2014年6月14日土曜日

REGAL W10BDJ 1st Report

先日購入した REGAL W10BDJ。
2014年春夏新作の純国産仕様フルブローグ。

トリッカーズのカントリーラインを思わせる外ハトメ仕様のフルブローグ。
アッパーとライニングは姫路のタンナー「山陽」、ソールは日本でも指折りの実力を持つと言われる「栃木レザー」のタンニンなめしダブルソール。

アメリカンを意識して日本に入ったブランドが、イギリスの古典的なデザインを取り入れて、日本の素材と技術で作った靴。
もうそれだけで「買い!」ですよこの靴。

型番がWから始まるため、リーガルシューズ専売モデル。百貨店でも買うことができる01DRCDと比べると手に入れやすいとは言えない。リーガルシューズの店員さんに聞いた限りでは他に同じラストのモデルが無いということなのでサイズがない場合は取り寄せて試着する必要が出てきそう。

リーガルはモデルによってサイズ感がバラバラなので、実際に履いてみないとわからないことが多い。W10BDJは01DRCDと比べるとハーフサイズ下げてちょうどに思える。

デザインはダブルソールの360度グッドイヤーウェルテッドを採用したカントリー目な外羽根フルブローグ。いわゆるロングウイングチップの2235NAとは異なり、こちらはヒールカウンターが独立しているタイプ。


ダブルソールということもあり、全体的に重厚な印象なので、ブラックだとしてもビジネスシーンには厳しいかも。

アッパーで使われているグレージング仕上げのキップは、これまでもBOSや一部のモデルで使われてきたけれど(おそらくコベントリーも同素材では)、中でも質の良い部分が使われているのではないかと思われる。
肌理が細かく、購入時点のノーメンテ状態でも結構つやがある。(出来上がりから僕の手元に来るまでのタイムラグが短かったのもある)
購入してから2ヶ月くらい、ほぼ毎週末に履いて10数回履きこんだ限りでは、シワがあまり深く入らない。

この靴のひとつのウリである栃木レザーのダブルソールは最初は堅いかとおもいきや、それほどでも無い気がする。ソールが全体的に薄めなシェットランドフォックスや01DRCDと比べれば確かに返りが悪いが、かかとがついてこないという程でもないので普段履き上問題にならなそう。
オープンチャネル仕上げでヒールの底面積も大きく、なんだか底からみるとチャーチの靴みたい。
コバの色抜けは思ったよりも早いかもしれない。
さすがにガシガシ外出しているので、つま先のヘリは早い。ソールも少し柔らかいのか、表面が削れるスピードは少し早いように思えるかも。
購入当初つま先が減るのはあたりまえだと思う。足が地面から離れる時、最後まで地面と接しているのはつま先なのだろうから、購入当初は歩き方に合うところまでは減るだろうと。

ライニングは鮮やかなブルーパープルといった感じで、抗菌仕様。どれだけ意味があるのかわからないけれど、まぁ、気休め程度だと思う。W13xシリーズのようにパンチ穴も開いていない極めてシンプルな作り。

フィッティングはボールジョイント周りがやや緩めに感じるものの、意外とかかとがコンパクトなのか造形がいいのかいい感じに隙間なくぴったりしている。
01DRCDよりハーフサイズ下げているためか、靴のデザインから来る印象よりもフィット感がいい。甲は01DRCDと比べると少し緩めだけれど、外羽根なせいか履口でフィットさせることができるためゆるい感じはしない。一番上ハトメでの羽根間隔があまりないので、ソールが沈むと少し緩く感じるかもれ入れない。
リーガルのカジュアル寄りのラインに共通して親指周りはかなりゆったり。初日はいつものごとく小指が多少キツイと感じたものの、2、3日でそれも無くなった。
僕は靴はややタイト目からスタートが好きなのでハーフサイズ下げているけれど、休日靴として厚手の靴下にゆったり目といういうのであればいつもの(01DRCDなどと同じ)サイズでも良いかもしれない。

