2019年2月7日木曜日

REGAL 2235NA

REGAL 2235NA。

日本在住で革靴に興味がある人は一度は目にしたことのある靴ではないだろうか。2504NA と並ぶニッポン革靴界のレジェンド。


正直、僕がまだ学生だった頃はこのデザインはあまり好みではなかった。20代前半まではどちらかというとシンプルなデザインが好みで、革靴でもカジュアル系であればウォークオーバーのビブラムソールみたいなモノとか、スエードのチャッカなどを好んで履いていた。

2235NA をはじめとしたウイングチップに施されるブローギングはジジ臭い、なぜデコラティブが受けるのかとさえ思っていた。スコッチグレインレザーもまたシンプルの対極にありとにかく押し出しが強くて苦手だった。


どうして同じモノに対する見方が180度変わってしまったのか自分でも不思議なくらい、いまはこうしたブローグ系の革靴「も」好きになっている。特に秋冬のカジュアルには茶系のブローグは本当に合う。

ここ数年、いわゆる高級靴ブームといわれる波があって、そのあおりなのかそうではないのかリーガルが軽く見られることがあるような気がしないでもないけれど、3万円台でこのレベルを安定供給できるのは国産の底力なのではないだろうか。

ビジネスシーンで定着しているデザインではないし、カジュアルに革靴を履く人が少ない日本で、これだけの長い間作られ続けてきたことが奇跡な靴。
僕はこの靴の魅力に気付くのに20年を要してしまったけれど、若い人が「フルブローグの教科書的呪縛」にとらわれずに自由にこの手の靴を楽しんでいる姿をみると、格式・礼節が求められる場合を除き、もう少し肩の力を抜いてもいいときあるんだよな、という気持ちになったりもする。



2235NAを購入して3カ月くらい。
この間ほぼ毎週末に履いている。

当初予想したほど痛いところも出ず、思ったより付き合いやすい靴。
つま先も多少削れてきて、足に合ってきたという感じか。

当初、室内履きでトータル2時間ほど履きならした後に外出投入。
初回のお手入れが終わって、ある程度クリームが馴染んだかなと思うくらいで早速外に出てみた。靴は外で履いてなんぼ。
初日は夜のコンビニ買い物程度(平日だったので)。次の日に履いて出かけたら結構な雨にいきなり遭遇するというなかなかのデビューだった。

くるぶしにあたる感じはやはり健在で、特に右足側に違和感を感じるところは 2504NA と一緒。かかと周りのパターンは似ているようだ。

同じフルブローグの W10BDJ と比べるとくるぶし周りのえぐりがないフラットなパターン。伝統的なリーガルの靴はこの部分のパターンで損をしているように思える。


一方で、履き口周りは意外とコンパクトで足首が包み込まれるせいなのか、同じサイズでの比較では W10BDJ に比べて甲の外側のフィット感が良い。


こうしてみると、W10BDJ はかなりかかとを絞っている一方で、履き口が少し広い。

タンは作りが違うのか、足首への洗礼はほとんどなくて、ここはちょっとばかり覚悟をしていたので一安心。2504NA のような足首に食い込んで血が出そうみたいなこともなくて、履き始めからそれなりに快適。

甲のフィット感の違いなのか、長時間履いた時の快適度は 2235NA のほうが W10BDJ より上。明らかに歩きやすい。僕の足との相性なのかもしれないけれど、この点は意外だった。
正面から見るとやや峰の外側が削られているようにも見えるので、そこがフィット感に影響しているかもしれない。



アッパー側は購入時点で思っていたほどの硬さはなくて、2504NA よりは馴染みやすい印象。屈曲部が柔らかめなので指に乗るような感覚もそれほどでもない。
履くにつれ、屈曲部が少し下に湾曲するようなしわの入り方になったので、やはりアッパー側は少し余裕が多いようだ。


とはいえ、2504NA のように大きくしわが寄らないということもあり、見た目的にもきれいにまとまっている。

クリームは適量がわからないのでとりあえず薄塗りの繰り返しをしている。僕はコットンにクリームを掬って塗る派なので、こういう凹凸のあるスコッチグレインレザーかつブローグシューズは磨きにくい。ギンピングの部分は塗りにくい、というか塗るのが無理。適当にクリーム入れたあと、豚毛のブラシでなじませているので、その時に塗れているものと思いたい。使っているのはブートブラックのニュートラル。


ソールはさすがに硬い。購入当初に室内履きで軽くスクワットしてみたのと比較的タイト目に紐を縛っているのでかかとがついてこない感じはそれほどないものの、手で曲げるとか無理でしょうコレという感じ。なのに歩いているときにはその硬さをあまり感じない。やっぱりサイジングをきちんとして紐をきちんと縛ると歩きやすい。


伝統的なラストでありながら、意外やちょっとした包み込まれる感があって、購入直後は 2504NA よりは足と一体化している感があるなと気づいた。かかとに少しだけ柔らかさを感じるところは W10BDJ に近いかも。

惜しいのはやはり甲が少し高い点。
僕はきつめに結ぶので、力を入れると羽根がほぼ閉じてしまう。
新品の時点でこの状態なので、いずれ緩い靴になってしまうのは間違いなさそうだ。中敷きを入れるのも気分ではないし、その時にどうするか。

似たような靴との比較で言えば、2504NA よりは全体的に柔らかみがある感じ。



2235NA の良さに改めて気づく。

これだけの靴を、4万円を軽く切る価格で手に入れることができるのは長年販売され続けられているモデルならでは。
パターンや木型の償却も終わっているだろうし、よくよく見れば比較的原価を抑えた革やパーツを使っているという理由があるにしても、これだけの満足度が得られる靴はそうないのではないかとも思えてくる。

2504NA と同じように REGAL SHOES 専売モデルではないので、街の靴屋さんから通信販売まで広く売られているし、ディスカウントされていることもある。

フィッティングが命の靴でもあるので、初回は通販ではなくて靴屋さんで履いてみて選ぶことを強くお勧めしたい。きちんとしたサイズを選べば、決して「大きな靴」ではない。



2235NA や 2504NA は40年以上販売され続けてきた実績がある。20年後ももし残っているようであれば二世代どころか三世代で同じ靴を履くことができる。
売れる時期も売れない時期も一貫して守られてきた歴史的な重み。そんなウンチクが頭に入っているのでこの靴を履くときは何か凛とした気分になる。僕の中で想い出を積み重ねていく安心感のある靴、REGAL 2235NA。



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2 件のコメント:

  1. おじから貰った2235を高校生の時に履いていたことを思い出しました。当時はもちろん靴の事も知らず、普通に2235を履いてサッカーしてたことが今では懐かしいです(笑)

    今ではW105を履いていますが、シボの溝?に黒ずみができてクリーナーでも取れにくいのが悩みです。しかし驚異的に丈夫な靴ですよね。気に入って履いてます。

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    1. コメントありがとうございます。

      プレゼントが2235というのも素敵です。
      私も高校生くらいの時は革靴の位置づけってスニーカーの素材違い版くらいの感覚でしたので、サッカーしていたというのもなんとなくわかります。むしろサッカースパイクって革製ですし、より近く感じてしまいがちですよね(革が全然違いますが 笑)

      高校生時点でスニーカーとは全く異なるサイズ体系である2235をサッカーできるレベルのサイジングで履かれていたこと、恐れ入ります。

      私も古いほうの2236は結構溝が黒くなっていて、それが古臭さを感じるものの(家内談)、年季だと思って気に入っています。そういう年季が入るまでふつうに履けてしまう丈夫さ、ありますよね。

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