2014年1月6日月曜日

Perfetto LGW3001

2014年、初出勤に履いた靴はペルフェットのLGW3001だった。

ビジネスシーンにおいてはかなりの割合でキャップトウ(ストレートチップ)を履くことが多い。
つま先のキャップのみといったシンプルなデザインであるからこそ、ラストによる形の違いが靴そのものの印象を決める。
手持ちのキャップトウの中でも、おとなしめのデザインなのがこのペルフェットLGW3001。

ペルフェットといえばその名前からも想像できるように、イタリアンテイストな色気のある靴が多い。ネットで紹介されている靴もややスクエアなロングノーズが多く、またメダリオンも独特だったりとかなりデザインで攻めている印象が強いブランド。イルチアのPalatinoなんてもう格好良すぎてビジネスシーンでは靴が目立ちすぎるくらい。

ところがこのLGW3001は極めてオーソドックスなキャップトウ。特にモデル名もなく、箱にも単に型番だけ書いてある。全くロングではないややアーモンドの丸めのトウで、僕のイメージにあるペルフェットらしくない。イタリアよりもイギリス寄りの雰囲気を持つ靴。アッパーもボックスカーフとちょっと見た限りではあまりにも主張が無く、お行儀が良い感じ。
ダークネイビーのスーツを着て、ツイルのホワイトシャツに紺系のストライプタイと言ったもう教科書そのままのスタイルにはやっぱりこんな靴が似合う。(僕はハズシができる度量もセンスもないので)

どうもペルフェットはよく引き合いに出されるCampidoglioの「P」をモチーフにしたメダリオンの印象が強すぎる。靴って左足右足で対称になるようにデザインしたほうが美しいと思うし、そもそもブランドをイメージするような意匠をデカデカと入れる発想が安っぽい。ディフュージョンラインじゃないんだから。イタリアンテイストな国産グッドイヤーというイメージができているようだけど、このLGW3001を始めとした3000番台のモデルを見ると、モダンクラシック志向を感じる。

さてこの靴、よくよく見てみると、丸すぎないアーモンドなトウ、やや低めの甲、気持ち小さめのかかとなど単なる古典的なデザインの靴ではなくイマドキっぽさが垣間見える。ソールはフィドルバックにヒドゥンチャネル、真紅の半カラス仕上げ、おまけにピッチドヒールと無駄に(?)こだわりがあって、そういう意味では洒落た靴。一見ふつうに見えて実は... という意外さ。
ほとんど気づかれないピッチドヒール。なぜこのデザインの靴に採用されたのだろう。

全体的にコンパクトで、最近多いトウ長めの同サイズ国産靴とくらべると同じサイズと思えないくらい違いがある。
リーガルの01DRCD(サイズ24)とLGW3001(サイズ5 1/2)を比べると、長さだけでも1cm近く違う。(もっとも履いた感じも01DRCDのほうが確かに緩い)コンセプト的にはREGAL TOKYOのローラに近いが、ローラより圧倒的にコンパクトな外観をしている。小さめの足の人で少しでも足を大きく見せたいような人は絶対に止めるべきデザイン。

ソールをみると仕上げがなんとなくシェットランドフォックスのケンジントンに似ている。ややアーモンドなトウがぽっこりとしている造形も似ている。ケンジントンもビナーセーコー製と言われているけれど、これ、ケンジントンのラストを少し変えてグッドイヤーで作りなおしたような靴。カラス仕上げの質の悪さなんかもケンジントンに非常に似ている。サイズもケンジントンと同サイズで問題なさそう(こっちのほうが少しつま先がキツイ気もするけど)。ビナセーコー製はイギリスサイズで考えるべきだろうか。
この色はかなり格好いいと思う。仕上げが雑な感じがするけど。

足入れした感じでは一の甲から三の甲にかけて低めでかかとも気持ちコンパクト。デザイン的に同ブランドのロングノーズ系(パラティーノなど)よりはやや甲にゆとりをもたせているっぽい感じもするけれど、それでも相当抑えが効いている。

