーム。ちょっと洒落たデザインを纏っているけれど、やっぱり良くも悪くも工業製品っぽい。
均一な品質管理、幅広い温度レンジといった高スペックを、一瓶ずつ手できっちりぎりぎりまで職人技で充填。感性に訴えるような香りよりも素材組み合わせによる効能を追求したマニアっぽさ。

こういう真面目なものがモテるかどうかは別ではあるものの、ときにはそういうものづくりの姿勢に心惹かれてしまう。大企業の製品でありながら、町工場の技術を感じてしまうのに似た感情を受ける。

なので、日本のタンナーによる素材を使っている日本製の靴にはブートブラックを使うことが多い。Made in Japan つながり。



ブートブラックには多くの色が用意されていて、茶系などもかなり細かな選択ができる。革靴にはあまり見られないストレートすぎる青や黄色があるのもコロンブスならでは。(在庫を抱えなければならないお店は大変だろうに)
ビジネスシーンは黒い靴推しの僕にとっては、黒かニュートラルかという選択で、一つだけ選ぶならば敢えてニュートラル(無色)を選びたい。


ブートブラックは黒蓋の「ブートブラック」と銀蓋の「ブートブラックシルバーライン」がある。前者は当初「プロ向け」みたいな感じだったと思うけれど、いまは「磨きのプロ達が創りあげた」という表現で、後者は「未来のシューシャイニストのための」と書いてある。

意図するところとしてはお手入れがある程度しっかりできる人はブートブラックで、あまりお手入れに時間をかけたくないみたいなライトな人にはシルバーラインという位置づけかな。後者のほうが硬めなクリーム。


それにしても磨きのプロ達が創りあげたというブートブラックシリーズにおいて、プロならまず使わないと思われる小さな使いづらそうなブラシがセットになったシリーズがあるのがなんとも落ち着かない。磨きのプロ達はこれをどう使うつもりなのか。ブランドイメージにイマイチ安っぽさが残ってしまうのはこの辺にもあるような気がする。

前回のブラシの時も思ったのだけれど、どのブランドもこういう小さいブラシを初心者キットに入れてくるのだけれど、これから靴のお手入れを始めようとしている人にこそ大きいブラシを使ってほしい。

カラーについても、もう黄色とか青とかはニュートラルでよいでしょう。色落ちてきたら専門家に染め直してもらえばよいのだから。


ブートブラックはいろいろな商品が展開されているのだけれど、お手入れグッズとしてはこのクリームとソールコンディショナーとコバインキくらいがあればまずは十分かと。お手入れに興味ができたらデリケートクリームとツーフェイスプラスローション(汚れ落とし)買ったらほぼ完成。
靴のお手入れが趣味の領域までくれば、あとは好きなものを好きなだけ買うのでよろしではないかと。


良くも悪くも日本らしさがあるブートブラック。僕の人生において多くの割合を占める「革靴を履いて仕事をする時間」を楽しいものにしてくれる大切なピースだ。



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