一つひとつのパーツにこだわりを感じる中で、唯一ダメだと思うのが紐。
これまで買った靴の中でもっとも緩みやすい紐で、どうキツく縛っても100mも歩かないうちに緩む。縛り方が悪いのかなとは思いつつ、他の紐でここまで緩むものはないのでやっぱり合わない。
デザイン的にも無骨な靴に細めのスマートな紐はどうかと思う。チャーチのコンサルについているような太め丸紐の方が合いそう。


これだけMade in Japanで固められているので今回はクリームも国産のブートブラックで。All Japan体制ですよ。
写真を撮っていて気がついたのだけれど、ブートブラックは蓋を締めて止まる位置と瓶側のラベル位置が揃えてある。恐るべしジャパンブランド。

日本の市場って、同一ブランドで高いライン、安いラインをそろえてなんとなく高い方を売ろうとする傾向があるけれど、この手の靴クリームを買う人達のことを考えると、職人の勘と化学技術を投入した渾身のクリーム一本で勝負すればいいのになと思う。(それだと売れないの?)
本筋ブートブラックの他にシルバーラインやらハンズコラボとか結局どれも中途半端に感じてしまう。

購入後にはまず全体に軽くデリケートクリームを入れた。
ブートブラックのデリケートクリームはM.モゥブレイやサフィールと比べると水分が少なめな気がする。昔、学校で使ったチューブ入りのヤマト糊に近い感じ。これを全体に軽く塗ってからニュートラルのクリームを入れる。

ブートブラックのクリームはサフィールと違い乳化性で水々しさも感じるクリームなので、デリケートクリーム無しでもいいかもしれない。僕自身は靴のメンテそのものが趣味なのでデリケートクリームやレノベイタークリームを塗ったりするけれど、この手の靴はシンプルメンテでもいいのかなぁ。
初回はクリームがさすがに良く入った。まず1順目は米粒5から6粒程度を塗り、メダリオンに詰まったクリームを取り除くために軽くブラッシング。1日おいてもう少し少ない量を塗りこむ。2、3日ほったらかしてから履いてみた。

あとは2週間に1度くらいクリームを薄塗りしていたら、2ヶ月くらいで結構いい感じに湿り気感が出てきた。あまり新品ピカピカよりも少し(自然についた)傷や汚れがあるくらいのほうがこの靴らしさが出る感じがするので、これからは少しクリーム頻度を減らして様子を見てみようと思う。


フルブローグの靴はブラウンでもブラックでもカジュアルに使いやすいので1足あると便利。特にW10BDJのような重厚感があるものはジーンズにも合うし、ジャケパンにも使いまわせる(と思う)。
ちょっと暑苦しさは残るものの、結構薄手の色なので夏でもまぁ変な感じでもないだろう。
グッドイヤーウェルテッドなのでソールが減ることもあまり心配しなくても良いかも。ただ、オールソールの際に同じ栃木レザーになるかどうか、今後の展開次第なのかな。

リーガルは革靴のリーディングカンパニーとして多くの従業員を抱えているがゆえに、国内での大きな市場に向けた安価なラインも展開しなければ会社の経営上立ち行かなくなってしまう。それが安物ブランドっぽさを与えてしまうのだけれど、上級(あくまでもリーガルの中で、という意味)ラインでは昨年の01DRCDといいこのW10BDJといいときどき渾身の作が出てくる。ぜひこういうラインを単なるイヤーモデルにしないで、長く定番化するように期待したい。未だ2235NAだけが誰もが知る定番みたいな立ち位置ってどうかと思うので。
否定されるのを覚悟でいうなら、01DR/02DR/03DRはチャーチの「コンサル」「ディプロマット」「チェットウインド」に相当する極めて正統なラインナップだと思う。ソールの薄さなど少し安っぽさがある気がしないでもないけれど、ビジネスユースとしてはデザインと価格のバランスが良いし。W121等のBOSラストを使ったモデルももっと評価されていいと思う。
その上でカジュアルラインとして2235NA/2236NA、そしてこのW10BDJと、これだけ揃えれば靴は十分という気がしないでもない。