ボールジョイントからカーブに入る位置が少し先なのか小指の先は痛いほどには当たらない。その代わり足長が長い左足だけ薬指の先端があたっている(ふれている)気がする。ノーズが短いせいか捨て寸が短くカーブに入ると外側が結構急カーブしているのかもしれない。ただ、先端に行くほど詰まる感じはそれほどでもなく、クロケットアンドジョーンズの337ラストよりもエジプト型寄りの造形に感じられる。全体的にはよく言われる「点で当たる」という感覚はあまりなく「面で当たる」という感覚。
土踏まずが少し高めで内側から支えられている感じ。アーバインのように(といっても試着したことしか無いけれど)足裏全体が包み込まれているというよりは、土踏まずがせり上がっている。ボールジョイント両サイドと土踏まずの3点で支えられるような印象。
履口が笑うことがないので、土踏まずから後ろのインステップはちょっとゆとりを持たせて、かかとに向かってやや絞っているっぽい。インステップ外側が少しゆとりがある分かかとにもそのゆとりが少し残っている。もう少しつかみが欲しいところか。全体的には足幅ふつうで甲低めの人に合うんじゃないかと。
ノーズが短く素足での足長と靴の先端とのギャップが小さいため、なんだかやたら歩きやすい。ノーズが長いとつま先がそれとなく意識されてしまうシーンがあるけれど、LGW3001はそういうシーンは少ない。

とてもコンパクトな外見から想像されるとおりフィッティングもタイトで、比較的すぐに馴染むとはいえ、革が馴染むまでは指にマメができた。ヒールカップも芯がかなりしっかりしていて、大きい方の左足にマメができた。
ただでさえノーズが短く、おまけにかなりタイトなフィットで買ったもんだから最初はサイズミスをしたかなとさえ思ったものの、履き慣れてくると見た目ほどに小ささを感じない靴。ゆとりをもたせるところは緩くならない程度にサイズを取って、絞るべきところは絞るメリハリのある造形。小さいと言ってもリーガルBTOラストのDウイズ(W131/W134)よりは先づまり感が少なく、また気持ちかかとが小さいため僕の足型に近いと感じる。

インソール、かかとのあたりにはスポンジがあまり入っていない。比較的固めの印象。チャーチやアルフレッド・サージェントあたりの全体的にかなりふかふかなインソールと比べると3001はやや硬派。歩いた時もソールのコツコツ感が伝わりやすい。

とまぁ、この靴はタイトであるがゆえに馴染むまでに多少の苦行をもたらす靴だった。

アッパーはウエインハイムレダー(ワインハイマー)のボックスカーフ。
おそらくペルフェットでは先頭3文字目のアルファベットがタンナーを表している。Wが Weinheimer Leder、Dが du Puy、Iが Ilcea だと思われる。モデル名が付いている靴(パラティーノなど)はカラー表記の先頭に付いている文字がタンナーだと思う。
僕の(あまり信用ならない)感覚では、購入当初は極めてフラットな質感だけれど、お手入れを繰り返すうちに艶が出てきて、それ以降は比較的つやつやな感じをキープする革。こういったムラのない均質な色こそ保守的なキャップトウにはきわめてマッチする選択だと思う。
よく言われるアノネイのボカルーのような「透明感のある」ブラックというよりは、みずみずしいながらももう少し表面に近いところで鋭く光るような感じ。雨ジミ耐性もボカルーより高い。

手入れはサフィールノワールクレム1925のブラックで。ふつうの靴にはふつうのメンテが合う。基本は超薄塗り、回数多め。ボックスカーフはしっかりクリームが入ってくるとしっとりとした雰囲気になる。購入時に店頭で見るのとではまったく別物。
ペルフェットは同一モデルで革違いということがあたりまえのようにあるので、購入場所とか時期によってアッパーの革は変わるかもしれない。逆に言えば、シェットランドフォックスのケンジントンのように革の供給がなくなった途端に製造中止ということもなさそう。

ツリーはディプロマットヨーロピアンの39を入れている。
ほぼバネが閉じきるのでもう少し小さなツリーがいいとは思うけれど、リーガルトーキョーのツリー38(たぶんコルドヌリ・アングレーズのOEM)は入る気配がなく、同じく38のサルトレカミエSR300だと入るには入るがかなり無理矢理なので靴に悪そう。同じサルトレカミエのSR200とSR100は両方ともボールジョイントの内側が足りない。僕は親指付け根にシワができるのでそこが伸びないと物足りない。ネジ式(SR300)のサイズ感からすればサイズが小さすぎるということはなさそうなので、サルトレカミエはいまひとつ内側のボリュームが足りないと思う。
ディプロマットヨーロピアンを入れたところ。バネが閉じきっている。

ペルフェットの最大の難点は国内メーカーなのに有名ドコロのインポートものより入手が困難なところ。
おまけに情報もほとんどなく、ビナセーコーのホームページを見てもまったくと言っていいほど情報が無い。ラストの特徴どころか商品ラインナップの片鱗すら見られない。独自ブランドで売る気があるのかと思うレベル。
ビナセーコーはOEM屋さんなので自社ブランドを力入れすぎると問題があるのかな。
まともに試着できるのは伊勢丹かクインクラシコ、ワールドフットウェアギャラリーあたり。阪急にも専売モデルがあった。(伊勢丹も専売モデルかも。よく見てないので不明。あと、どうでもよいがクインクラシコさんのウェブショップは商品名間違えすぎ、PalatinoとCampidoglioです)

ペルフェットは4万円以上のラインは定評のある素材をアッパーに、日本ブランド得意のていねいな作りとかなりコストパフォーマンスが高く、またラストも自分の足にはまぁまぁ合うので間違いなく満足度はトップクラス。国内で関税上乗せのスペインあたりの靴を買うよりもいい買い物のように思える。(デザインやラスト、ブランドの好みがあるので一概には言えないけれど)
ロングノーズがお好みの人にはPalatino(パラティーノ)やCampidoglio(カンピドリオ)もある。少し雑誌などで話題が先行している感があるけれど、実際に良い靴で、クロケットアンドジョーンズのハンドグレード買うお金にちょっと足すだけで2足買えるしで、もっといろんなところで売っていてもいいと思うんだけどなぁ。

2 件のコメント:

  1. 今回はペルフェット、大変興味深く読ませていただきました。
    私にとってもペルフェットは数年前にたまたま見かけたカンピドリオのイメージが強く、
    こうしたなかなか面白そうな靴は知りませんでした。
    仰るように、ペルフェットは入手が手間がかかるのが残念ですね。
    折角興味を持っても、実際に靴にたどり着くまでの道のりが大変で、
    実際靴好きの私でも結局興味を持ってから購入まで至らなかったのは、
    単に靴へのアクセスが面倒だった、というのが大きかったような気がしています。

    ここ2ヶ月ほど、ShetlandFoxのケンジントン3足+αでローテーションを
    廻しておりますので、そんな中、同じビナセーコーの、特にこちらのモデルは
    大変興味が沸きました。是非一度店頭で見てみたいと思います。

    そんな思わぬ靴を教えてくださり、ありがとうございます。
    次も楽しみにしています。

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    1. コメントありがとうございます!

      ケンジントンが合うのであればペルフェットもいけるのではないかと思います。この3000番台のラストはつま先側が少しケンジントンよりタイトな気もするのでぜひ実物をトライして感想を教えてもらえると嬉しいです。

      ケンジントン3足のローテーション、すごいです。僕はビジネス向けは3014SFだけしか無く、いまでも3013SFを購入しなかったことが悔やまれます。いつでも買えると思っているとダメですね。

      今年はブローグ系の靴を買い足そうと思っていて、トウにメダリオンのないクオーターブローグのカンピドリオはその候補に挙がっていたりします。先立つものがいつもアレなんですが、買えたらいいなぁと。

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